建設DXを論文にすると

最近、技術士二次試験対策をやってない。

なので、少し頭の体操がてらに、今年の技術士の2次試験の必須論文の構成と論述内容を考えてみたい。

今年、出題されるテーマの本命は「デジタル化」と思う。

これは、先日に発表された「経済財政運営の基本方針」の原案に盛り込まれたもので、骨太の方針の軸とするテーマ。

また、試験内容がコロナ禍の影響を受けるとすると、デジタル化が妥当なところではないか。

 

技術士論文の中で出されるとすると、昨年の出題から考えるに

「社会資本整備における一連のプロセスを担う建設分野においてもデジタル化が必要不可欠になっていることを踏まえ、技術者として多面的な観点から課題を洗い出せ」

「その課題の中から最も重要な課題を挙げ、その課題に対する複数の解決策を述べよ」

「その複数の解決策から生まれる、共通のリスクとその解決策を述べよ」

となるはず。

 

建設分野におけるデジタル化とは、この前のブログでも書いたけど、いわゆる建設DXのこと。

また、多面的な観点からの課題とは何だろう?

 

まず、多面的な観点というからには、コスト面、安全性、品質管理、法的整理、デジタルリテラシーの問題、民間活力、発注者の課題、受注者の課題、データ共有の課題などなど。

そこから生まれる解決策とさらに、そこから発生するリスクを思いつくままにメモしていく。

 

 

◯ コスト面

ICT施工を実施した企業への実際のアンケートでも8割が効果を実感しても半分は費用対効果に疑問を投げかけるなど、積極的に進めるには割高感を持っている。

特に中小企業ではデジタル化するための初期投資を捻出することができない。

ちなみに、建設会社のうち資本金3億円以上は0.6%、1億円~3億円がまた0.6%、5千万~1億円が2%、5000万以下が97%である。

中小企業の目安は3億円以下なので、建設業界は99%が中小企業の集まりなのである。

コストとしてのインセンティブがない以上、ICT施工実績に対し、発注者からの確実な評価と施工実績がない企業へのペナルティーの両睨みの対応が必要と考える。

国交省は直轄工事では2023年には全件でCIM原則化の方針を打ち出すなど、デジタル化を前提に工事発注をすすめている。

デジタル化に移行できず、廃業に追い込まれる企業が出ないよう、ICT施工を行う場合の財政支援策を打てると良いのだが・・・と思って国交省のHPを見たら、支援策つまり補助金がたくさん用意されている。この項目だけでブログ記事が一本書けそうなので、それはまた今度。

しかし、この解決策を調べて書くとして、そこから発生するリスクは何を書けば良いだろう?

 

 

◯ 安全性

一般には、デジタル化により人的ミスはなくなるので、基本は安全側に働くと思う。

人の手を介する回数が減るので労働災害を減るはず。

建設分野の労働災害は墜落と重機との接触が8割を超える。

ICT施工にすれば基本は人と機械の接触は減る。

今のぼくの知識ではデジタル化することにより、安全面でのリスクは思いつかない。

 

 

◯ 品質管理

まだまだ建設業界はアナログの技術が使われているので、デジタル技術となると未知数のところがある。

つまり未知数ということは公共工事では使用できない、ということ。

しかし、国交省がICT施工において、平成28年の土工から始まり、舗装工、浚渫工など現在は多くの工種で基準類が整備された。

また、昨年度末に、国交省の直轄工事では、新技術を導入することが原則とされた。

要は、無理やり使わせて実績を作っていく方法。

国が使った技術なんだから大丈夫というお墨付きを与える目的もあるだろう。

 

リスクとしては、デジタル化により技術力は落ちる、と言われていることが挙げられる。

これは、図面を手で描き、自分で構造計算をして、数量を定めていた時代から、デジタル化により、設計段階において、現場条件を設定してやり、数値を代入してやれば、一発で答えが出る状況下では、構造計算などがブラックボックス化する。

そうなると当然技術力は落ちる。

これは、その部分を知らなくても設計できてしまうからで、建設分野に限った話ではない。

確かにリスクの一つとは思うが、時代時代に応じて求められる能力も変わってくる。

これは違う技術力が求められるようになるということで、必ずしも現在の能力がそのまま必要ということではないはず。

アナログの良さはあるけど、デジタル全盛時代においては、それは一部の芸術的な価値として認めていけば良いと思う。

リスクとは言えないのではないか・・・とも考えるが・・・

これは採点者によって判断が分かれるような気がする。

日経コンストラクションの記事ではリスクとして捉えているし、その対策として教育制度の充実や資格制度があげられていた。

確かに、手計算で行っていた時代なら当然に気付いたようなミスが、コンピューターで答えをはじき出していたら気付かない、ということはあるかもしれない。

 

 

◯ 法的整理

基準類は現在、国交省が整備しているので、それに準拠した施工を実施すれば問題ない。

建設機械は労働安全衛生法やその規則により、仕様が決められている。

ドローンのブログでも書いたけど、産業用ドローンの場合、たいがい200g以上になるので航空法が適用される。

(※昨日のニュースで200g以下のトイドローンも航空法の対象にすることを検討する、という記事を見た。)

市街地ではまだまだ課題が多い。

また、民間の土地の上空を飛行することへの民法との整合も残っている。

これらは民間というより公共側の課題となる。

 

◯ デジタルリテラシー

職人はその技で飯を食っている部分がある。

大工には大工の技があり、鉄筋工には鉄筋工の技がある。

そう考えると、簡単にデジタル化は進まない。

かといって、デジタルに強いが、建設ではずぶの素人、という人を連れてきて、建設分野で仕事ができるのか、といえばそうはならない。

なぜなら、作業の一部がデジタル化される場合がほとんどだから。

結局は今までの職人がデジタル力を身に付けるしかない。

このリスクへの対策としては、コスト面、体力面、作業時間などからメリットを示して、職人自らデジタルシフトを進めてもらうしかない。

なので、やる気のある職人に対しては会社からの費用や公費などで研修を受けることができる制度が必要だろう。

通常の特別教育や免許制度は自費になる場合でも、デジタル化のための教育費は公費で持つなど、国を挙げた対策が必要ではないか。

 

 

◯ データ共有

デジタル化のメリットは、多くの情報を皆が共有することで生まれる。

データが蓄積されて、それが知見となり社会全体で改善がなされたり、研究機関が利用できるようになり、新しい技術が生まれたりする。

課題としては、個々で持っている情報を一元化しなければ意味がない。

A業者とB業者の情報を集めなければいけない。

これがスマートシティ構想でネックとなる一つ。

情報はある意味お宝である。

情報をタダで提供するのを渋る場合もあるだろうし、場合によっては企業が持つ技術力まで含めて盗まれてしまう場合も出てくるかもしれない。

しかし、ここで止まってしまっては国全体で見たときの損害は大きい。

そのため、国交省は国土交通データプラットフォーム整備計画を策定して、インフラ情報の一元化を図るものとしている。

この国土交通データプラットフォームもいつか調べてブログに書くつもり。

 

 

一応、終了。

今回は「骨太の方針」からデジタル化を選んでみたけど、他にも、次期「社会資本整備重点計画」が今年度末に閣議決定される予定。

そして、この社会資本整備重点計画で盛り込まれるテーマも既に、原案は示されている。

なので、技術士試験の場合、こちらの計画の方に引っ張られる可能性もある。

そうなると、直で「デジタル化」ではない可能性もある。

まあ、今年は受験申込もしていないので、何が出ても構わないといえば、構わないのだけど。

 

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