今日は平成30年度の建設部門の過去問。9問目の道路橋の設計。
問題文は「公益社団法人 日本技術士会」のHPで閲覧ができるようです。
「公益社団法人 日本技術士会」過去問(平成30年度 第1次試験)
今日は橋の設計についてメモっていく。
まず、道路橋の設計において、注意しなければいけない力とは何か?という問題。
道路橋示方書は橋梁を設計する者がいつも小脇にかかえている、と言っても良いくらい、神のように大事にしている本。
そこからの出題ということで、橋梁屋にとっては簡単なんだろうけど、ぼくはそれほど詳しくないので、調べながらやる。
選択肢① B活荷重
高速道路、国道、県道、大きな市道の橋については、設計時にB活荷重を適用するのか?という問い。
まず、荷重というのは構造物に重みがかかること。
そして、活荷重とは活動している荷重ということで、作用点が移動していく・・・つまり走行している車両が橋桁に及ぼす重み、というイメージ。
さらに、A活荷重、B活荷重の違いは、大型車両の走行が少ない状況をA活荷重、大型車両の走行が多い状況はB活荷重という。
そうなると、この問いは、幹線道路のような交通量の多い道路は当然、B活荷重を採用することになる。
ちなみに、大型車両というのは総重量25tの大型トラックを想定している。
選択肢② 衝撃の影響
吊橋の主ケーブルや補強桁は衝撃を無視して良いか?という問題。
いつも思うのだけど、こういう無視して良いか?系の問題はなんとなく正解が出せてしまう気がする。
かといってそんなテクニック使って合格しても、なんか、あの人何も知らないね~と言われるのも嫌なので、ここは一つ、楽せず学びの喜びを。
ちなみに、この無視してよいか?で正解の場合もあるので注意。
まず、吊橋。
これは塔から主ケーブルがだらりと垂れ下がり、遠く離れたもう一つの塔まで繋がっている。
そこに垂直に吊り材が無数に桁を引っ張っているイメージの橋。
このような形だと、桁が風で揺れそうな感じがすると思う。
吊橋だけでなく斜張橋なども同様。
そこで、桁自体も補強しましょう。
例えば、桁をトラス構造にした桁にする、とか。
このように補強された桁を補鋼桁という。
これらは、大事な部分。もちろん、塔も吊り材も大事だけど、主ケーブルや補鋼材だって大事。
ならば、衝撃に対する力も検討しておかなければいけない、となるだろう、と思って答えをみたら、違う!?
へえ~考慮しなくて良いんだ?・・・
主ケーブルに加わる衝撃荷重って何があるだろう?
少し調べてみると、この衝撃荷重というのは、車両が移動するときの振動などを言うらしい。
スマートに移動するだけなら活荷重だけなんだろうけど、どうしても振動してしまう場合もある、これを衝撃と捉えるわけだけと理解した。
そして、この主ケーブルや補鋼桁は振動は気にしなくて良いよ、ということらしい。
では、この振動なんかの衝撃荷重はどの部材で考慮するのだろうか。
まあいいや。
橋梁の簡単な構造は下記のサイトが分かりやすかったので、リンクを貼っておく。
選択肢③ 不静定構造物の地盤沈下
不静定構造物では、地盤沈下で支点が移動するような場合、その影響を考えましょう、という問い。
そうですね、と言ってしまいたいが、少しじっくりと。
少しテキストでメモるのが限界を感じる科目なんだけど、静定構造物というのは、つり合いの方程式で解がでるもの。
3つの未知数があるなら3つの方程式が出来ればよい。
つり合いの方程式というのは、ΣH=0、ΣV=0、ΣM=0こと。
反力やせん断力、モーメント力から計算式をつくっていく。
未知数、つまり反力などが簡単な方程式では求められないもの。
イメージとしては両端固定梁、これは両端に反力、せん断力、モーメント力が発生するので未知数の方が多くなるので解けない。
だから、ガチガチに固定された構造物は不静定構造物となっている可能性が高い、ということ。
その不静定構造物の支点が移動することを考慮すべきか?いきなり、正答になるけど、考慮すべきと定められている、ということ。
静定構造物の場合は、圧密沈下など考慮しなくて良いのかは不明。
選択肢④ 集中荷重と等分布荷重
橋梁の床版、これは主桁の上に載せる床、というイメージ。
スラブという言葉を聞いたことがあるかもしれないが、これは鉄筋コンクリートの床版のこと。
で、床版の設計をするときは、活荷重は、車道は集中荷重(L荷重)で、歩道は群衆荷重つまり等分布荷重で検討すれば良いか?を知っていると解ける。
集中荷重のL荷重とは?
まず、①の問題でA荷重とB荷重はやった。
その2つの荷重、それぞれに対し、T荷重とL荷重がある。
T荷重とは車両単体を想定、L荷重は車両が連なっている状態を想定している。
もう少し説明。
T荷重はトラック荷重のT
トラック荷重なので輪荷重。つまり、車輪1個が路面に加える鉛直荷重のこと。
L荷重はライン状にかかる荷重。
ライン状にかかる荷重として、車両が連なっている様子から等分布荷重として計算される。
次に歩道は群衆荷重としての等分布荷重で良いか?という問題。
車道はトラック荷重であるT荷重、つまり集中荷重を載荷するものとして検討する。
歩道は群衆荷重である等分布荷重で計算する。
この問題は、問題文の前提部分で間違いがあるタイプの問題。
つまり、集中荷重であるL荷重は車道の設計に使って良いか?〇×という問題ではなく、その前、集中荷重であるL荷重・・・と読んだ時点で×とする問題。
L荷重はライン荷重であり、トラック荷重である集中荷重ではなく、等分布荷重だから。
選択肢⑤ コンクリート構造物の温度変化
この問題はコンクリートを打設するときの話ではない、ということは注意。
コンクリート構造物を設置後、その構造物の温度変化をどう予測して設計すべきか?という問い。
コンクリートは熱の伝導率は低いけど、温度変化がない訳がない。
だから、何メートルスパンで目地を設けなければいけない、などの検討に必要。
この基準温度は地域別の平均気温を考慮するのかどうか、というのが選択肢の問い。
普通に考えて、北海道と沖縄では平均気温がそれぞれ9度と23度と14度も違う。
設計にも地域別の平均気温を考慮するのは妥当と思う。
そう考えると、夏場は色々なものが膨張しているだろうから、街の景色は少し大きく見えているのだろうか?
少し疑問に思った今日この頃。