今日は土質力学。
これはかなり基礎的な分野。
この基礎的というのは、簡単という意味ではなく、色々な土木分野の中の基礎になっている、という意味。
土工事の基礎、河川工事の基礎・・・と。
土木という語句にも土がついている。
それくらい土と土木は切っても切れない関係。
そして、そんな分野というのは得てして、分かりづらい。
というより、単に学生時代にしっかり学ばなかっただけなんだけど。
平成30年 技術士の過去問、1次試験の2問目 土質力学の問題を解いてみる。
問題文は「公益社団法人 日本技術士会」のHPで閲覧ができるようです。
「公益社団法人 日本技術士会」過去問(平成30年度 第1次試験)
選択肢➀ 被圧地下水
まず、地下水というものは地表水と比べて、とてもゆっくりな流れだということ。
その差は100倍~1000倍
地下水の速度は毎秒0.1~1mm程度と超遅い。
だから、山で降った雨水が地下水となり平野部で地表に出るまでに数年から数十年かかる、と言われている。
また、浅層地下水や深層地下水というものがあるよ、ということ。
また、砂や砂利のように水を通す層は帯水層、粘土のように水を通しにくい層を不透水層という。
一般に地下は帯水層と不透水層が何層にも積み重なっている。
なので、帯水層と帯水層の間には不透水層がある。逆も同様。
帯水層が水で飽和状態のとき、その帯水層の水は不透水層に上下から挟み込まれた状態。
なので、上下の不透水層に対し圧力をかけている。
そのような帯水層を被圧帯水層といい、そこを流れる地下水を被圧地下水という。
そして、この被圧帯水層は水源である標高の高い山からつながっていることが多く、そのような被圧地下水の場合、かなりの水圧がかかっているため、平野部で掘削すると、水が高く吹き上がることがある。
このような井戸を自噴井という。
選択肢② 地下水の全水頭
ベルヌーイの定理を思い出す。
p/ρg(圧力水頭)+v2/2g(速度水頭)+h(位置水頭)= 一定
ベルヌーイの定理については既にこのブログで過去問を解いているので参考にURLを載せておく。
冒頭で書いたとおり、地下水というのはとても速度が遅い。
毎秒0.1mmなんてのは動いていないのと一緒。
なので、無視できるのは速度水頭。
選択肢③ 土の透水係数
まず、ダルシーの法則というものがある。
これは土中を流れる地下水の速さを求める式。
v=k × i
kが透水係数。iが勾配
つまり、透水係数kが大きいと速い。つまりこの係数は大きいほど荒い、水が通りやすいというイメージ。
選択肢の問いは正解。
室内透水試験と現場透水試験がある。
室内透水試験には定水位透水試験と変水位透水試験がある。
この使い分けは砂など透水係数の大きいものは定水位を使い、粘性土などの透水係数の低いものは室内水位を使うらしい。
この問いは、このあたりで深入りするのはやめておく。
選択肢④ サクション
日本は地下水位は諸外国と比べて高いと言われており、平野部ではだいたい1m程度の深さで地下水に達する。
場所によりけりだけど、工事で掘削していてもそんな印象がある。
で、地下水位より上の土というのは、空隙が水で満たされていない。
つまり空気を間隙に含んでいるということ。
これを不飽和土という。
不飽和土は、土の中に水と空気があることにより、挙動が変わる。
不飽和土の乾燥した土粒子によって、間隙内の水を吸い上げる力が発生する。
不飽和土の場合、土粒子、空気、水が混ざり合っている状態。
で、空気にも水にも、それぞれ空気圧と水圧がある。
選択肢の問いにある表面張力。
これは満杯のコップの表面張力を思い浮かべるのではなく、四方八方を土粒子で囲まれた狭い空間の中に水がある状態を思い浮かべてみる。
すると、四方八方から水は引っ張らている状態になる。
そのため、水があらゆる方向から引っ張られるので、空気圧よりも水圧が下がる、という現象がおきる説明。
で、その水圧と空気圧の差をサクション、という。
間隙のサイズが小さければ、水圧にかかる表面張力は強くなる。
その理由は、間隙が狭いほうが様々な方向から引っ張られることになる、ということ。
そのため、水圧がどんどん下がる。
結果、水圧と空気圧の差であるサクションは大きくなる。
海水浴に行ったとき、砂浜でトンネルが崩れないような砂山を作るには、水によって丁度良く湿っている状態である。
このとき、砂山が崩れないのはサクションによる結合力による。
選択肢⑤ 等ポテンシャル線と流線による図形的解法
まず、流線網とは何か?
流線網とは流線とこれに直行する等ポテンシャル線から成るもの。
次に、何のために流線網を描くのか?
地盤やアースダムの堤体内の水の流れや透水量を調べたいときに描く、ということ。
また、流線網を描くには、方程式を作って解く方法や模型を作って解く方法もあるらしいが、一般には図解法、つまりフリーハンドで描く方法が取られている。
今日はここまでにする。
また、H30年以前の過去問を見ながら、必要なら、さらに深く調べていくことにする。