防災についてメモろうと思う。
インフラを考えるために始めたブログ。
インフラと防災は切っても切れない関係。
事実、財政健全を叫ぶ財務省が国交省にそれなりの予算を付けるのも、防災面を見てのことかと思う。
せっかくなので、技術士の2次試験の勉強を踏まえてメモっていく。
なぜなら、2019年度の必須 Ⅰー2 が防災に関する出題だったから。
なので、設問に沿った形で防災についてまとめていきたい。
まず、問題文を読んでみる。
問題文は「公益財団法人 日本技術士会」のHPから閲覧できます。
「公益社団法人 日本技術士会」過去問(令和元年度 第2次試験 必須)
問題文を簡単に書くと
(1)想定外の災害に対し強靭な国土をつくる上での課題は何か?多面的に抽出し分析せよ。
(2)その課題のうち、最も重要な課題に対する複数の解決策をあげよ。
(3)その解決策に共通する新たなリスクとそれへの対策をあげよ。
(4)その対策を進める要件を技術者倫理と持続可能性の観点から述べよ。
これは必須Ⅰー1と同じ構成。
Ⅰー1は防災ではなく生産性向上だった。
さて、想定外の災害に対する課題・・・課題課題・・・何だろう?
まず、今なら確実に避難所の3密対策。
避難勧告は夏から秋にかけて、全国的にはどんどん発令されるだろう。
そこでオーバーシュートを起こしたら、2次災害というのか、違う医療機関も必要になってくる。
一般的には、南海トラフ巨大地震、首都直下型地震。
他にも、気候変動の影響による水災害と土砂災害。
それぞれ対策が違ってくるから、どのように書こうかな?
暴風対策なら、それはそれで書き方が変わってきそうだし。
ここは洗い出しを優先して、まとめる事は後回し。
まず、地震からみていく。
まず、倒壊による圧死を防ぐには、住宅の耐震化を進めなければいけない。
これについては、中央防災会議の地震防災戦略や日本再生戦略において、それぞれ、平成32年までに住宅の95%、平成27年までに特定建築物の90%の耐震化率を目標としていた。
実際、現在の耐震化率は、はっきりとしたデータを見つけることが出来なかったけど、2019年1月では、住宅の82%、特定建築物の85%の達成率ということで、特に住宅で大きな遅れが出ている印象。
地震で言えば、木造密集地域の問題もある。
これは、火災の観点から求められる対策。
しかし、この抜本的問題はやはり、狭幅員道路に木造住宅がへばりついていること。
この改修には家のセットバックなどを含めた、ほぼ区画整理と同じレベルの対策が必要となる。
区画整理であれば、土地所有者や地権者の3分の2以上の同意が必要だし、自治体施行を行うにも予算が必要。
なので実際は、なかなか進んでいないのが現状。
当たり前といえば当たり前。
木造密集地域に住む世帯は裕福な世帯ではない。日々の暮らしが精一杯の中、将来に向けて耐震化に回す余裕はないはず。
しかし、余裕がないからといってられない問題ではある。
首都圏直下型地震、南海トラフなど、今後30年以内の発生確率はそれぞれ、70、80%という高い確率で発生することが予想されている。
とはいえ、先立つものがないから仕方がない、という半分諦めにも似た状況にあると思う。
まちづくりという視点での地震対策としては、木造密集地域の問題もあるけど、それぞれインフラ施設毎の対策もある。
土木屋としては、こちらの方がメインになる。
・橋梁の耐震改修
・下水道施設の耐震化
・河川堤防の耐震化
・地すべり防止対策
・海岸堤防の耐震化
・地下鉄の耐震化
・無電柱化
・防災公園の整備
といったところが思いつくところ。
一つ一つの課題をあげることはできるけど、問題文は多面的な観点から課題を抽出しろ、というもの。
そのため、個別対策の課題をあげるのではないはず。
・・・いや、ちょと待て。
上で挙げた各施設の耐震対策は、課題があるから対策をするわけで、その課題を挙げろ、ということか?
どっち・・・わからない。
例えば、橋梁の耐震化をしなければいけない課題とは?
応急復旧を行うための緊急輸送道路の通行の確保が課題となる。
ならば、そういう横断的な視点で今度は見てみよう。
● 応急復旧のための緊急輸送道路の確保
→ 橋梁耐震、下水耐震、堤防耐震、無電柱化、地すべり対策
● 避難生活を支える
→ 防災公園、地下鉄耐震、下水耐震、水道耐震、ゴミ収集BCP
応急復旧に先駆けて行われる道路啓開、これがなければ始まらない。
● 道路啓開のために必要な対策
→ 応急復旧のための緊急輸送道路の確保
→ 地元建設業との協力
この地元建設業との協力は、各自治体が各地域の建設業団体と協定などを結んでいる。
しかし、これまで、このブログでも書いてきた通り、大きなトレンドとしてみると、建設業の許可業者数は減少傾向にある。
つい、先日のニュースでは、ここ数年は微増となっているらしいけど、それは稀なこと。
少し、その辺りをメモっておく。
まず、建設業者というのは、建設業法により国土交通大臣(県をまたいで営業)または県知事(一つの県内で営業)の許可を受けたものをいう。
そして、2020年3月現在、47万者。
ピークは20年前の2000年で、70万者近くあった。
なので、20年近くで20%以上の減少率となる。
それが、ここ2年間は連続で微増となっていた、ということ。
これは、ひとえに、近年の災害により、政府の公共事業の支出が増えていたことが原因なのは明らか。
そう考えると、政府が支出を平準化せずに増減させる、ということは、人に仕事を与えて会社を作らせておいて、後で仕事をあげない、というとても罪なこと。
それにより、首をくくる中小企業の社長が出るなら、ある意味殺人行為。
もっと、考えてほしいものである。
少し話がそれた(いつもそれてしまう)
話を元に戻すと、
道路啓開をするには、地元の建設業者を維持する必要がある、ということ。
そのためには、人手不足対策も必要だけど、技能の高い職人には給料で評価するシステムが必要だし、さらには一定数の仕事量を平準化することも必要。
平準化に関しては、月単位で平準化する対策、これは働き方改革の視点から。
さらに、年単位での平準化には、建設業者数の維持、という視点が必要になってくる。
技能の高い職員に適切な給料を支払うためにはキャリアアップシステムの浸透が必要となる。
現在、今のインフラを少ない建設業者数でも対応できるよう生産性向上を謳っているけど、災害時に少なくなった数で対応できるのか。
さて、この辺りで一度、問題文に戻ってみたい。
(1)想定外の災害に対し強靭な国土をつくる上での課題は何か?多面的に抽出し分析せよ。続けて、(2)解決策も同時に書いていく。
これまでの洗い出しから書いてみる。
・課題
応急復旧やその前に実施する道路啓開を実施する建設業者が不足している。そのため、国、県、市と協定を結んでいる場合、国を優先した場合、県市に派遣できない。
→ 解決策
働き方改革を進める。業界を挙げて折に触れ、建設業の魅力を伝え、働き甲斐のある職場であることを発信していく。ICT技術を活用して作業の種類によっては機械化を図る。公共においては発注時期の平準化を進めることで繁忙期を減らす。
・課題
無電柱化、橋梁の耐震補強、堤防耐震補強を確実に進めなければいけないが、まだまだ対策の完了までには時間がかかる。
→ 解決策
ICT技術などの新技術の活用を図ったり、省コスト手法を開発していく。
災害対策においてもB/Cなどの判断基準を設けて、投資を数値で評価できるような仕組みを作り、予算の重点化を図る。
・課題
公共投資だけでなく、個人個人が対応しなければいけない問題は、対策が遅れている。つまり自助の部分。
→ 解決策
シェイクアウト訓練への参加を呼びかけたり、テレビやネット等による震災対策を訴えていく。戦略的なPRを実施していく。
・課題
毎年、各地で発生しているものの、各自治体や各個人は、地震など多くの災害を経験することはできない。経験していない人間が対策を考えている。
→ 解決策
国交省のテックフォースによる各自治体向けの説明会などを通して、経験者により、各自治体作成の防災計画などの盲点や弱点などの犯しやすいミスの指摘。
・課題
四国、黒磯町に代表されるような大津波に襲われる予測のある地域では、インフラ施設で防ぐことがそもそも困難である。同様に、ハザードマップで浸水地域とされている地域が立地適正化計画において居住誘導区域と重なっている問題は大きい。
→ 解決策
大いに意見が出るだろうが、立地適正化計画では浸水想定区域は外すよう法的な縛りを設ける。
(2)最も重要な課題とその複数の解決策を述べよ。
既に解決策は述べているので、どれを最重要課題と位置づけようか。
考え方としては複数の解決策を提示しなければいけないし、(3)ではそこから生まれるリスクを書けなきゃいけない。
さらに、(4)において技術者倫理へとつなげる。
そのように発展して考えていける課題って何だろう?
・・・今、思ったけど、課題を「道路啓開」にする。
そのための課題は、地元建設業の不足や耐震補強や無電柱化が挙げられる。
その中でも大きな課題は地元建設業の不足としておく。
すると、そこから複数の解決策として、働き方改革や業務量の平準化やICT技術の活用をあげる。
(3)そこから生まれる新たな共通するリスク、とその解決策。
厳しいなあ~どこまで課題と解決策を書かせるんだよ。
働き方改革を進める上での課題は・・・発注者からみたときは適正な工期の設定。
いやいや、ちょっと待て!!
働き方改革に関して書くと、それが災害対策の答えとは、離れすぎている。
風吹けば桶屋が儲かるの論法だから、すんなりと課題とはならない。
・・・すでに4000文字に達しているので、この位でやめよう。
こんなのでは論文にならないーあー難しい!