交通安全対策、これはインフラを考える上で重要な要素。
日々、コロナの死者数や不景気による自殺者数なんかがテレビの話題に上るけど、交通事故死者数というのもそれなりの数。
今日は、交通安全対策についてメモりたい。
交通安全対策といえば、公安委員会、いわゆる警察による対策も重要だけど、道路管理者、いわゆる役所が進めるハード整備も重要。
役所ではさらに、この交通安全対策をハード整備を担う土木部局と防犯パトロールなど地域活動の支援を担うような市民部局が共同して対策を進めることが多い。
このブログでは、インフラに関するメモというブログなので、ハード整備についてメモることにする。
まず、日本の交通事故死者数は、年間3300人前後。
年々、死者数は減少している。
しかし、この算定方式は、交通事故後24時間以内に死亡した場合をカウントしている。
ちなみに、30日死者というものもあり、あまり表には出てこないが、事故後30日以内に死亡した人は4000人を超えてくる。
また、負傷者までいれると、一気に50万人程度にまで増加する。
なので、死者数でいうと、全国で毎日10人が交通事故で死亡しているし、毎日1400人前後が交通事故に合っている計算となる。
怖い怖い。
また、事故の特徴は、歩行者が35%、自転車が13%。
つまり、歩行者と自転車で約半数を占めている。
そんな状況の中、どのような法律があるのか?
交通安全対策基本法という法律が昭和45年に制定されている。
これは基本法なので、法律としては上位に位置づけられている。
この法律を元に内閣府は、交通安全基本計画を策定している。
現在は第11次交通安全基本計画を策定している真っ最中。
で、この計画は内閣府が策定するもので、長期的かつ総合的な施策の大綱を定めるもの。
そのため、国交省は国交省の役割を踏まえた計画、国土交通省交通安全業務計画というものを策定している。
とにかく、交通安全という概念は大きく、一般的にはクルマの事故対策とういイメージだけど、実際には港湾だって鉄道だって含まれる。
また、自転車による交通事故も全体の13%と決して少なくない数字だけど、これは自転車活用推進計画というものの中で対策を執ることになる。
なので、交通事故対策といっても対象を何に執るかで、対策は大きく変わる。
一般のイメージでは、防護柵の設置や標識、路面標示の設置、ゾーン30の区域指定、ハンプの設置などだろう。
これまでは、小学校周辺での対策が一般だったけど、今回の滋賀県の事故では園児が犠牲になったということで、未就学児の対策が取られたところ。
ここにも、ICT活用により、対策の効果が見込まれている。
特にプローブ交通情報というものを活用した交通対策が実施されはじめている。
このプローブ情報とは、プローブカーと呼ばれるクルマからの生きた情報となる。
トヨタや日産、ホンダなどの車両メーカーやパイオニアやTomTomといった企業まで、プローブカーの走行データが匿名化された状態で、走行情報を取得できる仕組みである。
これがどのように役立てられるのか?
実は、このプローブ情報とは、どの位置で急ブレーキをかけたかとかのヒヤリハット情報などを取得できる。
つまり、事前対策を執ることが可能というのが大きな特徴だろう。
これまでは、何件も事故が起きて初めて、ここは危険な箇所だ、という認識が生まれていた。
もちろん、地元の人などは分かっていたのだろうけど、それでは中々役所は動いてくれない。
俗に言う、人が何人か死ななきゃ対策は取ってくれない、と言うやつ。
これが、プローブ情報により、客観的に危険性が示されることになるため、その意味でも画期的なシステムだと思っている。
新技術を使った交通安全対策はプローブ交通情報だけではない。
自動運転が進めば、居眠りだとか、スマホに気を取られてといった事故はほぼ防ぐことができる。
しかし、そうなると、防護柵やハンプといったハード対策は無駄な施設になるのかもしれない。
なぜなら、防護柵やハンプというのは、それぞれ歩行者に圧迫感、運転者には走行性の低下という状況を作りだすからである。
いずれにしても、交通安全はインフラによって、人の命を守るとういう意味では、防災対策と同じように重要な位置づけがなされるべきもの。
しっかりとベンチマークしていきたい。