国交省の自動車局で9人の感染者が出たとのこと。
建設業界の元締めにまでコロナの手が伸びているといこと。
その国交省だけど(自動車局は関係ないけど)、直轄事業においてコロナ対策費を設計変更の対象とするとの方針が出された。
請負代金への変更や工期など。具体的にいうと
・ 共通仮設費として、労働宿舎の密集を避けるための宿泊費などなど
・ 現場管理費として、マスクや消毒液、テレビ会議用の機材などなど
他にも、協議によって変更することを妨げないとしてるし、これらは事業継続と推奨するものでもない、とのただし書きも。
これらが、各地方整備局に通知され、各自治体にも参考送付された、とのこと。
一方、ゼネコン大手4社は工事の中断を発表しているし、準大手のゼネコンもかなりの数が現場を閉鎖している。
ゼネコンの中には下請けに対し、休業補償をすると発表しているところもある。
ただ、下請け企業にとってみれば、そんな簡単な問題ではないらしい。
それは、建設業が元々持っていた人手不足という問題と絡んでくる。
アフターコロナでどうなるか分からない、という前提だけど
建設業界は他の産業と比べても特に高齢化率が高く、3Kの職種に代表されるように、若手が入ってこずに、近年は極度の人手不足に陥っていた。
つまい、いったん手放してしまうと、もう職人さんは戻ってこない、ということ。
だからこれまで、遊ばせずに常にどこかの現場に送る、という方法で繋いできた。
今回、休業補償が出るからといって、安易に休暇を与えると、職人さんらは、他の現場に行って戻ってこなくなる、との不安が大きいはず。
このブログでも過去に書いたことがあるけど、建設業の就業者の推移である。
1997年、建設業の就業者は685万人、そのうち技能者とよばれる職人は455万人。
それが
2010年、建設業の就業者は500万人、技能者は330万人に減っている。
十数年で3割の減少である。
2025年には、技能者は210万人まで減る、と言われている。
25年間で半分程度にまで減少することになる。
しかも、残っている技能者もかなりの高齢化となっている。
ちなみに2017年の段階では、建設業全体で500万人なので、2010年ごろから持ちこたえている状況にある、といえる。
そんなこともあってか、建設業はコロナショックでも、事業を継続している会社が多かった。
もちろん、他の業種と比べてみても、建設業は屋外であること、また、災害復旧工事などの人の命に係わる工事が多かった、ということもある。
でも、それだけでなく、簡単には休業できないという下請けの事情もあっての、ゼネコンの対応だったのだな、と思う。
しかし、清水建設の社員でコロナの死者が出るなど、そうも言ってられない、ということだと思う。
ただ、これだけ多くのゼネコンが工事を中断したとなると、社会への影響はどうなるのだろうか。
国交省はインフラのメンテや災害対応を所管しているけど、経済への影響も考えているのは間違いない。
社会への影響なんて、正確にはシンクタンクに頼まないと分からないけど。
簡単なデータを示しておく。
現在、建設業の就業者数は500万人。
これは日本の全産業人口の8%にあたる。
ちなみに、全産業の就業者数は6500万人である。
なお、製造業が16%、卸・小売りが17%、サービスが30%という感じ。
GDPにしめる建設業の生産額は5.5%にあたる30兆円。
ちなみに、国内総生産は540兆円。
なお、製造業は18%、卸・小売りは14%、サービスが23%という感じ。
この数字をみて、建設業は10%もないのだから、影響はないというのか。
全就業人口の8%だから、13人に1は建設業に関わる仕事をしていることになる、だから、影響は大きいとみるのか。
ぼくは大きな影響を及ぼすと思っている。
なんとか、設計変更で対応して、事業継続できるような体制を整え、経済を回す方に動いてほしい、というのがぼくの勝手な気持ち。