公共不動産というもの

先月の9月29日、公共R不動産が全国の活用可能な公共不動産情報プラットフォーム「公共不動産データベース」をリリース

というネット記事を目にした。

前から書店で「公共R不動産」という書籍があることは知っていた。

しかし、「公共R不動産」とは何か?その本に何が書いてあるのか、などは何も知らず、今回のネット記事を見てはじめて、何たるかを知った。

率直にいって、こんな商売があるのかとびっくりした。

商売という言い方をすると、志をもって立ち上げたかもしれないメディア「公共R不動産」に失礼なのかもしれない。

まあ、ビジネスとしてやっているのは確かなんだろうけど。

 

 

まずもって「公共R不動産」というのはメディアらしい。

しかし、次にメディアとはそもそも何だ?とどんどん疑問が出てくる。

普段、何気なく使っている言葉もしっかりと意味を考えると分からない、ということが多い。

 

 

調べてみたが、どうやらメディアとは、情報の伝達や保管、記録のために使われる装置のことらしい。

が、余計に何を言っているのか分からなくなる。

具体例を出すとわかりやすい。

例えば、手紙や電話やテレビは情報を伝えるためのメディアだし、新聞、ラジオ、雑誌などもメディアとなる。

 

 

話を戻す。

公共R不動産は、ネットというメディアを使って公共不動産の活用を目的として情報を発信するメディア、ということになる。

だから、会社ではない。当然に個人や法人でもない。

メディアなのである。

 

 

次に公共不動産とは何か?という疑問が出る。

公共不動産とは行政機関が所有している不動産、つまり土地や建物のこと。

よって、公共R不動産とは、行政機関が所有している土地や建物を有効活用したいと思っている民間企業に向けて情報発信しているメディア、ということになる。

 

本来であれば、このようなことは国土交通省あたりの行政機関が運営すべき事柄ではないか、と思ったのが第一印象。

公共不動産とは行政機関の不動産なのだから、管理者である行政機関がまず最初に考えないといけない。

その元締めは国土交通省になるだろうから・・・という意味。

 

そこで、調べてみたら、国交省もまったく手をこまねいている訳ではないようだ。

国土交通省においては、地方公共団体が所有する不動産を「公的不動産」「PRE(Public Real Estate)」と表現している。

この公的不動産(PRE)について、適切で効率的な管理、運用を推進するため「PRE 戦略」を進めているらしい。

一説によると、日本の不動産は全体では2400兆円の資産価値があるそうな。

その内、公共不動産が570兆円(24%)、企業不動産が470兆円(20%)らしい。

そうなると残りの56%は個人の不動産となる訳だが、24%は国や地方公共団体が所有する土地らしい。

これには、道路や公園や図書館など、売却などができないような土地がほとんどだとは思うが、それでも一定の有効活用を図れる土地もあるだろう。

この国交省の「PRE戦略」については、いずれ触れるとして、今日のブログは民間の「公共R不動産」というメディアについて。

 

 

 

この「公共R不動産」、言でいうと、「株式会社オープンエー」という官民連携をサポートする会社があって、そこの関係者らが立ち上げた公共不動産情報を発信するメディアらしい。

この「公共R不動産」というメディアの目的は、人口減少下の中、ますます増えてくるであろう、遊休化した公共が所有する不動産のマッチングである。

これはネットというメディアを利用している。

つまり、マッチングサイトというものになるが、今回、このサイトの中で新たなサービスが始まった、という記事。

公共R不動産「公共不動産データベース、始まります」

 

 

 

公共不動産の場合、民間不動産と異なり、簡単に売り買いができない。

また、そもそも常に売り出している、というものでもない。

民間の土地所有者の場合、わが社の遊休地が~などと呑気なことは言っていられない。

よほどの田舎で売りたくても売れず、活用することもできずに遊休化してしまった土地はあるかもしれないが、好き好んで遊休化している所有者はいない。

最近では都市部でも空家問題などが取り沙汰されているが、それでも、ちょっとの期間でも空きがでれば、とりあえずコインパーキングにでも、と、何とか活用が図られる。

しかし、官有地の場合はそのような焦りがなく、いつまでも一等地が空地のまま「ほったらかし」に見えるところもある。

その理由としては、経営的義務感がない、ということもあるし、また、活用しようと思っても売買も容易ではなく、公募や入札という手続きを経なければいけない、のでちょっとの間だけ、ちょこっと活用、というのが難しい。

とても使い勝手が悪い。

そこで「株式会社オープンエー」会社の人らがどうしたらい良いだろうか、と考えた。

そして、出てきた答えが「公共R不動産」という公共不動産を情報発信するメディア。

公共不動産の公募や入札という部分は仕方がないにしても、これまでよりも少しでも活用しよう、と。

そして、今回発表されたものが「公共不動産データベース」というものらしい。

名前が似ているが、Rが取れて、データベース付いている。

 

 

 

一般に公共不動産は、公募での選定、その後役所内での調整・議会承認・住民合意など、活用するまでに多くのステップを踏まなければならず、契約できるまでの時間が民間不動産よりもかなり必要となる。

そのため、「公共不動産データベース」では、契約可能時期を示すなど、より使いやすい工夫がなされているらしい。

 

 

 

この「公共不動産データベース」の特徴を記しておく。

データベースなので、様々な自治体の売り出し物件が一覧となって標示されている、と考えればよい。

〇 行政機関のメリット

・行政自身で物件情報を登録できる。

→ 行政機関が簡易な手続きで、こんな空き物件がありますよ~と情報発信をすることが可能。

→ ポータルサイトなので、全国の情報が集まるので、全国的に周知したい場合に活用できる

・当該サイトはとても見やすく、わかりやすくデザインしている。

→ 一般に自治体の物件情報はエクセルなどで文字の羅列で写真がないものも多く見る者の興味を惹かない。

→ そのため、物件情報をより魅力的に伝えることが可能となる

・物件ごとのアクセス数が分かる。

→ どの物件が人気か、関心が高いかわかるので、その後の活用検討、分析などマーケティングが可能

 

〇 事業者のメリット

・全国の公共不動産情報を一気に検索できる。

→ 探しやすくなる。自治体のHPはとても見にくい。

→ どの自治体がどの物件を売り出しているか、など一般には分からないが、このサイトを見ることで一目瞭然となる。

→ 全国の公共不動産情報がオープンになる。

・関心表明という意味での問い合わせやコンタクトが容易にできる。

→ 自治体と関係を持つことを望む企業にとっての窓口となる。

 

 

 

今回、たまたまネット記事でみつけた「公共R不動産」というメディア。

人口減少下においては、国を含めて行政機関は、駅周辺などの一定エリアに都市機能を集約して、持続可能な社会を作らなければならない。

であるならば、行政機関が所有している公共不動産は、これまで以上に有効に活用することが求められる。

当然、いつの時代も無駄はいけないが、人口減少下においては、一切の無駄も許す余裕がなくなる、ということ。

 

この「公共R不動産」という民間会社が立ち上げたメディアにどれだけの自治体が掲載してほしい、と声があがるだろうか。

現在は約40の自治体が物件を登録しているそうだ。

物件の詳細な情報は会員登録をしなければならないが、ぱっと見たところ、政令市のような大きな都市は登録していない。

とても小さい市町村で、意識の高いところが登録している、という現状だろう。

政令市ぐらいの都心エリアで大きな物件が登録され始めると、大手のデベロッパーもこのデータベースを活用しはじめるだろうが、今のところ政令市レベルが登録するとは思えない。

政令市レベルになると、何をやるにも組織としての意思決定が必要となり、個人一人に意識の高い職員がいたところで、政策として反映されにくい面がある。

ある意味、安定的ではあるが機動性、チャレンジ性に欠けている。

おそらく、国土交通省あたりの自治体の元締めがサイトを立ち上げても、登録してくる自治体は限られているはず。

それこそ、立ち上げたサイトに登録することが補助金を受けることの要件、のような強制力がなければ、自治体の重い腰は動かない。

 

おそらく、大きな物件情報が登録されるまでには時間がかかるだろう。

しかし、小さな自治体では、登録するのが容易と思われる。

職員一人で動ける範囲が広いと思われるからだ。

だから、小さな自治体の登録案件が少しづつ増え、それが成功をおさめ、それが口コミで広がり、いつか大手メディアに取り上げられる。

そして、自治体の首長、議会筋あたりからの指示がくる。

そこまで来ると、一気に動き出すのではないか、と思っている

 

 

なかなか面白いことを考える人もいるものだな、ということと、データベースを実際に作り、すでの約40の自治体が登録するまでにある、ということに、驚いている。

 

 

以上。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*

CAPTCHA