道路というインフラ 1/2回目

先週、久しぶりに投稿したが、やはり文章を書くには慣れが必要。

なかなか筆が進まなかった・・・キーボードが打てなかった。

何を書こうか迷ったところもあるのかもしれない。

ここは一つ、ブログの原点に立ち返り、インフラについて一つ一つ書いていこうと思う。

ちなみにブログの原点とは、公共インフラに関する気づきをメモする、ということ。

公共インフラと言っても、道路、河川、港湾、上下水、鉄道、電力施設、海岸施設、空港・・・などなどがあるが。

 

 

まずは、道路について書いていこう。

なんと言っても、インフラの代表格は道路だろう。

何回かに分かれて書くことになると思うが。

 

 

日本の道路はどのように整備されてきたのか。

久しぶりの投稿なので、少し歴史的なところから。

1950年代、世界銀行のワトキンス調査団は「日本の道路は信じ難いほどに酷い、工業国でありながら、これほど道路整備を無視してきた国はない」と言ったという。

ほとんどの道が未舗装、じゃり道というやつ。国道でも舗装してあるのは2割もなかったらしい。

それから70年が経過し、2020年、道路法で定められた道路の総延長は127万キロ。

比率でいうと高速自動車国道は1%未満。

市町村道が80%を超えている。

幹線道路である一般国道や都道府県道が20%弱ということになる。

現在も毎年、4000キロ程度が新設されている。

もちろん、舗装率も8割を超えている。国道に至っては99.5%の舗装率となっている。

 

 

ワトキンス調査団に酷評された道路水準を高めるため・・というより、急激に進展してきたモータリゼーションに合わせるため、一気に道路整備を進めた、ということ。

 

我が国は、道路をどんどんと整備するため、2つの制度を作る。

一つが 特定財源制度。

代表的なものは、ガソリンの購入に税をとり、その財源は道路整備に充てるとしたもの。

1952年?ごろ、に作られているので、戦後7〜8年後のことである。

ちなみに、この道路特定財源は平成21年度に一般財源化されている。

それなのに、ガソリン税などが廃止されていないことを問題視する声があるのは事実。

 

 

二つめが、有料道路制度。

日本道路公団を作り、高速道路を作らせた。

1963年にに名神高速道路が一部開通している。

高規格幹線道は14000キロの整備目標をたて、9割近くの整備率のはず。

こちらも、将来的には無料化する建前のはずが、一向に無料化に向かわないことへの批判の声があるのも事実。

 

 

いずれにしても、まあ、しっかりと制度を作り道路整備は着実に進んできた。

冒頭で書いた127万キロという延長まで道路整備が進み、地球30周以上になった。

しかし、少し補足をしておきたいが、このうち、80%以上は市町村道である。

市町村道の多くは、戦後の区画整理により整備されている。

そのため、普段の通学や買い物などで使う道路には、この2つの制度が絡んでいるわけではない。

あくまで、日本全体を見渡した時の、高速道路や都市計画道路などの幹線道路の話である。

 

 

ところで、国交省はまだまだ道路が足りないと言ってるのをご存知だろうか。

高規格幹線道路、いわゆる高速道路が9割整備できても、地域高規格道路が必要だ、ということで平成6年に広域道路整備計画が策定され6000キロが指定された。

今現在は、さらに広域道路というものが検討されている。

これは地域高規格道路を補完する道路。

ぼく自身は、これ以上道路が必要かどうかは分からない、というのが本音のところ。

ヨーロッパなどの比べるとまだまだ不足しているというデータもあるそうだし。

 

 

それよりも、ぼくが心配しているのは、1950年後半から急速に整備された道路は今、老朽化の波をむかえている、ということ。

その対策の方が、地域高規格道路や広域道路の整備よりも先決だとは思うのだが。

しかし、先回のブログでも書いたが、老朽化対策としてのインフラメンテナンスは経済的な効果が弱い。

雇用を産むという側面は当然あるのだが、新たな価値を生み出すかといえば、その点は弱い、と言わざるを得ない。

経済的にマイナスになるのを防ぐ程度の意味しか持たないのではないか。

現状維持なのである。

だから、どうしてもメンテナンスには力がはいらなかった。

 

少し、老朽化対策について書く。

現在の老朽化対策は、平成24年12月、2012年に中央自動車道の上り線、山梨県大月市の笹子トンネルでの天井板崩落事故により多数の死者を出しことから始まった。

平成26年には、道路橋、トンネル、大型カルバート、横断歩道橋、門型標識と言った施設について、5年に1回の近接目視点検を道路法施行規則において義務付けた。

同時に点検要領も定めて国直轄、自治体いずれもが対応できるような仕組みを作った。

その後、舗装、小規模付属物、道路土工と施設数を増やしていった。

いずれも、1960年代からこれまで一貫してして整備ばかりにとらわれ、メンテナンスに意識がいってなかったことへの遅まきながらの反省を込めた対応だろう。

そして、その要領においては予防保全という管理手法を執ることになった。

予防保全とは、壊れる前に軽微な損傷のうちにこまめに手を入れ、トータルコストを減らす、というもの。

これを家庭に応用するならば、給湯器が完全に動かなくなってから交換するのではなく、定期的に部品を入れ替えしておいて、完全に壊れるまでの時間を稼ぎ、その結果、長い目で見たら、トータルとしたら安いよね、という状況。

ただ、家庭の給湯器の場合、家に業者が来てもらうだけで1万円、2万円と飛ぶので、実際のところどっちが安いのかは不明。

いずれにしろ、今現在は年間1.7兆円かかっている道路関係の年間維持費は、2050年頃には4兆円に達すると言われている。

しかし、国交省は、予防保全型に変えることで、2050年頃においても2.2兆円程度に収まるとの試算を発表している。

 

 

ただ、ぼくはとても懐疑的に見ている。

1950年代後半から一気にインフラ整備が始まっている。

2050年というと、まだ100年経過前の話である。

国交省の試算は道路橋にしろトンネルにしろ、寿命をどう考えているのだろう。

永久構造物と考えられるならば、国交省の試算で良いのだが、コンクリートが200年も300年も持つとはいわれていない。

どういうことかというと、簡単な話である。

更新するときは一般に新設費の1.5倍の費用が必要とされている。

この率は施設によって違うとは思うが。

何が言いたいかというと、高度経済成長期、インフラに投資した費用の1.5倍近い費用が、最終的に施設が寿命を迎えるときは必要になるのではないか、ということ。

2050年という、施設を総取っ替えしなくていい時点では、2.2兆円でメンテできます、と言っているかもしれないが。

 

 

施設というようり物質としての寿命が来ないか、ということ。

石や土でできた堤防などは永久構造物と考えて良いと思うが、鉄筋コンクリートでできた橋梁はどうだろう。

空気中に晒された鉄筋コンクリートの本当の寿命がどのくらいのなのか。

 

高度経済成長時代のインフラ投資額はどのくらいだろう?

今の貨幣価値と違うので比較が難しい。

公共投資だけではなく、日本中で民間による土地区画整理によりインフラは整えられている。

さっきの生活道路の話。

今は全て行政管理になっているから、それらの当時の民間開発により整備された施設の更新費用も上乗せしなければならない。

このご時世、インフラメンテナンスだけのために、国や地方がそんな予算をかけてインフラ施設の更新ができるのだろうか。

 

今日はブログはかなり非観的なトーンになっているが、次回はもう少し明るい部分に目を向けていこう。

補足だが、ダムなどの鉄筋を一切使ってい無い構造物は半永久的に壊れない、とも言われている。

エジプトのピラミッドがメンテナンスをしっかりと行えば、半永久的に残るように。

もちろんメンテナンスは必要だろうけど。

 

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