山口県の防府市でシェアドスペースの手法によって道路の整備が行われた。
これは今月号の日経コンストラクションに掲載されていた記事。
しかし、中身を見るとシェアードスペースではない。
よく見ると、シェアードスペースの手法を使って整備した、とあり、紛らわしい。
ところで、シャアドスペースをご存知だろうか?
トランジットモールとの違いは何か?
トランジットモールというのは、歩行者と車両が同じ空間を共有することを許す地域。
ただ、どんな車両でも良いわけではなく、公共交通またはそれに準ずるタクシーのような車両に限られる。
なので、一般車は排除されている。
これは中心市街地の活性化、渋滞対策などを目的としたもの。
また、道路と歩行者の共存道路のような形態が多い。
次にシェアドスペース。
これは一般車も排除しない。
なので、普通の道路と同じような形態。
構造的にも車道と歩道は分離されていない。段差などはもちろん設けずに、やったとしても舗装材を変えるなど、視覚的分離をする程度。
横断歩道も信号も標識もない。
だから、広場の中をクルマや歩行者がお互いに譲り合いながら、通行するイメージを想定している。
皆んなでシェアしましょう。
お互いが譲り合いましょう、というもの。
これはヨーロッパでは文化的に成り立っても、中国では絶対に成り立たないだろう。
おそらくアメリカも無理ではないか。
極論すれば、運転者も歩行者も誰の権利も守られない道路、ともいえるからだ。
確実に譲ってくれるなら良いけど、譲ってくれなかった時、死ぬのは歩行者だ。
そんな状況では、歩行者はストレスでしかない。
だから、ぼくは日本でもこのシェアードスペースは、整備されないだろう、と思っている。
今回の山口県の防府市の道路整備はそういう意味では、シェアードスペースではない。
実際には車道部と歩道部は分かれている。
なので、普通の道路とそう変わらない。
見た目を少し変えた、という感じ。まあ、見た目は大事だと思うけど。
と、まあシェアドスペースについてはこのぐらいにして。
今日、このブログを書いたのは、何のためにこの整備を行ったのか?と思ったから。
雑誌の記事では、たくさんの人が集まってにぎわいを生む場になってほしい、とのコメントが掲載されている。
都市再生整備計画事業として10年近い期間をかけて整備されたようだ。
きっと、地元の商店街や町内会長が集まり、行政とコンサルが一緒になって計画を作ってきたと思う。
どのくらいの整備費用がかかっているのだろうか?
都市再生整備計画事業というのだから、国の補助金も半分くらいは入っているだろう。
ぼくが疑問に思ったのは、歩道が広くなった。
舗装材が綺麗になった。
これで、人って集まってくるのだろうか、と感じたから。
ウォーカブルな街を国交省が推奨しているので、その方針に沿った取り組み、ということは理解している。
ここまで、整備をするのに10年。多くの人が知恵を出し、議論しあってやっと竣工したんだ、ということは理解できる。
でも、どうなんだろう、という疑問がある。
もちろん、三大天神の一つである、防府天満宮の前面道路なので、正月のお参り時の混雑も凄いだろう。
だから、歩道を広げるってことの意味もあるのは分かるけど。
このような整備が全国各地で行われている。
これで地方創生になるのか?
この整備で賑わいが本当に生まれるの?
賑わいを生むことが地方創生なのか?
何か釈然としない。
道路の見た目をキレイにしたり、歩道を広くすることより、この広くなった道路をどう使うのかが大事と思うんだけど・・・
いっそ、道路にしないで何にでも使えるスペースってことの方が良いような・・・