技術士二次試験の練習の続き。
この前のブログを書きながら、技術士二次試験論文の骨子をまとめようとしたけど、散々な結果で、最後まで全く、まとまらなかった。
なるほど、これは技術士、難しいわ、と感じた瞬間だった。
1次試験を勉強しているときは、意外と簡単簡単~と思っていた。
だけど2次試験は難しい。
何が難しいかと言えば、論文の組み立て方を指定してくるから自由に書けない。
昨年の例でいえば(必須Ⅰー1、2)
必須Ⅰ-1が生産性の向上で必須Ⅰー2が強靭な国土づくり。
どちらでも同様の組み立てで論述させる問題。
(1)多面的な方面から複数の課題を書け
(2)その複数の課題から最も重要な課題は何か?また、その課題への複数の解決策を書け
(3)複数の解決策に共通する新リスクとそのリスクへの対策を書け
(4)その対策を進める上での要件を技術者倫理と持続可能性の観点から書け
と、こんな感じ。
(1)で、複数の課題を挙げるんだけど、(2)ではそこから一つだけ最重要課題としてピックアップする。
(2)が難しい。重要度に重みはあるのか?
さらに、その最重要課題への解決策を複数書かなければいけない。
まず、多方面からの複数の課題・・・・・・
そこで、先日は国土強靭化基本計画の中身を調べてみたので、その計画から、なぜそんな計画ができたのか、それは課題があったから計画を作ったわけで、その課題を一つ一つ洗い出すという逆からのアプローチで書き出してみる。
昨日のブログは国土強靭化基本計画をメモったので、そのブログの一部をそのままコピペする。
その下に→で課題を追記していく。
■ 国土強靭化基本計画で推進されている施策分野
●行政機能、防災教育
指定避難所における施設の耐震化、自家発電設備、衛生環境の確保、特に今なら避難所の3密対策などの防災機能の強化。
マイタイムラインの策定など、自らの命は自らで守る。施設だけでは防ぎきれないという防災意識社会の到来。
→課題
指定避難所での生活が長期化した場合、関連疾患など避難者の心身ともに負担が大きすぎる。
頻発、激甚化する災害に対しインフラなどの公共施設だけで防ぐことは困難となりつつある。
●住宅、都市分野
公園を緊急指定避難場所として整備、住宅学校の耐震化、狭隘道路の是正など。
→課題
発災時に危険から逃れる為の避難場所として、特定の災害に対し機能が確保されていない。
●エネルギー
自律分散型エネルギーの導入、北海道胆振東部地震の道内全域ブラックアウトへの対策として、電力インフラのレジリエンス向上
→課題
平成30年北海道胆振東部地震では一部の発電所の停止に伴い、電力の供給量と需要量のアンバランスにより周波数の低下から広範囲で電力供給が止まり、国民生活に多大なる影響を与えた。
●交通、物流
交通物流施設の耐災害性の向上として、緊急輸送道路にかかる橋梁の耐震補強、無電柱化。
交通機関の適確な判断による運行中止や早い段階での情報提供。
→課題
道路啓開や応急復旧に際して、緊急輸送道路が寸断される恐れがある。
鉄道など運転停止に伴い駅での混乱、帰宅困難者などが発生する恐れがある。
●国土保全
分かりやすい防災情報発信などのソフトとハードの総合的な対策。
→課題
災害発生時に適切な情報を取得できないことにより、避難の遅れ、間違った避難につながる恐れがある。また、安否確認においても情報が錯綜することで現場が混乱する。
●土地利用
河川や海岸の堤防耐震化
災害リスクの高いエリア、つまりハザードマップでの浸水想定エリアなどと都市マスタープランの居住誘導区域の考え方の整理、つまり災害リスクの高いエリアの立地規制や安全なエリアへの移転促進。
→課題
液状化による地盤沈下により堤防高が不足したり、揺れによる堤防破壊。また、越流による破壊など、発生する恐れがある。
横断的な分野
●リスクコミュニケーション
マイタイムラインの策定を町内会が主導。水防訓練や地震避難訓練など、民間事業者との実践的な防災訓練の実施
→課題
発災時などに住民一人一人が何処に誰とどのルートで避難すれば良いのかを把握していないため、適切な避難ができない。
●人材育成
災害の専門家の育成として、テックフォースによる講演会や自治体に対する指導など。
地域の復旧復興を支える地域の建設業の技能労働者の確保の為の働き方改革やキャリアアップシステム
→課題
災害を経験している住民は少なく、具体的にどのような対策を取れば良いのか実践的な方法がわからない。
地域の建設業者の数はこの二十年で二割以上減少するなど、いざというときに対応できる建設業者ぎいない恐れがある。
●老朽化
インフラ長寿命化計画の策定やメンテナンスサイクルの構築と確実な実行。集約や統廃合を含めた公共施設の在り方を考え直す
→課題
災害時に人命や生活を守ってくれるべきインフラが老朽化しており、災害時、確実に機能を果たすことができない恐れがある。
予算不足、技術者不足により適切なインフラメンテナンスが図られない恐れがある。
●研究開発
新技術の開発や社会実装の推進。NETISを活用し、自治体においては新技術の積極活用を評価点として計上する仕組み。災害の情報収集や提供、予測に対しSNSやAIによる新技術の活用
→課題
ドローンやAIを活用した建設技術は開発が進んでいるが、実際の建設現場では活用しきれておらず、災害時に機能しない恐れがある。
ざっと、国土強靭化基本計画で推進されている施策とその施策が必要となった課題を書き出してみた。
しかしここから(2)では、最重要課題を選ばなければいけない。そして、その課題に対しての複数の解決策を書く必要がある。
さて、どうしたものか?
一つの手がかりとして、現在、総額7兆円に及ぶ、「防災/減災・国土強靭化のための3か年緊急対策」が進められている。
今年度が最終年度となっている。
これは平成30年に発生した集中豪雨、台風、北海道胆振東部地震などの災害を受けて、人命を守るインフラ、国民経済を支えるインフラの機能を維持するために緊急的に対策を実施するもの。
平成30年度の補正予算、平成31年度予算、令和2年度予算と3か年にかけて緊急的、集中的に整備するもの。
具体的にどんな内容があがっているか書き出す。
「防災/減災・国土強靭化のための3か年緊急対策」
・ 流下阻害、局所洗堀によって洪水氾濫の恐れがある河川について、樹木伐採や河道掘削、橋梁架け変えを行うもの
・ 堤防の強化やかさ上げ
・ ため池の土提の崩壊を防ぐため、防災重点ため池について、ため池の改修や統廃合を進めるもの
・ 土砂災害ハザードマップの作製、土砂災害警戒判定メッシュの高精度化
・ 土砂災害に対してのり面・盛土対策
・ 港湾の耐震対策
他にも多くの項目が挙げられている。全部で160項目。
問題(2)で、最も重要な課題を選び、複数の解決策を書かなければいけない。
しかし、罪な問題だと思う。
なぜなら、どれも重要だから。選べない~という感じ。
しかし、選ばねばならない。その時は必ず、誰もが納得する「選んだ理由」が必要となる。
その一つがこの3か年緊急対策かと思って書き出してみたけど・・・これは違うな、という印象。
南海トラフや首都直下型地震に対する対策も含まれてはいるけど、やはり、集中豪雨や台風への対策が強いという印象を受ける。
平成30年度に発生した災害からの対策だから水災害が多くなるのは仕方ない。
しかし、問題は強靭な国土づくりなので、水災害のみに特化して書いてはいけない。
そうなると、やはり国土強靭化基本計画の方が全方位をカバーしている印象がある。
ということは、問題(1)の段階で、国土強靭化基本計画の推進施策を分類分けしておく必要がある。
そして、その分類の中から重要なものはこの分類だ!と言えるようにしておかなければいけない。
例えば・・・
分類1:ソフトとハードの組み合わせ
→ 各インフラ施設の耐震補強、道路啓開、マイタイムライン、河道掘削・・・
分類2:気候変動を踏まえた重点対策
→ 河道掘削、堤防のかさ上げ、ため池の改修・・・
分類3:土地利用の在り方
分類分けとしては、分類1と2は、国土強靭化計画の基本的方針から持ってきた。
分類3は、同計画の推進される施策分野から持ってきた。
問題(2)では、問題(1)の分野から最重要課題を選ばなければいけない。
つまり、選ばなかった分類はそれ以上論述できない。
だから、選ぶ分類はまとめ的な基本方針から持ってきて、落とす分類は個別施策分野から持ってくるという作戦。
一回書いてみて不自然じゃなければ、その作戦を採用したい。
問題(3)では、その複数の解決策の中から共通する新リスクを挙げる必要がある。
共通するリスクとは何がある?
上記の「国土強靭化基本計画で推進されている施策分野」の横断的な分野とされている施策の課題が当てはまりそう。
・リスクコミュニケーション
・人材育成
・老朽化
・研究開発
ここから考えられる課題をリスクっぽく論述する。
最後の問題(4)では技術者倫理と持続可能性の観点から必要となる要件を書かなければいけない。
ここは、特にインフラ施設とは税金で運用されている施設、そのため、公平公正な思考が必要。
また、公衆の安全は記載した方が良さそう。
他にも、SDGsの概念は取り込みたいし、ESG投資などに触れても良いかも。
この辺りはまだ勉強の後半に考えることにする。
ふぅ~、何とか方向性は見えた、という感覚。
ただ、あくまで骨子の方向性が出来ただけなので、これをどこかで論文にしないといけない。
ただ、何となく、このような引き出しをたくさん作っておく必要があるってことは分かった。
国土強靭化、生産性向上だけじゃないから、まあ、大変大変。