1次エネルギーと最終エネルギー

さて、技術士の勉強も最近はさっぱり、という状況だが、決して遊んでいる訳ではない。

訳あって、エネルギー政策に関する部署に転勤となったため、そちらの業務が忙しく、なかなか資格試験の勉強にまで手が付いていない。

しかし、それはそれでOKと思っている。

本業を疎かにしていては、資格を取得しても意味はない。

給料をもらえる部署の仕事をしなくては。

 

しかし、エネルギー政策といっても裾野は広い。

電力土木などは土木との親和性が高いだろう。

しかし、今から火力発電施設をどんどんと作る時代ではない。

今ならやっぱり再生可能エネルギーでなければならない。

では、水力発電ならどうだろう。ダム建設か。

確かに、ダムは治水だけでなく発電施設を持つものが多い。

水力発電による電気エネルギーは再生可能エネルギーに分類される。

しかし、なんか違う。

 

とりあえず、エネルギー政策に関する業務に携わることになった以上、そちらの勉強をせねばならない。

というわけでは、これからは、エネルギー関連ブログになる。

国の省庁でいえば、資源エネルギー庁ということだろうか。

もしかしたら、カーボンニュートラルということで環境省かもしれない。

これまでも土木に関連する中において、エネルギー関連のブログ記事は何度か書いている。

ちょっと読み直してみよう。

 

気候変動のニュースが多い

洋上風力発電の事業者公募がはじまる

土木界のカーボンニュートラル

 

ぱっと、過去に書いたブログを見ても、エネルギー関連は環境施策との関係が深い。

少し、資源エネルギー庁だけでなく、環境省のHPもちょくちょくと覗いていくことにした方がよさそうだ。

 

 

エネルギーと言って思いあたるものは何だろうか。

何から勉強すべきなのか。書き出してみる。

資格としては「エネルギー管理士」というものがあるが、本屋でちらっと見たけど、難しそう。

電力システム・・・これは絶対必要と思う。

カーボンニュートラル関係・・・これも必要だろう。菅首相(元)が一昨年10月に宣言している。

過去にブログでも書いているが、温対法、エネルギー基本法などが昨年、改正されている。

他にも水素社会の到来・・・これも最近は耳にすることが多い。いわゆるトヨタのMIRAIは燃料電池車なので水素で動いている。

その他、再生可能エネルギー関連なども本屋でよく見かける。

風力発電、太陽光発電、バイオマス発電、地熱発電などなど。

 

とりあえず、今回は

日本のエネルギー消費の現状からみていこう。

エネルギーというのは、1次エネルギーと最終エネルギーというものがある。

例えば、天然ガスを輸入して、そのまま家庭でガスストーブなどに使う場合は、1次エネルギー(輸入したガス)と最終エネルギー(使用したガス)が同じとなる。

しかし、ガス会社はガスとして家庭に販売しているだけでなく、火力発電所で天然ガスを燃やして発電して電気として電力会社にも販売している。

そして電力会社は家庭に電気を販売して、家庭でエアコンなどに使う。

この場合、1次エネルギー(ガス)と最終エネルギー(電気)が違う。

ガスと石油は1次エネルギーと最終エネルギーが違うケースがままある。

しかし、原子力などは、ほぼ全てが電力に置き換わっているはず。

もしも最終エネルギーで原子力を使うとしたらプーチン大統領くらいだろう。←冗談

 

 

少し注意しないといけない事例としては、

よく電気自動車(EV)などはガソリン車と違ってCO2(温室効果ガスGHG)を排出しないクリーンな乗り物と思われるが、EVの燃料となる電気を発電するときに、発電所の方で、ガンガンと石炭や天然ガスを燃やしていては、意味がない。

だから、1次エネルギーと最終エネルギーをしっかりと区別しなければいけない。

トヨタのMIRAIも水素を燃料に排出されるのは水だけ、という建前だが、こちらも水素製造段階でCO2を排出している場合がある。

水素にもグリーン水素やブルー水素などと製造段階のCO2排出量によってグレードがある。

その辺りもしっかりと見なければいけない。

 

 

話を戻して、日本のエネルギー事情をみる。

この場合、最終エネルギーとして、どの部門がどれだけのエネルギーを消費したのか。

そして、各部門ごとにどんなエネルギーを使っているのか、という視点でみることにする。

 

 

さて、

1位 企業・事業所 63%

2位 運輸     23%

3位 家庭     14%

となっている。

 

ちなみに、企業・事業所の中身は、製造業44%、農林水産鉱建設業3%、業務16%となっている。

製造業とは家電、自動車、コンビニ弁当など、いわゆる工場などで製造される物がすべて該当する。

建設業は3%の中に入っている。

建設業は60兆円産業で、GDPの約1割を超えるものの、エネルギー消費量は小さいことがわかる。

しかし、この場合も注意が必要で、コンクリートを打設するのは建設業である。

確かにコンクリ打設だけの場合、CO2排出量は生コン車から排出されるものの、そう多くはない。

問題なのは、コンクリートの原料のセメントである。

セメントの製造段階で大量にCO2が排出されるが、それは建設業ではなく製造業の方でカウントされている。

最終消費者で分類するのではなく、その都度その都度の排出した瞬間の部門でカウントされているようだ。

 

そして、16%を排出している「業務」というのは、事務所・ビル、デパート、卸小売業、飲食店、学校、ホテル・旅館、病院、劇場・娯楽場などで消費されるエネルギーのこと。

サービス業っぽいけど、官公庁などもこちら。

イメージとしては事務職っぽい業務。

ホワイトカラーっぽいイメージ。

製造業や運輸になるとブルーカラーっぽい。

そう考えるとイメージしやすい。

 

 

運輸も旅客と貨物で別れる。

旅客14%

貨物10%

 

 

 

もう一つ、違う分け方がある。

これは、産業部門、民生部門、運輸部門という分け方。

こちらの方がメジャーかもしれない。

さっきの企業・事業所、運輸、家庭とはグルーピングの仕方が違うだけ。

 

 

産業部というのは、製造業、農林水産業、鉱業、建設業のこと。

なので、企業・事業所の63%から業務の16%を引いたもの、つまり47%となる。

では、業務はどこに入るのか。

それは民生部門。

民生部門は家庭(14%)と業務(16%)を足したもので、全体の30%にあたる。

 

このようなカテゴリー分類では

1位 産業部門 47%

2位 民生部門 29%

3位 運輸部門 24%

となる。

家庭でのマイカー利用のガソリン代は民生部門(29%)の中の家庭(14%)に入っている。

企業・事業所 製造業 44% 産業部門 47%
農林水産、鉱業、建設業  3%
業務 16% 民生部門 30%
家庭 14%
運輸 旅客 14% 運輸部門 24%
貨物 10%

 

エネルギー使用量は工場などで製造される自動車や家電品、食品が最も多い。

産業部門は製造業に農林水産や建設業を足したもの。47%なのでほぼ半分を占める

しかし、農林水産や建設業は3%なので、産業部門の排出はほとんどが製造業となる。

次が業務、これはスーパーや学校、病院などありとあらゆる仕事に関わる。

この業務に家庭を足したものが民生部門といわれる。

イメージとしては、物を作ったり、運搬したりするものではない業務。

この民生部門が30%と運輸部門の24%より多い。

運輸は24%なので1/4。若干、旅客の方が貨物より多い

これらはイメージで覚えるしかない。

 

 

 

では、次にそれぞれの部門ごとの最終エネルギー消費量を見る。

産業部門は、電力36%、石炭25%、石油21%、天然ガス14%、バイオ燃料5%と比較的にバランスが良い

民生部門は、電力52%、石油27%、天然ガス18%、バイオ燃料2%となる

運輸部門は、石油97%、電力2%、バイオ燃料0.6%

となる。

全体でみると、最終エネルギーは、電力36%、石炭25%、石油21%、天然ガス14%となっている。

特徴的なのは、運輸部門は97%が石油。

これは車のガソリンを思い浮かべれば当然という感じ。

しかし、鉄道は電気では?それは、エネルギー消費量は自動車の数が多いので、そのような差がついてしまう、ということ。

 

ちなみに、1次エネルギーとしては

1位 石油   38%

2位 石炭   27%

3位 天然ガス 22%

4位 再エネ   7%

5位 水力    4%

6位 原子力   2%

となる。こうみると、1位から3位までは輸入に頼っている。

その金額なんと10兆円超え。

つまり、日本はエネルギーの原料として10兆円を海外から買っていることになる。

だから、これらを原子力や再生可能エネルギーに変えることができれば、毎年毎年10兆円が国内から逃げ出さない。

 

ちなみに、注意しておきたいのが、この順位はエネルギーを何に頼っているのか、という順位。

だから、電力などのような2次エネルギーは出てこない。

例えば、エアコンを使えば、電気がエネルギーだけど、そのエネルギーは石油や石炭やガスなどを燃料に発電されたもの、ということ。

だから、日本でエネルギーとして1番重要なのは、現在のところ石油が圧倒的1位。

これは自動車を動かしているのがガソリンだから。

さらに石油から電気を発電しているから。

2位の石炭も電力にほぼ変換されている。

だから、石炭がないと電力(火力発電)が足りなくなってしまう、ということ。

この表から、この辺りを理解できるようになる必要がある。

 

 

では、次回は、産業部門、民生部門、運輸部門のそれぞれの1次エネルギーなどを深掘っていく。

 

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