〈技術士1次試験〉H30年度・29問目 道路工学

今日は道路工学の勉強。平成30年の建設部門の過去問、29問目の問題。道路工学。

問題文は「公益社団法人 日本技術士会」のHPで閲覧ができるようです。

「公益社団法人 日本技術士会」過去問(平成30年度 第1次試験)

道路が新たに作られることも少なくなってきたと思う。

財務省は社会資本整備は概成しつつある、とのスタンスだし、国交省は重点化を図ることで、まだまだ必要な整備はあるとの方針。

道路を設計することはなくても、どうやって道路の構造が決められたのかを知っておくことは重要だと思うので、今日はそういったことを意識して問題を解いてみる。

 

 

選択肢① 計画交通量

 

計画交通量とは、計画目標年次に予測される日交通量のこと。

計画目標年次というのは、10年から20年程度

昔は20年だったのが、最近は10年程度とする場合がある、とのこと。

交通センサスという交通量のデータだと、最近の傾向として、年々、少子化の影響もあるのか、交通量は少なくなる予測がされるのが大半。

なので、20年後というと、規模の小さい道路設計になるからかもしれない。

でも、本当に規模が小さくて良いなら、あえて過大設計する必要もないと思うけど。

こんなところからも、財務省に不信感を抱かれるのではないか、と思うがいかに。

 

また、日交通量というのは、1日あたりの交通量のこと。

だけど、正月と年末では全然交通量は違う。

では、いつ?

答えは年間交通量を合計して365日で割った台数のこと。

さて、選択肢を読んでみる。

これは日交通量とは30番目日交通量とするのか?

あれ、年平均の値をとるということじゃなかったっけ?と考えればよい。

計画目標年次の年間の平均した日交通量を計画交通量というのだから、即答できる。

ちなみに、30番目時間交通量というものがある。

これは30番目日交通量と間違い探しのような語句だけど、ここはまた別の機会で調べることにする。

 

 

 

選択肢② 車線の幅員

 

これは道路構造令において、道路の区分ごとに決まっている。

ちなみに、都市部の道路は4種。

そして、4種はさらに4つの級に分かれる。

500台

4000台

10000台

という3本の区切り線ができるので、4つの級に分かれる。

そして1級となる10000台以上、そしてその級の幅員は3.25mと決まっている。

2級と3級は3mと決まっている

4級は道路部が車道も歩道もないので、車線幅員を規程はしていない。

さて選択肢を読む。

ここには設計速度が関係あるのか?

設計交通量は関係あるのか?という問い。

ちなみに、一見すると計画交通量により、種別が分かれて、それに応じて幅員が決まっているのだから、設計速度は関係なさそうに見える。

しかし、道路の種別が決まった時点で設計速度も縛られる。

つまり、設計速度が関係ない、ということはない。

 

 

 

選択肢③ 建築限界

 

簡単にいうと、車道では車両が安全に通れるように、歩道では人や自転車が安全に通れるように、これは何にもぶつからずに通れるように、ということ。

車道では高さは3.8mの車両が通ることを前提にしている。

そこに余裕0.7mをみて4.5m。

この4.5mが車道の建築限界となる。

だから、横断歩道橋は道路面から歩道橋の下端まで最低4.5mはクリアしていることになる。オーバーレイも考え、0.2mほどさらに余裕を見て4.7mの離隔をとって設計することが多い。

ちなみに、重要物流道路の車道の建築限界は0.3m高くて4.8mとなっている。

また、歩道は高さ2.5mとなっている。

 

 

 

選択肢④ 線形設計

 

線形については、速度は当然関係してくる。

高速道路を見ればわかるが、カーブがきつい所は速度を落とすよう規制がかかっている。関係おおあり。

 

 

 

選択肢⑤ 車線数

 

少し面倒だけど、しっかりメモろう。

車線数を決めるときも、やはり最初の一手は、道路の区分と級別。

例えば、4種2級の道路となれば、都市部の道路で、計画交通量が4000台以上10000台未満となる。

 

次にやることは、設計基準交通量をチェックする。

4種の場合

1級→12000台、2級→10000台、3級→9000台

と決まっている。

ややこしいのが、交差点が多い道路の場合、0.8を乗じた値を使う。

つまり

1級→9600台、2級→8000台、3級→7200台

そして、計画交通量がこの値以下ならば、車線数を2とする、という規程。

 

 

 

例題を考える。

都市部で計画交通量が6000台の道路設計ならば何車線?という問題。

まず、区分は4種2級になる。4000~10000台なので2級、ということ。

次に交差点が多い場合、2級だから8000台以下は車線数2になる規程なので、6000台なら車線数は2と自動的に決まる。

 

 

 

では、少し応用例題。

都市部で計画交通量が20000台ならば何車線か?

まず、級は10000台を超えているので1級。

交差点が多い道路を計画する場合、9600台以下なら車線数は2で良いが、今回は20000>9600台なので、車線数は2ではない。

3というのはないので、4車線になると予想される

重要なのは、ここでは2車線ではダメということが決定されただけ。

次に正確な車線数の検討は、1車線あたりの設計基準交通量で求めることになる。このあたりは道路構造令第5条をみると出ている。

第4種の区分の道路は

1級→12000台、2・3級→10000台。

これが、1車線あたりの設計基準交通量となる。

そして交差点が多い道路の場合も、数値が別で定められていて、1車線あたり~の場合は0.8ではなく0.6を乗じることになる。

1級→7200台、2・3級→6000台

車線数は、1車線あたりの設計基準交通量に対する計画交通量とされている。

つまり、車線数=20000÷7200=2.8

つまり、2.8ということは2では捌ききれない。しかし4は超えていない。

往復で考えると3はないので、4車線ということに決定する。

ここで、もう一つ。

 

 

 

 

超応用問題。

14400台が計画交通量の場合は何車線必要か?

1級なので9600台を超えているので車線数は2は超える。

では1車線あたりの設計基準交通量から車線数を出そう。

車線数=14400÷7200=2 

2車線が正解!と思ったら、これが間違い。

9600台を超えているので2は超える。ここまでは規定されてしまっている。

計算すると2になるので4は超えていない。

じゃあ4車線。これが正解。

 

 

もう一つ。では、計画交通量43200台ならば?

まず1級。9600台を超えているので2車線以上。

43200÷7200=6車線。

まり、43200台を超える計画交通量の道路の場合、6車線となる。

6車線となると片側3車線なのでかなり大きい幹線道路となる。

なので、6車線道路をみたら、計画交通量、つまり年間の平均で1日あたり43200台くらいが走行すると予測されて作られた道路なんだな、ということが分かる。

 

 

 

この問題を通しての学び。

街を歩いていて、道路の車線数を見たときに、計画交通量が何台くらいなのか、というのを予想できるような感覚が持てるようになる、ということかな。

主要幹線道路の場合、都市部では4種1級道路と思って間違いない。

次に、4車線ということは、7200×4=28800台が最大の計画交通量で設計された道路ということ。

ただし、設計基準交通量12000×0.8=9600台は超えているな、ということ。

つまり、計画交通量、つまり1日あたりの交通量、それも平均として9600~28800台として計画された道路なんだな、と思えばよい。

かなり範囲が広いけど仕方がない。

また、6車線をみたら同様に考える。

7200×6=43200台が最大計画交通量。

8車線なら7200×8=57600台が最大となる。

片側4車線なら5万台くらいかな~片側3車線なら3~4万台くらいかな、という感覚を持てるとよい。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*

CAPTCHA