コンクリート舗装(普通コンクリート舗装)

今日は少し空港を離れてコンクリート舗装についてメモする。

空港を離れると言っても、空港の誘導路やエプロンなどはコンクリート舗装が多く施工されているので、全く離れている訳ではない。

 

 

さて、日本ではアスファルト舗装がほとんどでコンクリート舗装は少ない。

その原因はいろいろあるけど、ダウエルバーやタイバー、クロスバーという鉄筋を設置したりと施工が大変、というのが大きい。

また、交通開放までの時間がかかる。

それは、つまり補修も大変、ということ。

それでも、コンクリート舗装が生き残っているのは、やはり利点も多いから。

そういう訳で、今回はコンクリート舗装について深掘っていくことにする。

 

 

 

コンクリート舗装の特徴として、コンクリートという材料に着目して数点メモしておく。

まず、コンクリート舗装版に作用する力は曲げ応力に注目する必要がある、ということ。

舗装版の上をタイヤが走行する。

その時、圧縮応力は1N/mm2を超えない。

1N/mm2とは、0.1kgf/mm2 = 100000kgf/m2 = 100tf/m2ぐらい。

 

 

タイヤの輪荷重は5000kgf=49000N と車両制限令で決められている。

タイヤの設置面積は、大きくても20cm×50cm=1000cm2ぐらい。

49000N/1000cm2=49N/cm2=0.49N/mm2 <1N/mm2

コンクリートの圧縮強度は一般に21N/mm2

一方、車両の荷重によってかかる圧縮応力は0.49N/mm2なので、無視できるレベル。

 

一方で曲げ強度は4.4N/mm2くらいを考えておかなければならない。

コンクリート版が波打とうとしているのに、その剛性のために拘束されて動けない。

つまり、材料内部で応力が発生しており、それは圧縮も曲げも引っ張りもあるが、曲げが強烈、ということ。

また、曲げ強度は圧縮強度と違って、セメント量を増やしたり、水/セメント比を小さくしても、比例関係で強度が上がるわけではない。

曲げ強度は粗骨材の硬さ、ペーストの付着力に支配されるらしい。

ちなみに、同一の供試体の場合、圧縮強度を1とした時、引張強度は1/10以下、曲げ強度も1/7以下になると言われている。

これはコンクリートの性質である。

余談だが、コンクリートは引っ張りに対抗しなければならない場合は鉄筋を入れないといけない。

 

 

次に、通常の構造物を作る時に使う生コンと、コンクリート舗装で使う生コンとでは、スランプが違う。

スランプが2.5cmという硬練りコンクリートを使う。

ただ、スリップフォーム工法の場合は3から5cmを使うらしい。

スランプが小さいということは水が少ないということで、それはつまり、水セメント比が小さい(50%以下)ことを意味している。

水セメント比が小さければ、セメントが少なくても強度が強いコンクリートを作れる。

つまり経済的ということ。

曲げ強度4.4N/mm2というのは、圧縮強度にすると30N/mm2を超える呼び強度となる。

かなり強度が高いことがイメージできると思う。

スランプ2.5というのはかなりギリギリで、スランプ1.5以下では、締め固めや仕上げは出来ない、と言われている。

また、アジテータ車での運搬は4以上なので、ダンプで運搬される。

 

 

 

他にもコンクリート舗装で使うコンクリートの特徴として、粗骨材の最大寸法は40mm。

これも大きい。

通常の小型構造物を作る時は、21−8−25

つまり圧縮強度21N/mm2、スランプ8、粗骨材の最大寸法25mm。

なぜ、施工性が悪くなっても大きい粒径の骨材を使うのか。

それは、骨材が大きい方が、同じ強度の場合のセメント量が少ない、ひび割れも生じにくい、と言われている。

つまり経済的ということ。

あと、鉄筋を使わないので・・・

と言っても、ダウエルバーやタイバー、メッシュを入れるのだが、扱い上は鉄筋と見做されない。

なので、転圧コンクリート舗装では最大粒径20mmとなっている。

 

 

以上、コンクリートという材料における特記事項を記してきたが、今度は、コンクリート舗装版としての注目点をメモしていく。

コンクリート版とは全体を遠目から見ると、薄っぺらい構造物として見ることができる。

乾燥、気温によって体積変化が生じて、どうしても引っ張り応力が発生する。

実際には、圧縮応力も曲げ応力もせん断応力も発生するのだが、やっぱりコンクリートは引っ張りに弱い。

そのため、ひび割れが発生する。

このひび割れをコントロールしようコンクリート舗装技術が生まれた。

わざと切り欠いて目地を作りひび割れをその場所で発生するよう誘導する。

しかし、その目地の部分では不連続になってしまう。

そうなると、上からの交通荷重に耐えられなくなるので、その部分に補強を行う。

他にも、温度上昇で膨張する。

膨張では圧縮強度は強くっても、もち上がって段差が生じてしまう。

そのため、そこでも目地を入れる。

 

 

目地の種類を書いておく

◯ 横目地ー収縮目地ーダウエルバーを使ったダミー目地

これはひび割れを誘導する目地。

硬化後にカッタで切断するカッタ目地(6〜10mm)か、硬化前に挿入しておいて硬化後に切断する打ち込み目地がある。

メッシュ金網を入れるなら、ひび割れを幾分抑制できるので間隔は10mピッチまで拡張。

ここでは、Φ25mmの丸鋼、ダウエルバーで補強してやる。

 

◯ 横目地ー収縮目地ーダウエルバーを使った施工目地

これは施工の区切りで出来てしまう目地。

突き合わせ目地ともいう。

 

◯ 横目地ー膨張目地ーダウエルバーを使った目地板の膨張目地

硬化後にカッタを入れるのだが、少し幅広く25mmのカッタ目地とする。

ダウエルバーもΦ28mm、32mmと一回り大きい丸鋼を使う。

間隔は100mから400mピッチ。

400m!というと、入れる必要あるのか、とも思うだろう。

実は収縮目地も一定の膨張目地の役目を果たしているので、近年では廃止する場合もあるらしい。

同様に

◯ 縦目地ーそり目地ータイバーと使ったダミー目地

◯ 縦目地ータイバーを使った突き合わせ目地

◯ 縦目地ー膨張目地ー排水施設に接する膨張目地

 

http://gijutu.com/7_2_3_20110828_cohosoukeisai2.pdf

上記の資料が非常に勉強になるのでリンクを貼っておく。

 

今回は、コンクリート舗装の中でも普通コンクリート舗装について書いた。

普通コンクリート舗装はスリップフォーム工法やセットフォーム工法という2つの工法がある。

あとは、ワンデイペイブのような養生期間が超短い工法もある。

普通コンクリート舗装の他にも、転圧コンクリート舗装や連続鉄筋コンクリート舗装という舗装がある。

その辺りも書いていこうと思う。

 

 

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