熊本県球磨川の氾濫水が球磨村を襲った。
毎年のように大雨特別警報が発動され、浸水被害が発生している。
つい先日も気候変動についてブログを書いた。
今回も大雨特別警報が出されていた。
大雨特別警報とは台風や集中豪雨により数十年に一度の降水量が予想される場合、または数十年に一度の強度をもつ台風の場合である。
しかし、そのエリアにとって数十年に一度の割合ということは、日本全国には何百、何千というエリアがあるわけで、毎年、日本のどこかの地域で特別警報が出ることは、数学的には当然のことかもしれない。
なので、大雨特別警報が頻発することに驚きはないけど、それでもやっぱり、水災害が近年、激増している感覚はある。
やはり、気候変動ということなのか。
国交省は流域治水プロジェクトを立ち上げたばかりである。
このプロジェクトは、全国の1級河川の水系において河川整備計画に基づいた事前防災対策メニューを関係自治体と連携して検討するもの。
国はこのプロジェクトを水災害対策の3本柱の1つとしている。
ちなみに3本柱とは以下。
・緊急治水対策プロジェクト・・・台風19号で被災した7水系で再度災害防止対策として災害復旧や河道掘削など概ね5~10年で整備。
・流域治水プロジェクト・・・全国の河川において事前防災対策として流域全体で対応するというもので、印象的なのは計画的に溢れさせる、という考え方
・気候変動を考慮した抜本対策・・・雨量、流量など従来モデルから気候変動を考慮したモデルに変換して河川整備計画を見直して対策実施へ進む。
流域治水については国交相のHPをリンク貼りしておく
国土交通省「あらゆる関係者により流域全体で行う「流域治水」への転換」
上記のHPには、流域対策のイメージが掲載されている。
そこを見てみると、大きくは3つ。
・河川対策・・・堤防整備、河道掘削、ダム再生、遊水地整備
・流域対策・・・下水道の整備、雨水貯留施設の整備、土地利用規制や誘導
・ソフト対策・・・水位計、監視カメラの設置、マイタイムラインの作成
となっている。
土地利用規制はソフトではなく流域対策に入るのかと思ったが、確かに流域という広い視点で見ると、安全エリアへの移転促進という考え方は流域対策なのかと少し納得した。
で、この3つの対策を実施するうえで、各河川ごとの河川整備計画の情報を落とし込んでみて、3つの対策内容を決めていく。
情報提供の方法は、緊急治水プロジェクトの仕組みを利用するとのこと。
さて、このプロジェクトの肝はやはり、計画的に溢れさせるという手法。
上流の都市が下流の都市を守るために犠牲を払うというもの。
もちろん、下流の都市から経済的補償を受けることは前提にすべきだと思うが、それだけで解決するとは思えない。
人は自らの懐が痛むことには徹底的に対抗するから。
そして、流域全体が沈んでいく。
皆で死亡するのは良いが、俺だけが骨折するのは許せない、という考え。
健康の為なら死んだって良い、くらいになっている。
「この対策を執らないと、皆が死ぬぞ、と。お前も死ぬことになるぞ、と。確かに骨折するのはお前だけだけど、その補償はするからと」
言っても人は動けない。
自分だけが赤の他人の為に骨折をすることに耐えられす、それなら皆で死んだ方が気分的に落ち着く、となるだろう。
人は理屈ではなく感情で動くから。
その点においては、流域治水プロジェクト、大きな大きな壁を越えなければいけないプロジェクトだと思っている。
テレビでは球磨川の外水氾濫の様子が中継されている、というのに。