効率的であることは良きことなり。
一般にそういわれている。
確かにそう思うし、効率的じゃない、ということはどこかに無駄があるということ。
無駄使いはしてはいけません、というのは日本人の美徳とするところ。
もったいない、ことはいけない。
無駄なハコモノは要らない!という声も聞こえてきそう。
災害時のリダンダンシーの理論もあるから、インフラ施設における無駄が何か、という議論は、今日のブログではやめておく。
まず、一般論として無駄を省きたい、というのはある。
建設業界では、国交省を中心に生産性革命プロジェクトの推進が進められている。
これには、無駄を省くという理由だけではない切羽詰まった理由がある。
もう何度も、書いているけど、少子高齢化社会による建設業を取り巻く環境はとても厳しい、ということ。
1997年に685万人いた建設業就業者数は現在、500万人。
近年は、横ばいが続いている。
横ばいでおさまっているのは公共投資予算が下げ止まったことが要因。
建設投資ときれいに相関関係をしめしている。
だから、アフターコロナ社会において、どこまで公共投資が行われるのか、そこに建設業の就業者数はかかっている。
ちなみに、民間部門も含めた建設投資額は約63兆円くらい。
土木は公共投資がほとんどで、建築は民間部門がほとんどになる。
建設投資は1992年の84兆円がピーク。
2020年にはピーク時の半分の42兆円まで下がったので、63兆円の現在はそれよりましな状況。
ただ、建設投資が増えたとしても、就業者は今後は増えないのではないか、という恐れがある。
現在の500万人の就業者の6割ちょっとを占める330万人の技能労働者のこと。
技能労働者は、今後2025年までには、現在の330万人から200万人にまで一気に減少すると言われている。
これは、簡単な話で、技能労働者の高齢化率が高い、ということ。
また、3Kに代表される建設業を若手は敬遠する傾向があることから、新規就業者数が伸びていかない、ということ。
別に、公共投資を減らせば良いじゃないか、どうせ、働き手もいないんでしょ。
もう道路だって十分に出来ているよ、これからハコモノは必要ないよ、
そんな声が聞こえてきそうだけど、そう単純な話ではない。
公共投資を行うということは、政府から民間にお金を渡すという大きな資金の流れを作っている、ということ。
いわゆる財政政策というやつ。
これが、国民皆が平等に使用する施設、税金をかけるべき施設に対して、政府はお金を出す。
こんな施設は公共インフラ施設を置いて他にそうそう存在しない。
だから、建設業というのは国において、ある種、保護していかなければいけない側面もある、と思っている。
それに、災害大国である日本において、建設業の衰退は、災害時に取り返しのつかない事態を招く恐れもある。
そんな分けで、なんとか建設業を存続させていかなければいけない。
ぼくが建設業に身を置く、という理由が一番大きいかもしれないけど。
これらへ対策として、例えば、外国人技能教育実習生を取り込もうとしたりもした。
他にも、働き方改革を進めて若者から魅力ある職場だと思ってもらおう、という取り組みも行っている。
しかし、本当に若者から魅力があると思われているだろうか?
ぼくは、働き方改革が進んだとしても、まぁ、ブラックではないよね。と言われるのが関の山だと思っている。
だって、魅力な仕事と楽な仕事は全然違うから。
では、魅力がある職業は何だろう?
ユーチューバー!と聞こえそうだけど、あながち間違いではないと思う。
ようは、ネット社会に生きる若者にとって、ネットと関われる仕事は、それだけで何となくカッコいい、というのはあるんじゃないかな。
安直に聞こえるだろうけど、でも、そういう側面はあると思う。
であれば、建設テックをもっと推し進めるべき、というのがぼくの思い。
昨日、ブログで新技術導入促進計画について書いたのも、そういう潜在意識があったから。
もう一つ、建設テックがどうしても必要だと思うのかは、冒頭で書いた効率性の問題。
今の建設業は、効率的ではない?
ん~、工場のように画一的な製品を作るのではなく、現場現場に合わせた一品製品。
どちらかというと、芸術性を帯びた製品を作っているとも考えられるので、そこは仕方がなく、一概に効率的じゃない、とはいえないんじゃないか、とも思うんだけど。
自動車工場のようにオートメーションで何でもできる訳ではない。
はずだったけど、少しづつ、建設現場を工場化する動きも出ている。
それがi-Constructionの推進。
このi-Construction自体は2015年に始まった。
2016年には、生産性革命プロジェクトがスタートし、i-Constructionは、このプロジェクトの目玉施策として位置づけられた。
それから、今年で5年目。
どこまで進んだのか、少しメモっておく。
まず、生産性革命プロジェクトは4つの観点が示された。
・ 次世代モビリティ/スマートシティ
・ インフラの整備・管理・機能の高度化
・ データ活用
・ 観光先進国として地域空間の魅力向上
この中の2つ目、インフラの維持管理、機能の高度化にi-Constructionが盛り込まれている。
少し、国交省のHPから、背景や実施内容をまとめてみる。
背景
・ 2045年、今から約25年後、人口は2割減、生産年齢人口は3割減。
・ 2033年、今から約十数年後、建設されてから50年以上経過の施設が急増。橋梁63%、トンネル42%が該当する。
・ 2018年、インフラ維持管理費は5兆円、これが30年後には12兆円に倍増!これを予防保全にかえることで6兆円に抑える
対策
・ i-Constructionの推進。ICTフル活用として建設生産プロセスの全てにICTを全面活用
・ インフラ機能の高度化。AIターミナル、道路の物流イノベーションなどを新技術を活用することで達成
例えば、ICT施工・・・
だけど、実際にこれが進んでいる印象は全くないんだよなぁ~。
過渡期、といえばそうなんだろうけど。
平成28年にICT土工から始まり、今はICTフル活用ということで、ほとんどの工種に基準類が整備された。
それでも、やっぱり普及しているとは思えない。
日本の建設業の内訳。
まず、資本金3億円以上の企業って、1%にも満たないということ。
資本金5000万以上でみても、3%程度。
こういった企業がi-Constructionを進めるというのは厳しいものがある。
まず、初期投資ができないことと、それを使いこなす教育を行う時間も予算もない、という現状。
無理やりi-Constructionを進めても、意味がなく、そうなるとi-Constructionを進めること自体が目的化する、という状況になる。
もう一つ、ICT施工の何が効率的なのかが見えにくい。
何でも無人でできる訳ではない。
街中の工事なんか、とてもじゃないけど無理。
丁張がいらなくなる?
確かにすごいね・・・
ぼくが若手の頃は丁張をかけるのと現場写真を撮るのが仕事のような毎日だった。
なるべく職人さんらの手が止まらないよう、考えて丁張をかけていた。
だから、丁張がいらない、と言われても、そんなに工事が中断するようなことはなかったし、と思ってしまう。
よっぽど、広大な現場で、同じ作業を何度も何度も繰り返すような、大きな国交省が発注するような工事だけじゃないの?
ICT施工でメリットが出るのは?と思っている。
でも、実際にi-Construction大賞の受賞者は、ゼネコンばかりではないんだよね、これが。
とはいえ、ぼくから見ると、まあまあ大きい規模の会社だよな~とは思う。
出来ない理由を並べても仕方がなく、やってみようとするしかないとも思う。
ブラインドタッチを練習したときも、人差し指だけで打った方が早いじゃないか、と思ったものだし。
Auto CADの勉強をしたときも、どれだけ手書きの方が早いか、と思いながら勉強した。
このブログの目的は、インフラ全般について、ぼくなりの考えを持つために書いている。
今日は、なんか不完全燃焼。
思いつくままダラダラと。まとまりのない文章。
もう少し、i-Constructionの効果について、いつかメモってみたい。