空港というインフラ 2/2回目

前回、空港というインフラについて超基本的なこと書いた。

今回は少し、土木っぽい内容で書いていこうと思う。

どちらかというと、技術士の択一問題の練習という感じなので、インフラシリーズのブログではないので、タイトルも少し変えた。

 

 

本格的に勉強するなら平成31年3月 国土交通省航空局より「陸上空港の施設の設置基準と解説」というマニュアル的なものが出ているので参考にすると良いと思われる。

ただ、実務でつかうレベルなので、資格試験ではここまで細かなところまでは出題されないが。

また、関西国際空港や中部国際空港、神戸空港のような海上空港にこの基準が準用されているのかは不明。

 

 

それではスタート。

まず、滑走路はどんな性能を満たしていないといけないのか。

飛行機がどのように離着陸したら良いかを考えるとわかりやすい。

当然、横風を受けるような方向に作ったらいけない。横風が許容値を超える時は離着陸を行えなくなる。

では、向かい風と追い風だと、どちらが良いのか。

それは、飛行機が飛ぶ理屈を考えれば当然だが、向かい風に向かって飛ぶのが有利である。

翼で揚力を使って上昇するのである。ジェットエンジンは前方に進むために働く力であって上昇する力ではない。

つまり、答えは卓越風向に沿った方位で設計することが必要。

ちなみに、卓越風とは特定の地域にもっとも頻度が多く吹く方向の風のこと。季節風などと違い、山地などの地形により変わる実際にその地で吹く方向の風のこと。

ちなみに、成田は北北西方向という感じ。中部はほぼ南北方向。関西は北東方向。とまちまち。

 

 

 

滑走路の長さはどうだろうか。

航空機の性能、搭載荷重、風速、風向きによって一定の基準が設けられている。

そのほか、離陸距離、加速停止距離、着陸距離についても検討しなければならない。

離陸距離とは、航空機が離陸滑走を始め、臨界速度に達したとき、エンジンが1基停止したとしても、そのまま滑走を続け、一定高度(10〜15m)まで上昇するするまでの距離。

加速停止距離は分かりやすく、臨界速度に達する前にエンジン1基が停止したとしても、そこから減速を始め、安全に停止できる距離。

着陸距離とは、着陸する航空機が高度15m地点を通過してから接地して定数するまでの距離に安全率100/60を乗じた距離。

そのほか、標高、気温、勾配による補正を行なって決定される。

ちなみに、成田は2500mと4000mの2本  中部は3500mの1本、関西は3500mと4000mの2本、羽田は2500mが2本と3000mが1本、3360mが1本の計4本

地方管理空港の場合、まちまちで福井空港は1200mだし神戸空港は2500m、岡山空港は3000mという感じ。

 

 

滑走の勾配や幅員も確認しておく。

縦断勾配は最大勾配を0.8%とか1.0%と航空法で規定されている。

横断勾配は排水を考慮して拝み勾配1.5%。

 

幅員は着陸帯の等級によってかなり違う。

着陸帯の等級とは滑走路の長さによって決まってくるもの。

滑走路長が2550m以上はA等級で、それ以下の滑走路長によってA〜Jまで細かく決まっている。

そして、その等級によって幅員が決まっているということ。

A〜Eまでは45m以上、などというように。

 

また、滑走路の両側には幅60m〜300mの着陸帯というものも設けなければならない。

航空機が滑走路から逸脱した場合にも安全を確保するためのもの。

海外の飛行場は着陸帯が広いから、航空機が並行して離着陸できる、という話をきいたことがある。

並行して離着陸できると、効率的な運航ができるため、とても有利である。

 

環境影響評価についても書いておく。

こちらについては技術士の勉強の時の記事が参考になるので、リンクを貼っておく。

〈技術士 1次試験〉R元年・34問目 環境影響評価法

記事の中では以下のように第1種事業と2種事業がある。

環境に及ぼす影響が大きく必ず環境影響評価の手続きを踏まなければならない第1種事業と、影響の度合いが第1種事業よりは小さいため、個別の判断とされている第2種事業がある。

そして、飛行場については、滑走路延長が2500m以上のもを1種事業とし、1875m〜2500m未満を2種事業としている。

 

 

舗装厚については前回のブログで少し書いたが、舗装すべき区域は大きくは4つ。

滑走路・・・既出

誘導路・・・航空機の地上走行のための飛行場内の通路のこと。駐車場ならぬ駐機場と滑走路の間の道。

エプロン・・・駐機場のこと。航空機が並んでいる屋外区域で、乗員、乗客の乗り降りのほか、荷物の積み下ろし、燃料補給、点検整備などを行う場所

ショルダー・・・滑走路の長辺部の縁にある路肩部のこと。航空機が滑走路を逸脱しそうになった際の緩衝地帯となる。

これらの区域には、想定される最大の航空機の脚荷重を設計荷重とする。

設計年数はアスファルト舗装もコンクリート舗装も10年とする。

アスファルト舗装の場合、路床の設計CBR値と設計荷重、反復作用回数から基準舗装厚を算出する。

また、表層、基層、上層路盤は設計荷重と反復作用回数から区分ごとに定められた数値がある。よって、基準舗装厚からそれらの値を引いた数値が下層路盤となる。

ちなみに、詳しくは「空港土木施設設計要領(舗装設計編)」平成31年4月 国土交通省航空局 がネットでも見ることができるので、そちらを参考にすると良い。

 

ちなみに、普通の道路を航空機の滑走路として使用できるかといえば、使用できないことはないが、すぐに舗装は破損するだろう、という回答となる。

舗装の厚みが、通常の道路舗装と空港舗装では3倍以上の差がある。

ジャンボジェット機は400トン以上となるので、考えてみたら当たり前だろう。

 

 

少し特殊な例としては

東京国際空港B滑走路などは、(半)永久舗装という考え方で舗装されているそうな。

具体的にはフルデプス舗装とかディープストレングス舗装というもの。

こちらは、これだけでブログ1本分になるので、また機会をみて書くことにする。

 

とりあえず、空港というインフラについては今回で終了する。

次回は上下水道について書こうと思う。

 

 

 

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