スパーシティ法案をメモる

スパーシティ法案が昨日、参議院の特別委員会で可決されたらしい。

次は本会議で可決する必要がある。

最初に伝えると、ぼくはこの法案に賛成である。今のところ。

どうも、廃案にしろ、というSNSが巷で賑わっているようだけど。

 

 

こういう施策を進めるとき、一般的に反対意見は大きくなる、ということ。

法案を通そうとしているときに、「反対」というデモは起きても、「賛成」というデモは起きない。

法案を通せ通せ、という声は大きくならない。

だから、どうしても反対意見一色のように見えてしまう。

このカラクリが見えないと、皆んなが反対しているように見える。

 

 

 

この法案は別名、国家戦略特区の改正法案である。

というか、こちらが正式。

国家戦略特区といえば、森友問題、かけ学園でおなじみの規制緩和のための法案である。

ここも何か印象が悪い。

歴史は、小泉内閣のときの構造改革特区から始まる。

国家戦略特区とは、ある特定の区域において、特定の事業に対し、規制を緩和する、というもの。

それに対し、スーパーシティ法案は、ある特定の区域において、複数の事業に対し、規制を緩和する、というもの。

複数の事業といっても、もちろん何でも言い訳ではない。

規制の緩和を申請して認められた事業なわけだけど、申請の仕方が、これまではその事業を所管する省庁にそれぞれ提出しなければいけなかった。

一つの事業を進めるには、いくつもの規制が横たわり、その規制はそれぞれ所管省庁がある。

その省庁一つ一つと事業者は規制緩和に向けて調整していく。

しかし、その調整は簡単ではない。

A省庁が条件を付けてクリアすると、B省庁はA省庁がつけた新条件ではダメ~という。

そんなことで、B省庁で新たな条件が付けられる。

A省庁に戻って再度調整すると、B省庁の付けた条件ではダメ~という。

C省庁も入ってきて、てんやわんや。

事業者は、各省庁との戦いに疲れてしまい、結局、大きな規制緩和につながらなかった。

もちろん、省庁は意地悪をしている訳ではない。

それぞれの省庁は、それぞれの省庁の目的達成のためだけに動くので、結果そうなる。

なぜなら、省庁の人間は、日本全体が良くなることは望ましいが、それよりも、組織人の務めとして、自分が所属する省庁が良くなるように動くことが正しい、と思い込んでいるから。

全体を眺めたとき、自分の省庁が少し傷を負っても仕方ない、という発想はない(本来は傷でも何でもないけど)

その省庁に入れば、その省庁の為に全力を尽くす。

同じ組織で働く仲間のために頑張るんだ、という何とも了見の狭い正義心で動いてしまう、悲しき知恵の浅い人間の集まり、それが役人。

役人の悪口はこれくらいにして。

 

 

話を戻す。

今回の法案では、一つの事業だけでも大変な規制緩和を、複数の事業で、規制を一気に緩和する、というもの。

手法としては、事業者が省庁と個別に調整していくのではなく、事業の構想を特区担当大臣に提出して、認められたら、それでOK、というもの。

特区担当大臣とは、内閣総理大臣である。

内閣総理大臣が事業者と変わって、省庁と調整して判断してくれる、というもの。

だから、事業者は省庁との闘いによる労力が大幅に低減される。

 

 

 

もう一つ、事業者が行政の持つ情報を国や自治体に提供を求めることができる、ということ。

どうも、ここがSNSで批判されているらしい。

もう少し説明すると、行政機関は様々な情報を所有している。

この情報はあくまで行政機関が行政目的のためだけに使うことが前提とされている。

そのため、この情報を民間事業者が手にすることになる制度ではないか、ということで批判されている、ということである。

確かに、カナダのトロントでも、個人情報の観点から、住民の反対が起きて、グーグルの兄弟会社が撤退することになった。

個人情報の取り扱いは、本当にナーバスな案件であることは間違いない。

ただ、現段階では、個人が特定できるような形での情報取得はできない、となっている。

まあ、確かにその辺りは、個別ケース、というような不明瞭な答弁もあったようで、そこは詰めが甘いのではないか、と思う。

だけど、ユーチューブやSNSでの批判の内容は意味不明。

例えば、

個人は特定されなくても、どのような移動をしたか取得されるのは嫌だ!とか、

個人は特定されなくても、どのような買い物をしたのか取得されるのは嫌だ!とか。

 

 

確かに、データ取得によって、何も成果がないのなら、何でデータ取る必要あるの?と問いたくもなる。

でも、データを渡すことに、どれだけメリットがあるのかを考えてほしい。

 

 

政府は10の領域でイノベーションが起こると考えている。

ちなみに、スーパーシティの定義はその10の領域のうち、5以上の領域をカバーすること。

10の領域を見ていく。

 

1 移動

MaaSが実装された社会の移動はスムーズになる。

自動運転が可能となったエリアの利便性は高くなる。

信号制御やデータ活用による渋滞が減少する。

しかし、批判する人は、移動が丸見えになる!と怒っている。

移動が丸見えになるくらいなら、渋滞で毎年12兆円の貨幣損失が出ているけど、それでも良いんだ。

MaaSで、移動時間が短く、移動料金が安く、CO2削減かつ空気が綺麗になるんだ、としても、移動が見られることが嫌なんだ、と。

その移動は、別に個人が特定される訳でもないけども、でも、何となく嫌だ!ということなのかな?

 

2 物流

自動配送、ドローンによる配送なんかも可能になるかも。

これまでもよりも配送時間が短く、安くなる。

もちろん、渋滞の問題も副次的に解消される。

 

3 支払い

これは、すでにキャッシュレスが進んできたので、問題ないのかもしれない。

このように、少しづつ実装していくしかないのかな。中国に負け続けるね。

 

4 行政

オープンデータプラットフォーム、という国交省の施策がある。

行政の持っている地図データや土質データ、埋設管の情報など。

他にも、ワンストップ窓口など、利用者にとってかなり便利になる、と思われる。

 

5 医療・介護

これはコロナ禍で、話題になったオンライン診療。

日本医師会が反対している、だとか、初診は直に見ないと分からない、とか。

そういう場合もあるだろうし、それによって救われる人たちもいるだろうし。

ゼロイチの議論ではない気がするんだけど。

 

6 教育

AI教員、オンライン教育などなど。

今回のコロナ禍では、かなり進むと思われる。

逆に、もっと早く進めておけば、今回もっとスムーズに対応できたはず。

この法案に反対の人は、このオンライン教育が進められなかった事で、今回のコロナ禍で教育が受けられなかった被害について、責任を負うべきだろう。

 

7 エネルギー・水

これは、昔からあるスマートシティ。

スーパーシティの下位概念。

スマートシティは、この分野に特化したまちづくりだった。

これも電気料金が安くなるだろうし、環境にももちろん良い。

 

8 環境・ごみ

これもスマートシティ時代からある考え方。

 

9 防災

防災システムや緊急時の自立エネルギーシステムなど。

防災の中でも、被災した直後の暮らしを支える部分が強くなる。

 

10 防犯・安全

これはSNSで批判されている。

ロボットにより監視される!というもの。

監視カメラが町中に設置されて、いつも見張られている、というもの。

個人が特定されない形でも、なんか気味が悪い!というもの。

本当に皆そんな意見なの?

だって、多くの町内会で街中に防犯カメラを設置しているでしょう?

あれは犯罪の抑止力にもなるし、防犯カメラによって犯罪者を特定できる、と思って町内会費から払って設置している分けでしょう?

自分は絶対に犯罪に合わない、という呑気な頭でありながら、皆が批判するスーパーシティ法案には、私も反対しておこう、的な極めて思考の浅い人たちだとぼくは思う。

いざ、子供が誘拐されたり、ひったくりあったり、ひき逃げされたとき、どうやって解決するつもり?

 

 

ざっと10の領域を見てみたけど、個人情報のところを政府はもっと国民に伝えなければいけない。

確かに、その辺りの答弁、個人情報と行政情報の取り扱いの違いなど、もっと説明を尽くすべき。

仮にある程度の個人情報を取得しなければいけないのなら、それは仕方がないね、と国民に思ってもらうくらいのメリットを示すしかない。

他国の事例からでも、問題がないことを伝えないといけない。

政府の諮問会議もマスコミに情報発信を頼らないで、自ら有名人を使ってユーチューブなどで発信していく必要がある。

いつまで経っても、マスコミの視聴率を優先した編集内容に翻弄されてしまう。

マスコミだって視聴率の競争をしているわけで、少しでも過激なことを放送したいし、政権批判の方が視聴者に受けるにきまってるのだから、理想論だけでマスコミを動かすことはできない。

政府自ら情報発信を考えた方が良いと思う。

 

 

最後に、

今日も、どこかのブログで書いてあった。

〇〇という企業は個人をポイント化、点数化している。

いつも予約してドタキャンする客や過去に問題を何度もおこすような利用者、支払いを滞納している顧客を点数化している!と猛批判。

・・・・もう、よく分からない。

その〇〇企業のどこが問題なの?

批判する人らは、自分が店を経営していて、予約が入っていたのにドタキャンされてみなよ、と。

人間を点数化する=中国のような監視社会

と短絡的に考えていないか?

いや、もっと言えば、ポイント化されているから、メルカリだって安心して買い物ができる。

ぼくも、メルカリを利用して売り買いをするけど、売る時はなるべく早く丁寧に対応する。

逆に、買う時も相手は丁寧に対応してくれる。

それは偽善であっても良い。

気持ちよく取引ができるのは、裏にポイント化されるという規制があるから。

その規制が外れたら、怖くってメルカリは成り立たないだろう。

顔のしれた人間関係で偽善は嫌だけど、赤の他人と交わる社会に規制や監視は必要。

メルカリが成り立たなければ、安くモノを買ったり、不要になったモノを高く買ってもらったりすることはできなくなるから。

 

 

そんな訳で、ぼくは、スーパーシティ法案には賛成している。今のところ。

竹中平蔵氏がこの法案作成に関わっている、というところを持って批判している人もいるけど、それも論理破綻。

 

実際、現時点では53の団体が国に対し、応募している。

ぼくの住む自治体もどうやら応募していたらしい。

 

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