脱炭素コンクリートについて

脱炭素コンクリートとか低炭素型コンクリートと呼ばれるものを調べてみる。

まず、コンクリートの基本的なところからおさらいしよう。

コンクリートとは、一般にセメントコンクリートを指す。

他にもアスファルトコンクリートや珍しいところではポリマーコンクリートもある。

これは結合剤がセメントかアスファルトかポリマーかの違い。

セメントはセメント。これがCO2を出すから後ほど、しっかりと書く。

アスファルトは原油から作られるドロドロの炭化水素。

ポリマーコンクリートはレジンコンクリートともいい、結合剤としてエポキシ樹脂などのポリマーを使っているもの。

 

さて、ここではセメントコンクリートを中心に書く。

まず成分は

粗骨材・・・5mmふるいを85%以上とどまる骨材。

細骨材・・・5mmふるいを85%以上すり抜ける骨材。

セメント・・・のちほど。

水・・・基本は海水はダメだけど、最近は海水をつかえるコンクリートもある。

 

セメントがCO2を出す。

質量比では、水5%、セメント15%、細骨材30%、粗骨材50%

となり、骨材が80%以上で、CO2を出すセメントは15%ほど。

容積比では、水15%、セメント15%、細骨材35%、粗骨材35%

となる。これは、容積が35%でも質量で50%になる骨材の比重が大きいことを示している。

 

ここで、セメントは質量比、容積比ともに15%程度であるが、ここがCO2のほとんどを出す。

骨材を採掘するときに、重機を使うことによるCO2排出量は微々たるもの。

セメント1トン製造するのに、CO2は0.8トンの排出量がある。

 

これはポルトランドセメントの場合で、高炉セメントになる0.5トンくらいに減少する。

つまり、ポルトランドセメントの場合、1トンのセメント製造するのに、同量(80%程度)のCO2が出る、ということ。

この仕組みを見ていく。

 

まず、セメントは石灰石と粘土を混ぜて、1400℃で焼成して作る。

石灰石はCaCO3と粘土SiO2が主原料

CaCO3は石灰石のことだが、別名は炭酸カルシウム

このCaCO3を焼成すると、O2とくっついて、生石灰と二酸化炭素ができる。CO2排出!

化学式は

2(CaCO3)+ 熱 → 2(CaO)+2(CO2)

CaOは生石灰で、別名は酸化カルシウム

水を吸うので吸収材などに使われる。

これがセメントの主原料。

おそらく、生石灰CaOが地球上にたくさん存在すれば、わざわざCaCO3を焼成する必要はない。

でも、すぐにC(炭素)がくっついてしまう。これがやっかい。

 

 

ちなみに、生石灰に水を加えると、消石灰になる。

CaO+H2O → Ca(OH)2

消石灰は、別名は水酸化カルシウム

むかしのグランドの白線は消石灰だったと思う。

本題となるが、生石灰が水とくっ付いて水和反応により水酸化カルシウムが溶出してくる。

これが強アルカリを示す要因。

しかし、強度発言はこの水酸化カルシウムではなく、ケイ酸カルシウムなどの反応物質らしい。

 

話を戻すと

石灰石は炭酸カルシウムで、燃焼させると、Cが取れて、CaO、酸化カルシウムになる。

このとき、CO2を発生する。

石灰石1、000kgを焼成すると、440kgのCO2が出る。残りの560kgがセメントの原料となる。

CO2とは関係ないが、セメントの原料は石灰石だけではなく、粘土なども一緒に混ぜて焼成する。

これは、ケイ素、アルミニウム、鉄などの成分も必要だから。

生石灰に酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄などが混ざり、クリンカとなる。

このクリンカに石膏をまぜて、ポルトランドセメントとなる。

 

さて、今回は脱炭素コンクリートだから、石灰石から生石灰に変わる過程のCO2排出量が問題である。

 

おさらい、セメントは1トンつくるのに、0.8トンのCO2排出量とのことだが

コンクリート1トンつくるのには0.3トンくらいのCO2が出る。

質量比でセメントは15%程度だから、計算があわない。

コンクリートを作るには、プラントを稼働するためのエネルギーも入っているのだろうか。

よく分からない。

 

さて、ここからは各メーカーの取組を三社

【鹿島建設のSUICOM】

コンクリート1m3(2.3トン)あたり、0.1トン程度のCO2を吸収するとのこと。

そもそも、コンクリートは硬化後もCO2を吸収している。だから、中性化するのである。

SUICOMは、この1m3あたり、0.1トンのCO2吸収を強制的に行うのである。

打設後にすぐに高濃度のCO2環境下において、素早く吸収させる、というもの。

ここで疑問は、もともと吸収するCO2を前倒ししているだけではないか、というもの。

 

次に、本来強アルカリを示すコンクリートを中性化した状態になるので、鉄筋コンクリートでは使えない、ということ。

もっと調べないといけないが、SUICOMの疑問は分かれば、追記していきたい。

 

【大成建設のT-eConcrete】

これはまず、セメントをまったく使用しない。となると、レジンコンクリートか?と思うがそうではない。

高炉スラグを使う。これは高炉セメントの混合セメントとは違う。

混合セメントは普通ポルトランドセメントをベースに混合していくが、今回のものは高炉スラグのみ。

しかし、高炉スラグとは、それだけでは水和反応を起こさない。

そのため凝結せずにコンクリートは硬化しないはず。

高炉スラグは、セメントが水和反応を起こし消石灰(水酸化カルシウム)Ca(OH)2によるアルカリの刺激を受けて水和反応を起こす。

だから、生石灰が必要なはずなのだが、どうやっているのか。

ネットを調べると、特殊な混和剤を高炉スラグに混ぜる、とのこと。企業秘密かもしれない。

高炉スラグの潜在水硬性を呼び起こすらしい。

まあ、アルカリ性なら何でもよい気もするが・・・

 

もう少し高炉スラグを調べておく。

高炉スラグとは銑鉄の過程の副産物である。そのため、CO2排出とはカウントしなくてよい。

そうなると、普通セメントの場合では1トンあたり0.8トンのCO2排出量を0.3トンほど減少した0.5トンほどに抑えることができる。

 

ただ、それだけでは、セメントを使わないコンクリートなだけで、カーボンゼロではない。

骨材の採掘にもCO2は出るだろうし、プラントからも出る。

そこで、大気中など外から吸収したCO2を炭酸カルシウムに変え、それをコンクリートの中に入れてしまう、というもの。

この炭酸カルシウムのCO2吸収量がー171kg/m3

高炉スラグや炭酸カルシウムの製造時のCO2排出量が55kg/m3

結果として、ー116kg/m3

炭酸カルシウムの製造方法は、Ca溶液の中にCO2を注入する方法らしい。

 

 

最後に

【会澤高圧コンクリート】

プラントでレディミクストコンクリートを製造するときに、生コンが液化CO2を注入するとのこと。

CO2を液化するには、5気圧下でー50~60℃を保つ必要があり、生コンもその状況下で作るのか?

そんなことをすると、生コン中の水分が凍結してしまうだろう。

どうやって製造するのか不思議ではあるが、しっかりと強度は出ているようである。

圧縮強度は10%大きくなっているらしい。

その理由が、液化CO2がセメント(生石灰や粘土を焼成したもの)から、溶出したカルシウム(水酸化カルシウムか??)と結合して、炭酸カルシウムを形成するらしく、この物質により強度が増強するらしい。

それなら、こんなややこしいことをせずに、大成建設のように、CO2から炭酸カルシウムを製造して、生コンに混ぜてはダメなのか?

それでは、強度は大きくならないのか?

よく分からないことだらけではある。

しかし、公共工事でも脱炭素コンクリートが標準となる日がくるのかもしれない。

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