被災地の支援にテックフォースと連携強化

一昨日の業界新聞、被災地支援について掲載があった。

一つ目は、地元建設業とTEC-FORCE(緊急災害対策派遣隊)との連携について。

二つ目は、地元建設業が地元自治体との結んでいる災害協定について。

この2つのテーマ。

 

さて、TEC-FORCE(テックフォース)とは何か?

現在、半沢直樹のドラマでも「帝国航空再建タスクフォース」という国交省が設立した帝国航空再生チームが登場している。

フォースが付いていて、名前が少し似ているけど、もちろん仕事内容はまったく違う。

 

フォースは部隊という意味。

テックフォースは、Technical Emergency Control Forceの略。

直訳すると「技術的、緊急的に制御する部隊」というとても格好良いネーミングとなっている。

ドラマのタスクフォースは、悪役のような描かれ方をしているが、現実の災害時に派遣されるテックフォースは、災害派遣の技術的専門部隊であり、敬意を表すべき存在だと思っている。

自衛隊が人命救助に向かうのなら、テックフォースはインフラ救助に向かうもの。

 

このテックフォースは地震・水害・土砂災害等の大規模自然災害に対応するために設置された。

設置に向けて主導したのは国土交通省で、設置は国交相、気象庁などである。

業務内容は、被災自治体等が行う被災状況の迅速な把握、被害の発生および拡大の防止、被災地の早期復旧その他災害応急対策に対する技術的な支援を行う。

歴史は浅く、平成20年に設立されているので、まだ十数年。

 

 

設立の意義はなんだろう?

まず、災害経験のある自治体など、そうそうあるものではない、ということ。

その地において、過去に災害があったとしても、大地震を経験しているのは、数世代前の人。

現存している人はいない。

災害とは、人間の寿命よりも少しだけ長いスパンで繰り返されるので、一人の人間に経験知が蓄積されていかない、というやっかいなもの。

そのため、被災した自治体は、実質、初めての経験となる。

また、事前に準備をしていても、自治体自体が被災しているので、住民に対しての平常時に想定していたような規模での支援ができない。

また、事前準備といっても、経験したことのない災害を予測しての準備ということで、実際、発災時には役に立たない準備をしてしまっている恐れもある。

そのような課題を解決するために、テックフォースは役立っている、と考えている。

テックフォースは全国の被災現場にいち早く駆けつけて、技術的な観点からの自治体支援を行うので、あらゆる災害を経験していく。

実際にテックフォースとして派遣された地方整備局(国交省の地方部局)の公務員は大変だとは思うが、それだけ重要な任務をこなしているわけである。

現在、8000名弱の公務員があらかじめ任命されている、という。

 

 

さて、話を冒頭の新聞記事に戻す。

このテックフォースと建設業との連携を強化しましょう、というもの。

実際に被災した場合、救命活動にしろ緊急物資を送るにしろ、インフラが破壊されていては、何もできない。

橋が落ちていたら、救急車も通れない。

落橋していなくても、明らかに橋が破損している場合、これは通行しても良いのかどうかの判断は救急隊はできない。

この場合、建設コンサルタンツ協会の建設技術コンサルタントが現場を見て判断する。

電柱が倒れていたら、電線に電力がきていないかなどの判断は電力会社が対応しなければいけないが、その電柱を強制的にどかすのは、場合によっては重機を所有している地元建設会社が対応することになる。

このような指示は、自治体から建設コンサルタンツ協会や地元建設業協会を通して、地元企業に伝わる。

このような流れができるのは、事前に自治体と建設業協会と協定を結んでいるからである。

しかし、建設業の社員にしても、災害は初めての経験なわけである。

発災直後からの応急復旧までの対応に、不安を抱えているわけである。

そこで、技術的専門集団でもあり、他の災害を経験したことがあるようなテックフォースが、地元建設会社やコンサルタントと一緒になって対応にあたっていくことを検討することになった。

というニュースである。

 

現在、気候変動の影響だろうか。全国各地で災害が頻発しており、テックフォースのマンパワーが不足しつつあるらしい。

そのため、現在はテックフォースが行っている被災調査を民間に委託する手法も検討するらしい。

 

 

一方、地方の自治体では技術系職員が不足している、という現状がある。

自治体によっては土木技術職員が皆無のところもある、という。

すべてを民間に委託することには議論があるだろうが、災害時の対応も民間に委託しなければ立ち行かなくなる時代がやってきている。

理由は簡単。

公務員は税金で雇われているようなものだけど、公務員の仕事がインフラ整備から社会保障といわれるものに置き換わってきているから。

だから、社会保障関係の公務員は必要になってくるが、技術系公務員の仕事が減ってきて、採用さされなくなってきている、ということ。

高齢者の医療費、生活弱者への生活保護費など、毎年毎年右肩上がりの状況。

公共土木施設の整備やメンテに回すお金がなくなれば、仕事がなくなるので、土木職の公務員も必要ない。

その流れの中で、小さい自治体では、土木施設のメンテナンスだけでなく、災害時のインフラマネジメントもできない状況になりつつある。

そういう状況の中、テックフォースが地元建設業と一体となって被災地支援を行ってくれることは、とても心強いと思うべきだろう。

 

さて、新聞記事はテックフォースとの連携強化ともう一つ、地元建設業が地元自治体と結んでいる災害協定について書かれていた。

内容は災害協定を改善して全国的に標準化を図る、というもの。

記事を読むと、自治体によっては建設会社に対し、無償での従事を強いる協定もあるという。

これは日ごろの発注者と受注者の関係を傘にきた横暴といえる。

また、自治体からの口頭指示のみで従事するケースも多いという。

本来であれば、災害時といえど、民間企業に仕事を発注する場合、紙面で行わなければ、万が一があっても、なんの補償もできない。

災害現場の中には二次災害を起こしやすいような危険な現場もある。

建設従業員が負傷した場合も、労災認定の問題もあるし、そもそも被災現場でのリスクに応じた予定価格を定めておかなければ、地元建設業の善意を利用した搾取行為になるだろう。

このあたりは、自治体によってバラバラという問題がおきており、国交省は地元自治体と地元建設業の災害協定を標準化していく、とのこと。

 

 

何にしても国に主導してもらわなければ、何もできない・・・というより、役所の都合の良いように協定を結ぶ、というレベル。

やはり、日本は国主導で改定を進めるべき施策がとても多いと感じる。

まだまだ、地方分権などと叫ぶのは、もっと自立してから言ってもらいたいものだと思う今日このごろ。

 

 

 

 

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