水素のはなし(作り方と使い方編)

水素社会の到来、最近よく聞くキーワードだろう。

まず、水素とは最も軽い元素。

これの意味するところは、漏れやすいということ。

通常のガス管では漏れてしまう・・・本当か?

これも加える圧によるだろうが、現状のガス管でも対応できるような気もするが。

 

ところで、漏れたらダメなのか。

当然、もったいない、という話ではない。

軽いから拡散する。拡散するということは、薄まるということ。

薄まると燃えにくくなる。その濃度が4~10%以下だと燃焼しない。

だから、拡散する=危険ではない。

ちなみに、この濃度のことを爆発範囲という。

 

発火温度は500℃。

これもピンとこないだろう。

ライターの火は何度なのか?

だいたい、800℃。ろうそくの炎が1000℃くらい。

そもそもタバコは800℃くらいないと着火しない。

だから、500℃というのは安全な温度ではない。

ちなみガソリンは300℃なので、ガソリンの方が着火しやすい。

しかし、危険か危険じゃないかは難しい。

水素は高圧にして使うので、常温常圧のガソリンとは違う。

他にもLNG(メタンCH4)やLPG(プロパンC3H8、ブタンC4H10)とも違う。

ちなみにカセットコンロのガスボンベはプロパンやブタンである。

 

あまり水素の性質の話をしても面白くないのでエネルギーにさっそく入る。

1.まず、水素をどう使えば良いのか?どう社会で水素を利用するのか?

水素の使い道である。

1-①定置用燃料電池(FC)

これは、家庭用と業務産業用に分かれる。

家庭用はエネファームというもの。

エネファームは都市ガスやLPガスから水素を取り出して、電気を作り、その時に発生する熱も使う。

小さなコジェネシステムである。

そのため、都市ガスのメタンから水素を取り出す過程でCO2は出しているが、メタンは石炭などと比べるとCO2排出は少ない。

また、熱も利用するので、電力会社から買う電力より高効率なので地球規模でも省エネとなる。

しかし、エネファームの場合、エネルギーは天然ガス(メタン)になる。

そこから水素を取り出して、電気にしている訳で、水素は2次エネルギーである。

液体水素を掘り出して(むろん、-253℃以下でなければ液体では存在できないのだが)きたら、本当のエネルギーなのだろうが。

とにかく、燃料電池については、次回、詳しくやりたい。

どうやら、個体高分子形(PEFC)と個体酸化物形(SOFC)の2種類があるそうなので、その辺りも調べたい。

 

 

1-②燃料電池車(FCV)

これは①の燃料電池を積んだクルマ。

この燃料電池という言葉は少しニュアンスが違う。

電池ではなく発電装置、発電施設、発電所と呼んだ方がしっくりくる。

燃料電池車は水素を燃料に、車の中で発電してその電力でモーターを回す仕組み。

普通に考えれば、車の中で発電するなんて効率的とは思えない。

が、今のEVの充電時間を考えれば、有りなのか・・・

FCVは乗用車からトラック、バス、フォークリフトなどがある。

一般に、EVでは蓄電池容量の関係から航続距離が必要なものがFCVという印象。

なぜなら、EVの蓄電池は容量が小さく、また充電にとんでもない時間がかかるから。

FCVのミライだと3分の水素充電で満タンになるが、EVの場合は高速充電でも80分ほどかる。

これから、EVの充電時間がどれだけ早くなのかがカギだが、中々ブレイクスルーが起きないと3分程度にはならないだろう。

また、水素の値段がまだまだ高い。

水素ステーションでは1100円/kgくらい。

水素1kgで100kmの走行可能とのことなので、11円/km

ガソリン車がリッター15km(170円)とすると、11円/kmとほぼ同じくらい。

EVになると燃費がよくなるので、現時点ではEVに軍配があがりそうだ。

 

 

1-③水素発電

燃料電池もある意味、水素発電ではある。

が、燃料電池の場合、燃料極で水素イオンと電子イオンに分けて、水素イオンは酸素と電子イオンとくっついて水となる。

その際に電子イオンだけが動く瞬間があり、その電流を利用するシステムで、大型の発電には向かない。

トヨタのミライの燃料電池は114kW

ここでいう水素発電とは数千~100万kW級を指している。

神戸市のポートアイランドでは、水素ガスタービンによるCGSの実証プラントが動いている。

大林組と川崎重工である。

規模は1MW級の水素CGS。

 

現在の水素発電のコストは100円/kWhらしい。

これを2030年に17円/kWhが政府目標。ここまで安くなると、経済合理性が出てくるだろう。

こちらも近いうちに、詳しく調べたい。

 

1-④水素自動車

これは②のFCVとは違い、エンジンを使っている。

ガソリンの変わりが水素になる、というもの。

弱点(でもないが、相手に付け入るスキとして)は、エンジンオイルを使うので、微量にCO2やNOxが出ること。

本当は蓄電池を作るとき、廃棄するときのCO2とエンジンを作るとき、廃棄するときのCO2の比較が必要と思うのだが。

このあたりを検証しているのか不明なところが、欧米のトヨタ潰し、という陰謀論が出るのだろう。

実際に陰謀なのかは不明。

燃費はガソリンと同程度になるそうだ。

EVがガソリンの1/3程度なので、燃費でいうとEVに軍配があがる。

これは水素の値段次第とも思うが、それはEVも電気の値段しだいではある。

 

2 では、次にどうやって水素を準備するのか

水素の利用の仕方は分かったが、燃料となる水素はどこにあるのか?

水素は自然界には単体の水素分子としては存在しない。

物質はなんでもそうだが、単体で存在しないと意味がない。

ダイヤモンドは炭素だが、その変にある炭素ではダメだし、二酸化炭素は悪の根源のように言われている。

化学はよく分からないが、物質というのは不思議なもの。

食塩は塩化ナトリウム(NaCl)で、塩素Clが入っている。

塩素だけでは食べれないが、Naと化合することで食べれるようになる。

物質の性質が全く変わってしまう。なんとも不思議な感覚である。

毒と美味しい物を混ぜても、それは食べられないだろう(解毒物質なら別か・・・)

とにかく、H2でないと意味がないのだが、H2では自然界にはほとんど存在しない。

どれだけ安く水素を製造できるのか、に全てがかかっている。

結局、現在の石油や石炭、LNGが水素に置き換わるだけのこと。

であれば、オーストラリアから水素を輸入していたら国富の流出は変わらない。

エネルギー効率の高さは、同質量の場合、ガソリンの3倍という記述も見たことがあるが、それもどういう使い方をするかだろう。

ちなみに、エネルギー効率とは、投入したエネルギーに対して回収できるエネルギーの比のこと。

しかし、LNGや石油石炭などの資源のない我が国にとって、水素社会はチャンスがある社会ともいえる。

そもそも、どうやって水素を作るのか。

2-①化石燃料から作る

化石燃料改質という。

この方法が世界的にほとんど。

メタンの改質で50%、ナフサの改質で30%なので、80%はこの化石燃料から作られている。

どうやって、水素を取り出すかというと、水蒸気を混ぜて800℃で反応させる。

すると一酸化炭素と水素が発生する。この段階で水素を取り出す。

次に、この一酸化炭素を処理しなければいけない。

そのため、この一酸化炭素に再度、水蒸気を混ぜて反応(これをシフト反応というそうだ)させると、二酸化炭素と水素に分離する。

この水素は水蒸気由来である。

つまり、元々のメタンが持っている水素原子も水蒸気の持つ水素原子も取り出せる、というわけ。

弱点は二酸化炭素が最終的に発生すること。

水素製造メーカーでの有名どころは三菱化工機、大阪ガスなど。

 

しかし、化石燃料を燃やして、つまり火力発電で電気をつくると14円/kWhらしい。

 

2-②副産物として発生

食塩電解工場では苛性ソーダと塩素を作るが、その過程で副産物としてH2ができる。

もっと丁寧に書くと、塩水を電気分解して、苛性ソーダと塩素と水素を製造する方法

2NaCl + 2H2O= 2NaOH + Cl2 + H2

苛性ソーダとは水酸化ナトリウム(NaOH)のこと。

食塩から苛性ソーダと塩素と水素に分解される、ということ。

この水素を使う、とういこと。

山口県で実証実験を行っており、副生水素を液化、圧縮して定置用燃料電池やFCVに利用している。

しかし、この作業は副産物だから良いが、水素を取り出すために行うのだとしたら、エネルギー収支も考慮する必要がある。

2-③水の電気分解

これは水に電気をかけて、水素と酸素に分解する、という中学校の理科で習うやつ。

しかし、これは電気を使って、水素をつくり、その水素を使って電気を作る、というもの。

普通に考えれば、どれだけの電気を使って、どれだけの水素ができて、その水素から燃料電池の仕組みで、どれだけの電気を作れるのか、が問題となる。

やっていることは電気を貯めて、電気を放出する蓄電池と同じこと。

後は、蓄電池との比較になる。

どちらが効率が良いのか?それぞれのメリット、デメリットは何かを考えれば、どちらが有利なのかがわかるはず。

さて、話を戻して製造方法は2種類

・アルカリ水電解法

水酸化カリウムの強アルカリ溶液を使用する

福島で実証が進められているのはアルカリ型で10,000kW(10MW)級電解システム

旭化成が実施しているが、水素生産能力は2,000Nm3/h

単位が多きするので、小さくすると5kWで1Nm3/hということ

水素1Nm3/hとは、1時間に1m3(Nノルマルとは通常の気圧状態で)作れるということ。

1m3の水素から、どれだけの電気が作れるのか?2.9kWhという数字をネットで見た。

これは電気の作り方によるだろう。燃料電池か水素発電でも違うだろう。

しかし、電気5kWhで水素1m3作って、その水素1m3で2.9kWhの電気を作るのだとしたら、何のため?となるだろうか?

いやいや。

もちろん、蓄電池だって電気を貯めて吐き出すだけの装置で、ロスはある。

だから、ロスがあることが自体が問題ではない。

それを問題視するのなら蓄電池も問題視しなければならないが、それをしないのは蓄電池にはロスを飲み込んでもメリットがあるから。

同様に、水素もロスが問題ではない。

ロス率をどこまで下げられるかだろう。

蓄電池などは90%~95%となる

電気分解水素は、5kWhの電気で2.9kWhの電気を作るなら、60%程度となる。

蓄電池の場合はその電池容量で決まるが、水素製造では、電気代をどれだけ安くできるか、できるだけ少しの水素でどれだけの発電できるのか、これがロス率を決めることになる。

ちなみに、現在の電気料金を25円/kWhとすると、5kWhで1m3なら、水素1m3作るのに125円は必要となる。

電気料金をいくらで見るかにもよる。

その他にも、手間もあるから、実際いくらだろう?電気料金も25円/kWhかどうかも分からない。

しかし、その時点で125円を超えているのは少し驚く。

原発が10円/kWh、火力14円/kWh、太陽光20円/kwh と考えると、水素による発電はとても割高になる。

政府の目標が2030年、30円/水素1m3となるが、その水素を電気に戻すのに、またコストが上乗せされる。

中々、道のりは険しい。

 

実際、水素の製造コストの8割は電気代らしい。

どれだけ電気代を下げられるかによる。

 

ちなみに、電気分解法は他にも以下がある。

・固体高分子(PEM)形水電解形

純水を使用する。

山梨県甲府市で国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による実証が進められている。

現在、コストや稼働時間の観点からはアルカリ型のほうがすぐれており、発電量が気象に大きな影響を受ける再エネに対する柔軟性やコンパクト化の観点からは固体高分子型がすぐれているとみられている。

 

2-④光触媒による水分解

太陽光エネルギーと光触媒で水を水素と酸素に分解する手法。

光触媒とは酸化物などの半導体粒子だそうだが、どんなものなのかよく分からない。

具体的には水の中に、その光触媒を入れておくと、そこに太陽光が当たることで、なぜか分からないが、電子と正孔が発生して、酸化還元反応が起こって、水素と酸素に分解されるらしい。

 

光触媒は、少し違う使い方になるが、人口光合成などの技術も考えられている。

太陽光とCO2と水から、有機化合物を作るのである。

植物がやっていることを人工的にやろうとしているのだ。

 

2-⑤IS法 水とヨウ素を使う

ヨウ素は輸入に頼らなくても日本で製造できる。

ヨウ素は生産量では世界1位、シェアでも2位となる。

しかし、ヨウ素など、レントゲンの造影剤などにしか、これまで使い道がないから生産していないだけの可能性もある。

ヨウ素はガスの副産物として取れるものなので、ガス田がある国なら取れるのではないか、とも思う。

よく分からないが、現在のところ日本のヨウ素生産量は大きい。

さて、IS法とは、

水素製造効率で40%となっている。

これは電気分解で水素を作ったときと同じ効率となる。

次のプロセスで水素を取り出すようだ

・ブンゼン反応 2H20 +I2+SO2 →2HI+H2SO4

・ヨウ素化水素分解反応 400℃ 2HI → H2+I2

・硫酸分解反応 900℃ H2SO4 → 0.5O2+H20+SO2

熱が必要になるということ。

このために使う熱と水素から得られるエネルギーの比較になるのだが、それが不明。

ちなみに、熱は多くの火力発電所で捨てられているので、そのような廃熱を使えば良いのかもしれない。

火力発電所以外でも原発でも良い。

とにかく、ヨウ素と二酸化硫黄を使って、ヨウ素化水素を作り、そこから熱を加えて水素とヨウ素を取り出すのである。

他、硫酸ができているので、そちらも熱を加えて、酸素と水と二酸化硫黄に戻してやる。

つまり、水から水素を取り出す技術ということが分かる。

 

以上、水素の製造方法を見てきた。

ちなみに、水素の単位はNm3(ノルマルリューベー)というもの。

これは水素に限らず空気などの気体の単位となるが、体積は温度や圧力によって変動するため、0℃で大気圧のときを自然な状態という意味のN(ノルマル)をつける、ということ。

 

本日は、水素をどう使うのか、その水素をどうやって作るのかをみてきた。

しかし、実は水素は常温では気体であり、そのまま輸送はできない。

気体の輸送をするならパイプラインくらいしかない。

そうでないなら、液体にして運ぶか、高圧をかけて圧縮して運ぶ方法が考えられるが、実は他にもある。

それは化学の知識が必要になるが、有機ハイドライドという方法やアンモニアにする方法である。

つまり、安定した液体の物質になるように他の物質と化合させて運んで、消費地で水素を取り出す、という方法。

これも化合させるエネルギー、運搬するエネルギー、取り出すエネルギーが必要になる。

だから、経済合理性がどこまであるのか分からないが、色々な方法がある。

その辺りも調べてみたい。

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