今日は技術士の過去問、平成30年の1次試験、鋼材の腐食について。
鋼材の腐食や防食についての過去問を解いていく。
問題文は「公益社団法人 日本技術士会」のHPで閲覧ができるようです。
「公益社団法人 日本技術士会」過去問(平成30年度 第1次試験)
選択肢を見ていくと、塗装のことなど防食工法について述べられている。
でもその前に、鋼材の腐食について、一般論をメモっておく。
まず、建設業界において腐食といえば思いつくことを洗い出してみる。
まず、現場に納品された鉄筋の錆び具合のチェック。
現場に置いておいたH鋼やシートパイルの錆び。
塗装の前に行うケレンの種別。
インフラ管理では街路灯や公園遊具の根本、地面との生え際の腐食による倒壊。
水道管内部の錆び、またその悪化による破損、道路から吹き上がる水道水。
と、まあ、土木材料として鋼材を扱う以上、腐食とは常に戦わなければいけない。
一説には、腐食への対策として、日本全体で15兆円の費用がかかっている、とも言われているらしい。
なんで、鋼材は錆びるの?
これは、実は質問がおかしく、鉄は錆びている状態が普通。
そもそも鉄というのは、自然界においては鉄鉱石として存在している。
つまり鉄鉱石としての状態が安定した状態ということ。
鉄鉱石とは酸化鉄である。
それを溶鉱炉の中でコークスを還元剤として酸素を引きはがした状態、それを製鉄という。
だから、製鉄は放っておくと、つまり、酸素がある状態にしておくと、元々の安定状態である鉄鉱石に戻ろうとする。
だから、基本は鉄を酸素に触れさせないようにすることが、防食技術となる。
では選択肢をみていく。
選択肢➀ 塗装
塗装というのは、塗膜が酸素、水、塩化物イオンから鋼材を保護する。
これは正解。
もう少し詳しく見ると、塗装の目的は3つ。
・ 保護・・・これが選択肢になっている。
・ 美観・・・見える部分は普通は塗装する。それは鋼材に限らず、木材でも同様。
・ 機能の付加・・・遮熱性、ガードレールに白が多いのも目立つことを目的としている。
そして、鋼材の保護については、酸素との接触で錆びるわけだけど、水はH2Oなので酸素を持っているし、塩化物イオンは錆びを促進するので、選択肢は正解。
塩化物イオンとは、Cl- のこと。
選択肢② 厚膜被覆
ゴム、プラスチックなどを1mm以上の被覆。
1mmという厚膜なので長期間の耐食性を示す。
だから、港湾や海洋鋼構造などの錆びやすい場所に適用される。
これも正解。
覚えるしかない。
選択肢③ 溶融めっき
金属を溶かしたプールに鋼材を漬け込むイメージ。
言葉としては侵漬。どぶ漬け、などとも言われる。
この金属として、亜鉛、アルミニウム、亜鉛アルミニウム合金などが使用される。
この工法の場合、街路灯のように、円柱形の中が空洞になっている鋼材の場合、手の届かない円柱の内面側にまで被覆できる点が優れている。
選択肢④ 金属溶射
選択肢の問いのとおり、溶かした金属材料を吹き付ける。溶かした金属材料には空気が含まれてしまうため、その空気孔が出来てしまう。
空気孔があればそこから水が入り込む。
だから、空気孔を塞ぐための封孔処理が必要となる。
これも正解。
選択肢⑤ 耐候性鋼材
これは選択肢の中で異色。
なぜなら被覆しないでよい鋼材。
無塗装で防食性を発揮する鋼材。
自ら錆びてその錆びが酸素との接触を防ぎ、錆びが進行するのを止める、という代物。
どんどんと新たな鋼材が開発されていて、これは新技術として活用が期待される。
さて、選択肢をみると、リン、銅、ニッケル、クロムを含有した合金とある。これはOK。
次、適度な乾湿により鋼材表面に保護性錆により腐食の進展を抑制する。これもOK。
次、耐食性鋼材は非常に腐食性の高い環境に適用される。これはNO。
確かに、耐食性はあっても、さすがに全く塗装していないので、水や空気に触れ、塩分が高いところでは持たない。
一般に、この耐候性鋼材は、溶接用鋼材として用いられている。
今日は材料についての勉強。
コンクリートや鉄は構造物をつくる上での欠かせないので、しっかり勉強していこう。
つまらない分野だけど。