ペロブスカイト太陽電池

太陽光発電は他の発電方式とは違う。

ほとんどの発電は、電磁誘導により発電する仕組み。

電磁誘導はコイルの周りを磁石が回転するもので、その回転するためのエネルギーによって分かれる。

水の落ちる力を使う水力発電はイメージしやすい。

その他、原子力や火力は基本的には汽力発電というもので、熱により水を沸騰させて、その体積の膨張する力でタービンを回す。

変わり種は燃料電池。

いわゆる水素発電である。

いずれにしても、燃料電池を除くと、他と比べて太陽電池の発電方法はとても化学的。科学ではなく化学のほう。

 

簡単に書いてみる。

まず、電気が流れることで利用することができる。

電気が流れるとは、具体的には電子の流れ。

この認識で合っているか分からないが、電気の流れではなく、電子の動きで良いと思われる。

電子が震えている状況でも良いのではないか、実際に交流はそのような動きだと思うのだが・・・

少し中学のおさらいになるが、原子とは物質を構成する最小単位というが、厳密にはもっと色々あるのだろうが、そこは置いておく。

とにかく、原子は+の性質を持つ原子核と-の性質を持つ電子から構成されている。

+とか-というのは人間が勝手に付けただけだろうから、とにかく原子核と電子では電気的な性質が違うということ。

電気的性質とは何か、と言われると自分で調べてほしい。よく分からない。

とにかく、電子を原子から取り出して、流してやれば電流となって電気が流れたことになる。

だから、原子から電子を取り出すことが基本となる。

その中でも金属などは自由電子と呼ばれるものがあって、この自由電子は原子核から取り出すことが容易。

だから電気を通しやすい物質というのは、原子核から電子を取り出しやすい原子を持つ物質、ということ。

それを利用したのが、電磁誘導。

電磁誘導は金属内に存在する自由電子が移動することによっておこる。

ゴムなどは自由電子が存在しない、そのため電気が流れない。

ちなみに、次から出てくる半導体は導体と絶縁体の間の性質を示すものでシリコン、ゲルマニウムなどが該当する。

 

 

とにかく、太陽光発電の仕組みは電磁誘導ではない。

太陽電池とは、

電気的な性質が異なるN型半導体とP型半導体を重ね合わせて光を当てる

太陽光が当たることで、接合面を境にN型側に電子(-)、P型側に正孔(+)が集まる

太陽光が当たることで、半導体の中の電子が動きやすくなって、一部がN型半導体に移っていく。

すると、P型は電子が抜けたことでプラスの性質を帯びるが、それを正孔が集まる、と表現している(たぶん)

すると、N型半導体には-電子が流れ込み、逆にP型半導体には+正孔が流れ込む

外側に集電極を置いておき、そこに電子を集める。

PとNのそれぞれの集電極を経路で繋いでおくと、Nに集まった電子がPに集まっている正孔とくっ付くように、その経路を通って移動する。

この時の流れが電流となる。

つまり太陽光を充てると電子が集まりやすい半導体と正孔が集まりやすい半導体を接着して太陽光を当てることで発電する。

 

そして、この太陽電池には3種類ある。

太陽電池は、シリコン系、化合物系、有機系とあって、それぞれに発電効率がちがう。

 

現在の主流はシリコン系。

シリコンとは元素Si ケイ素のこと。

このケイ素を原料として、ゴムや樹脂になったものをシリコーンといって、調理器具などでよく見かける。

ケイ素は単体では自然界に存在しないで、酸素とくっついて石として存在している。

これから、ケイ素をとってエタノールなどを混ぜていき、シリコーンゴムなどを作っていく。

とにかく、太陽電池はシリコン(ケイ素)を主原料とする半導体

シリコンにリンを加えるとn型(電子が集まる)、ホウ素を加えるとP型(正孔が集まる)になるそうだ。

このように不純物を加えることでシリコンは半導体となる。

 

 

このシリコンにも単結晶と多結晶とがある。

単結晶は高温にする製造過程を経て高純度となっており、発電効率も高い(20%以上)、耐久性もある。が、コストが高い。

発電効率が高いということは、曇りや雨でも若干は発電するらしい。

家庭用は狭い屋根でしっかりと発電しなければならず、単結晶が使われていることが多い。

一方、多結晶は高温の製造過程をへておらず不純物が含まれ、発電効率は低い(17%前後)が、コストも安い。

一般に普及しているのは、この多結晶シリコンの方である。75%のシェアだそうだ。

家庭用は単結晶でも、産業用はこの多結晶である。

シリコン系には、この結晶タイプではなく、薄膜タイプもある。

これは、シリコンを薄くしたもので、おそらく発電効率は落ちるし、結晶タイプの一部と思うが、分類は薄膜タイプとなっている。

 

他にも薄膜シリコンがある。

薄さは1/100程度。

しかし、発電効率は多結晶よりさらに落ちる(8%前後)。

薄膜シリコンの分類の中には非結晶らしいが、アモルファスシリコンというものもある。

こちらは薄膜タイプなのに、多結晶よりも発電効率が高い(18%以上)そうだ。

さらに、光を吸収して反射しないらしく、眩しいという苦情がこない。

薄いということは材料が少なくて済むので、コストを下げられる可能性がある。

実際、最近はこのアモルファスシリコンと結晶シリコンの組み合わせたものが主流になりつつあるそうだ。

 

 

本日は薄膜がたくさん出てくる。

このシリコン系ではアモルファスシリコン

次に有機半導体は全て薄膜である。

 

 

次にシリコン系ではないもの。

化合物半導体系太陽電池

シリコンを用いずに他の比較的供給の安定している元素の組合せにより半導体的性質を持たせることで開発された太陽電池

CIS太陽電池は銅(Cu)インジウム(In)セレン(Se)を原料とする化合物半導体系太陽電池

CIGS太陽電池は先の3つの元素にガリウム(Ga)を加えた4元素からなる化合物半導体系太陽電池

他にもあるが、覚えられないので、CISとCIGSを例示するにとどめる。

いずれにせよ、シリコン(ケイ素)を使っていない。

しかし、よく分からないのが、ケイ素なんて地球上に酸素の次に多い物質である。

まあ、水素と一緒で自然界に単体で存在していないので、取り出すのが大変なのかもしれないが。

発電効率は実態は12~14%ほどらしいが、潜在能力は単結晶を上回るそうだ。

理論上、とういことだろうか。

 

勘違いしないように書いておくが、化合物系太陽電池も半導体を使っている。n型とp型である。

シリコンを使っていない、ということ。

仕組みは同じで、半導体として、シリコンかCIS(銅+インジウム+セレン)かの違い。

しかし、この違いにより、とっても薄い。

これはメリットだが、当然デメリットもあるから、普及していない。コストが高い。

ちなみに、昭和シェル石油の子会社のソーラーフロンティアが作っている(作っていた?)

また、海外では化合物系太陽電池もそれなりに使われているそうだ。

おそらく、ここまでが実用化、大量生産されている太陽電池。

以下は、今後の太陽電池。

 

 

有機系太陽電池

シリコン系太陽電池や化合物半導体系太陽電池のように無機物を原料とするのではなく、有機物を原材料とする太陽電池

では、有機物とは何だろうか。

これは聞いたことのない名前が並ぶ。

一応書いておくと、「有機半導体には有機電荷移動錯体と、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリンのような様々な直鎖状ポリマーがある」そうだ。

 

この有機系は有機薄膜と色素増感型に分かれる。

有機薄膜は、p型とn型の半導体を無機ではなく有機物で作るということ。

とても薄く重量が軽いが発電効率に課題あり。

しかし、有機薄膜はペンキのように塗布できる。

さらに、ペンキのように塗布できるということは材料費、製造コストがとても安価にできる、ということ。

あれれ、p型とn型を接着させるのでは、と思うかもしれないが、混ぜてしまうのである。

そして、光がn型半導体に当たれば電子がはがれてp型に移動する

光がp型半導体に当たれば正孔ができて、n型の電子を引っ張ってくる。

nでもpでもどちらに光が当たっても良いのである。

nとpの混合層の外側にnバッファ層、pバッファ層を設けて、電子を集めて吐き出すところと、入れ込むところを作るようだ。

つまり、かなり複数の層になっている。

ということらしいが、間違っているかもしれない。

 

とにかく、シリコン、化合物とは大きく異なる。

そして、nとpの混合層がゆえに接触面積が大きく、理論上の発電効率は高い。

現在は実証段階だろうが、いずれは主流になる可能性もあると思う。

塗って作れて柔らかい、というのは魅力的である。

これは後述する、また本日の主役のペロブスカイト太陽電池とも似ている。

どちらが主役の座を射止めるのか、熾烈な競争が続いている。

ちなみに、発電効率は10%をちょっと超える程度。まだまだかな。

 

 

一方、色素増感型はまったく発電方法が違う。

シリコン系や化合物系や有機系の中でも有機薄膜は半導体のpn接合を持つ。

しかし色素増感型は太陽電池と異なる。

この色素増感型が次に説明するペロブスカイトのルーツと言われている。

色素増感太陽電池では、化学的な酸化還元反応が光エネルギー変換を行うもの・・・何を言っているのか分からないので、一つ一つステップを見ていく。

 

まず、中学理科の電池の実験のような仕組みであること

ヨウ素溶液の中に電極を2つ指して、溶液外で電子の通り道を作ってやる。

電極は酸化チタンとカーボンなど。

そして酸化チタンには色素を吸着させておく。

この色素とは可視光線の吸収・放出により、色をもつ物質のこと。

ニンジンに含まれるβ-カロテン(黄橙)、トマトに含まれるリコピン(赤)、ブドウやなすに含まれるアントシアニン(紫)、植物のクロロフィル(緑)などは、有機物系の天然色素

さて

・酸化チタン多孔膜に吸着している色素が、光を吸収

・色素から電子が酸化チタン多孔膜に注入

・酸化チタン多孔膜に注入された電子は、透明電極、外部回路を通って、対極へ移動 → このとき電気が流れる

・対極の表面で、電子は、電解液中のヨウ素(I2)に渡され、ヨウ化物イオン(I)ができる。

・ヨウ化物イオン(I)は、光を吸収して酸化された色素に電子をわたし、色素は再生する。そして、ヨウ化物イオンは、再びヨウ素(I2)となる。

 

なので、電子としては酸化チタンでなく色素から放出されるようだ。

その電子を酸化チタンが受け取る。

この電子を渡した色素は+になっておりヨウ素溶液を+にしている。

電子が外部からカーボンなどの電極を通して戻ってくるとヨウ素イオンは還元される。

還元されたヨウ素イオンから色素は電子を受け取って安定する。

そして、光を浴びてまた電子を離す。

このサイクルを繰り返すものが色素増感型。

増感というのは、可視光だけでなく曇り空でもOKらしい。

シリコン太陽電池や化合物系、有機薄膜の場合は、p型、n型の半導体から電子が流れ出ていたが、この色素増感型は半導体は使っていない。

色素増感タイプは、半導体を使わないところが、他の太陽電池と一線を画している。

酸化還元反応が電気エネルギーを作っている、ということ。

本来は紫外線しか吸収しない酸化チタンに、色素をまとわせて可視光増感させたことが、この電池最大の特徴。

電解液を使用するなど短所もあるが、低コスト・省エネルギーで製造可能な太陽電池として注目を浴びているようだ。

 

 

結局、発電しようと思うと、物質の電子を移動させることが必要となる。

その電子をどのように移動させるかで発電方式が違うのだが、ここに新たなヒーローが生まれそうな技術がある。

それがペロブスカイト太陽電池。

 

実験室レベル(小さいセル)だが変換効率が25%まできている。

シリコンとの組み合わせたタンデム型では29%に近づいているそうだ。

100℃以下の工程で制作可能らしい。

これがガラスだけでなくフィルムを基板に用いることができるらしい。

基板がフィルム基板とガラス基板がある。

このフィルム基板の場合、塗布するらしい。

塗布、というと有機薄膜を思い出すはず。

そしてフィルム基板への塗布による方式では日本のメーカーが優位にあるらしい。

 

このペロブスカイトというのは構造結晶の名称。

物質としては、灰チタン石と呼ばれる鉱物を使っているそうな。

これは結晶構造をしていて、つまり粒子が規則正しく配列している個体になっている。

 

この結晶構造をした物質の中に、太陽光に反応する半導体としての性質のある物質が発見される。

つまり、ペロブスカイト太陽電池とは、ペロブスカイトという物質を使っているのではない。

正確な表現は、ペロブスカイト構造の物質を半導体に利用した太陽電池、ということになる。

具体的な物質は、書いても仕方ないが、メチルアンモニウム、鉛など。

鉛を使ってるところが安全性に懸念を持たれているところ。

 

 

さて、では発電の仕組みは従来のシリコン系や化合物系のようにpn型の半導体を接着させるタイプなのか。

答えは、色素増感型に近い、が有機と無機とハイブリット型というのが正確な表現のようだ。

しかし、塗布や印刷で製造できる、というが、それを聞くと有機薄膜タイプのようにp型とn型を混ぜて塗料とするタイプのように感じるのだが・・・

色素増感型は蓄電池のように、電解質みたいなものがあり、両極に電極があるように認識しているのだが・・・

とにかく、電流を流そうと思えば物質から電子を取り出して、外部の経路(負荷)を通って、また元に戻るサイクルを作ってやらないといけない。

それがシリコンのような半導体、または化合物の半導体、または有機物の半導体があった。

色素増感では、色素から電子が飛び出していた。

シリコンにしろ、色素にしろ光が当たることで電子が飛び出す性質を利用するものだった。

ペロブスカイトはどうだ。

シリコンの場合、リンやホウ素を混ぜて、n型とp型を作っていた。

ペロブスカイトの場合は単体で、その回りに電子輸送層とホール輸送層でサンドするような形のようだ。

その点で有機薄膜系の流れを汲んでいる。

つまり、有機系の半導体と同様に、ペロブスカイトは光に当たることで電子を離すのだろう。

そして、メソポーラス酸化チタンを色素増感層に使っている

しかし、ここに色素増感のアイデアが取り入れられている。

そして、色素増感太陽電池最大の欠点だった電解液(ヨウ素溶液)を用いず、完全に固体のペロブスカイト結晶によって光増感層が置き換えられている。

ペロブスカイト太陽電池は有機薄膜型と色素増感型を組み合わせたハイブリット電池とよばれている。

 

課題、それは鉛を使っていること。

鉛は中毒症状を起こすので使いたくない物質である。

後は耐久性。

この辺りが課題かと思われる。

 

6000文字に迫る勢いなので、この辺りで終了。

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