再エネ証書を調べていると、温対法では適格とか、GHGプロトコルでは不適格、とかの表示を目にする。
何のことなのか調べてみた。
温対法
これは「地球温暖化対策の推進に関する法律」のこと。
地球温暖化は最近のことかと思ったが、以外にも1998年に制定されている。
もう、24年前。
しかし、この法律を調べると、省エネ法を知らないとこの法律を理解できないことに気づく。
そのため、まずは省エネ法から調べていこう。
省エネ法
正式名称を「エネルギーの使用の合理化に関する法律」というもの。
制定は、当然だが、温対法より古く1979年とのこと。
オイルショックを契機に作られたそうな。
エネルギーを海外に頼る日本は、オイルショック当時、このままではいけない、となったのである。
省エネというくらいだから、エネルギーを効率よく無駄なく使いましょう、くらい意味だろう。
では、対象としているエネルギーとは何か。
・燃料・・・ガソリン、灯油、軽油、天然ガス
・熱・・・上記の燃料を使って作られた蒸気、温水、冷水
・電気・・・上記の燃料を使って作られた電力
つまり、太陽光などの再エネは対象外!
となっていたが、改正になって今は対象。最後に説明。
さて、対象事業者は直接規制と間接規制に分かれる。
間接規制とは、車や家電などの製造業者、家電やエネルギーの小売事業者をいう。
直接使用するわけではないが、エネルギーを使用する製品を作っている、またはエネルギーそのものを売っている事業者が対象。
次に、直接規制になるが、
こちらは、報告義務対象者と努力義務対象者に分かれる。
報告義務対象者とは、年間にエネルギーを1500㎘使用する法人格を有する者をいう。
他にも、保有トラック200台以上の運輸業者も対象となる。
このエネルギー、1500㎘のエネルギーとは何か?
答えは、原油換算値のこと。
各事業場によって、電気ではなく天然ガス、ガソリンなどの燃料を使う、などと違ってくる。
これを一つのエネルギーに統一しなければ、エネルギー使用量のの大小が分からない。
日本では、電気もガスもほとんどを原油から作っていたため、原油を基準単位として採用されたそうだ。
話を戻すと
原油1500㎘を使って作られるエネルギーを使用している事業所が対象となる。
これが、どれくらいのレベルなのだろうか。
事務所、工場などでは電気やガスなど異なるエネルギーを使用している。
この異なるエネルギーの大小を比べる物差しが原油換算エネルギー使用量である。
これは、発熱量と原油換算係数(0.0258kL/GJ)を乗じることで原油換算エネルギー使用量(㎘)を求める。
原油換算の方法を書いておく。
使用量(千kWh)× 一次エネルギー換算係数(9.97GJ/千kWh)× 原油換算係数(0.0258kL/GJ)
原油換算地㎘が求める。
エネルギーとは何か?
運動エネルギー、位置エネルギー、熱エネルギー、電気エネルギーなどがある。
エネルギーは熱量とか仕事という。
熱量はジュールとかカロリーという単位を使う。
カロリーとは、1gの水を1℃上げるのに必要な熱量。
ジュールとは、力学的なエネルギーの単位で、100gのみかん1個を1mほど持ち上げるぐらいの仕事量。
1Jの1、0000、000倍は、1MJ=1000KJ
運動エネルギーでは、重さ1トンの車を44.7km/hに加速するエネルギー
位置エネルギーでは、重さ1トンの車を高さ102mまで持ち上げるエネルギー
熱エネルギーでは、240リットルの水の入ったお風呂を1℃上げるのに必要なエネルギー
電気エネルギーでは、消費電力1kWの電気ストーブを16分40秒使うことのできるエネルギー
この感覚。
話を戻すと、
1GJ=0.0258㎘となる
1000MJ=1GJ=0.0258㎘
原油1㎘=38.8GJ
と思うが、なぜか原油1㎘=38.2GJとなっている。
このあたりを知らべるのは少し面倒くさいので、またいつか。
とにかく、原油1㎘で40GJほどの熱量となる。
原油1㎘=40GJでどれだけの仕事ができるのだろうか?
電気エネルギーでは、1GJ=278kWh
なので、1㎘=10,786kwh
1500㎘=16,179,000kWh=16,179MWh
となる。
1kWhでできる事
電子レンジの消費電力量
600Wの強さで10分温める場合
600W×10分÷60=100Wh=0.1kWh
なので、電子レンジ1時間40分
掃除機の消費電力量
1,200Wの強さで1時間掃除した場合
1,200W×1時間=1,200Wh=1.2kWh
ドライヤーの消費電力量
1,000Wの強さで15分使用した場合
1,000W×15分÷60=250Wh=0.25kWh
となる。
そう考えると、1GJは
その278倍
これが原油1㎘のエネルギー。
電子レンジでいえば、463時間。
さらに、その1500倍が省エネ法の報告義務対象事業者となる。
やはり、感覚がつかめない。
原油1500㎘の使用量とは
・ 事務所 床面積約 3 万㎡以上
・ コンビニエンスストア 30~40 店舗以上
・ ファミリーレストラン 15 店舗以上
とのこと。
こうみると、それなりの規模が対象ということになる。
ただ、間違えてはいけないのは、報告義務があるのが1500㎘の特定事業者であるが、特定事業者以外も努力義務を負っている。
エネルギーを使用するものすべての事業者に努力義務が発生していることは忘れずに。
次に、特定事業者は、何を報告するのか?
エネルギー使用状況届出書
年間エネルギー使用量(原油換算値)合計1500㎘以上の場合、5月末日までに申請し認定を受ける必要がある。
すでに認定されている事業者は毎年、申請する必要はない。
エネルギー管理統括者 選任・解任届出書
事業者単位のエネルギー管理を取りまとめる責任者。
中長期計画のとりまとめや経営的視点を踏まえた取組の推進などを行う。
事由が生じた日以降の7月末日が提出期限。
エネルギー管理者(管理員)選任・解任届出書
工場等単位のエネルギー管理者のこと。
エネルギー管理士の資格が必要。
選任すべき事由が生じた日から6ヶ月以内に選任し報告。
中長期計画書
事業所全体の省エネの中長期にわたる計画書。
あらかじめ決められた様式があるため、その様式に沿って作成。
締め切りは原則毎年度7月末日まで。
定期報告書
エネルギーの種類別使用量や機械器具の使用状況などを細かく報告。
国土交通省ホームページに定期報告書作成支援ツールが掲載されているので、それを使う。
毎年度7月末日が締め切り
事業者内で1年間に使用された全てのエネルギーを、その熱源によって「原油・揮発油・ナフサ・灯油・軽油・重油・石油アスファルト・石油ガス・石炭・都市ガス」などに分類し使用量を報告する。
このとき記入する単位はギガジュールを使用するのが原則で、キロリットルやトンなどの単位は不可。
罰則もある。
罰金100万円なり(温対法は20万円)。
なので、しっかりと報告しなければいけない。
後は、努力目標としては
年平均1%以上の削減
店舗の年間電気使用量と店舗の年間売上高を割った値が〇〇KWh/百万円以下であれば省エネ基準をクリアしている!などとした判断基準がある。
その評価基準に基づいて、SABC評価制度がある。
提出された定期報告書等の内容を確認し、事業者をS(優良事業者)・A(更なる努力が期待される事業者)・B(停滞事業者)へクラス分け。
Sクラスの事業者は、優良事業者として経済産業省のホームページで公表。
Bクラスの事業者については判断基準の遵守状況、エネルギー消費原単位、電気需要平準化評価原単位の推移等について確認するため、「報告徴収」、「立入検査」、「工場等現地調査」が行われる場合がある。
報告徴収、工場等現地調査、立入検査の結果、判断基準遵守状況が不十分と判断された場合、Cクラス(要注意事業者)となり指導等が行われることになる。
最後に、来年4月に施行される省エネ改正法についても触れておく。
対象エネルギーに非化石エネルギーも加わった!
なので、今後は太陽光発電の電力も対象になる。
さらに、RE100などの加盟は任意だが、今後は非化石割合を増やしていいくことは求められる。
また、現行では電力デマンド対策として、電気の昼から夜へのピークシフトだけでよかった。
今後は、自然エネルギーの場合は発電量が変動するので、使う時間帯を柔軟に変える必要がでてくる。
例えば再エネが多い場合は、夜より昼に多く使い、真冬など再エネが少なく需要が多い時には、昼から夜へシフトするイメージで対策が求められることになる。
ちなみに、建築物省エネ法というのは、、また別の法律。
これも大事なのでいつか調べてたい。
次回、温対法とGHGプロトコルなるものを調べる。