今日は再エネ。
ロシアのウクライナ侵略で少しトーンダウンしている感もあるが、それでも今後もこの再エネ重視の流れは変わらないだろう。
地球温暖化を止めることは人類の宿命と言われている。
なぜなら、ほとんどの大都市は海岸沿いに作られている。
日本でも東京、大阪、名古屋とすべて海岸沿いでゼロメートル地帯を抱えている。
地球温暖化により海面上昇が発生する。
大都市で人が住めない土地が出てくる恐れがある。
海水面の上昇量はいろいろなデータがあって正確なところは分かっていないと思われる。
0.4m~2.5mとか。
ただ、毎年少しづつ予測値は悪化しているような気はする。
気温上昇も長期的に2度以内の上昇に抑えよう、というのがスタンダードと思われる。
分かりにくいのは、COP21のパリ協定とIPCC報告書、菅首相のカーボンニュートラル宣言および気候サミット。
この辺りがごちゃ混ぜになっている。
少し整理しよう。
まず、国連気候変動枠組条約という条約がある。
この条約の締結国による会議がCOPである。
この会議(COP)は毎年開催されているが、特に現在まで影響を及ぼしている会議が2015年のCOP21。
これはパリで開催されて、協定が合意された。
パリ協定といわれるもので、ここで世界の平均気温を2℃以内の上昇に抑えることが合意された。
そして、この会議体は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に対して、1.5℃の上昇がどんな影響を及ぼすのか、報告するよう要請した。
これが1.5℃報告書というもの。
パネルとか横文字がついているが、これは200近い国と地域の政府が参加して、環境問題に対して調査研究をしたり、報告書を作ったりしている組織のこと。
このIPCCが、地球温暖化にGHGは疑念の余地がないこと、そして産業革命以降すでに1℃上昇していること、さらに、このままでは2100年に世界の平均気温が3℃の上昇。
現状では、2050年までに1.5℃の上昇となるが、1.5℃に抑えるためには、2030年は2017年比で49%削減、2050年にはカーボンニュートラルを達成する必要があることが報告された。
そして、2℃上昇してしまうよりも1.5℃に抑えた方が、いろいろと世界の環境がだいぶましであることが同時に報告された。
これらを受けて、日本では、第五次エネルギー基本計画を作った。
しかし、2020年10月に菅首相が所信表明演説にて2050年カーボンニュートラルを宣言した。
そして、2021年4月、菅首相が気候変動サミットにて2030年で2013年度比46%削減も表明した。
これらは第五次エネルギー基本計画よりも野心的な目標値。
そのため、第五次エネルギー基本計画の改訂、温暖化推進計画の改訂、と日本の各種法律や計画が、菅首相の発言に合わせた内容に改訂された。
ややこしいが、そのような背景があって、再生エネルギーが時代の寵児となっている。
実際、補助金も新制度も再エネのオンパレードである。
さて、世界では再生可能エネルギーというと風力発電が主らしい。
ただ、日本はダメ。
ヨーロッパほど良い風が常時というレベルでは吹かないらしい。
洋上はそれなりの風が吹くが、水深がヨーロッパより、かなり深いらしい。
そのため、単位kwhあたりの建設コストが高くついてしまう。
ただ、国によって再エネの主は異なる。
デンマークでは水力発電がベース電源となっているらしい。
日本もそれなりに水力発電の発電量は大きいのだが、いかんせんエネルギー消費量がデンマークなどとは違いすぎる。
現在、日本の電源構成としては、
1位 天然ガス(37%)
2位 石炭(32%)
3位 再エネ(18%)
4位 石油(7%)
5位 原子力(6%)
となっている。
ちなみに、1次エネルギー供給量としては
1位 石油(37%)
2位 石炭(25%)
3位 天然ガス(22%)
4位 再エネ(12%)
5位 原子力(3%)
この違いは、石炭や天然ガスは石炭そのもの、ガスそのものとして利用するより電力に変換して利用されていることによる違い。
日本にとって本当にエネルギーとして必要なのは1次エネルギーとなる。
1次エネルギーを他のエネルギーに変換して(ほとんどは電力)、つまり二次エネルギーに変換して、人が使えるようにしている。
二次エネルギーとは、電気、ガソリン、都市ガスなどである。すべて加工されている。
いずれにしても化石燃料の割合が圧倒的となっている。
日本では太陽光発電が適しているらしい。
風力はいまいち、地熱は温泉業者が怒ってだめ、水力はすでに結構作っている。
そうなると太陽光しかない、という消極的理由かもしれないが。
何しろ、夜は発電しない太陽光は、蓄電技術がいまだ遅れているため、風力や水力に比べると弱点の多い電力ではある。
少し太陽光発電とやらをメモしておく。
まず、太陽エネルギーは中緯度地域では約1.0kW/m2らしい。
これは、その瞬間の電気量が1kW、つまり1000Wということ。
この1.0kWの電気エネルギーがどれほどか?
例えば、ドライヤーは1.2kW。
エアコンは0.8kW
テレビは0.1kW
少し基本的なことだが、kWというのは瞬間的な発電能力(出力)のこと。
電力量は、kWに時間をかけて算出される。1時間あたりであればkWh(キロワットアワー)というように。
1時間当たりに、どれだけ発電したのか。
イメージとしては、流速が電力(kW)で、流量が電力量(kWh)ということ。
瞬間の強さは電力(kW)で、当然流れているので、そのボリュームをしりたければ、時間を乗じるしかない。
ここは、とても大切な感覚。これがないと、話が通じない。
少し話が逸れたが、太陽エネルギーは1.0kW/m2なので、1m2あればエアコン1台(0.8kW)は動かせるほどのエネルギーとなる。
しかし、これは、太陽エネルギーを100%電気に変えられたら、ということに注意。
地球全体でみると、太陽エネルギーというのは、人類全体が使うエネルギーの数千倍というエネルギーになるらしい。
そして、太陽光エネルギーを熱や電気といった2次エネルギーに変えることで、人類が使えるエネルギーとなる。
しかし、注意が必要なのは、このエネルギー全てを電気エネルギーに変えられる訳ではない。
ここで太陽光発電のシステムは、セル、太陽電池モジュール(いわゆるソーラーパネル)、接続箱、集電盤、パワーコンディショナで構成される。
セルとは、太陽電池素子ともいい、15cm×15cmほどの大きさ。
このセルが複数枚集まって太陽電池モジュールとなる。
皆が想像する太陽光パネル1枚のことである。
この太陽電池モジュールを設置する土地に合わせて複数枚設置していくが、これを太陽電池アレイという。
だいたい、モジュール1枚で200Wほどの電力を出力できるそうだ。
モジュール1枚でセル54枚くらいなので、モジュールの面積は1.2m2ほど。
つまり、太陽エネルギーを1kW/m2=1000W/m2なのに、発電量は200W/1.2m2となっている訳だから、発電効率は、17%程度ということになる。
実際のモジュールやセルの公証発電効率はもう少し高いが、最終的な発電までには、色々とエネルギー損失があるらしい。
シリコン系太陽電池よりももっと優れた素材が開発されれば良いとは思うが、こればっかりは、まったく分からない世界。
いずれにしても、太陽光エネルギー1000Wでも、人類はそこから170Wほどの電力しか取り出せていない、ということ。
これが現在の限界。
詳しくは分からないが、理論上、発電効率は30%が限界ということを聞いたことがある(真偽のほどは知らないが)
ちなみに、パワーコンディショナーというのは太陽光モジュールで発電された電力は直流のため、家庭で使えるように交流に変換する装置のこと。
この直流から交流に変換するときも5%程度のエネルギー損失があるらしい。
次世代太陽電池と言われているのが、ペロブスカイト太陽電池というもの。
とにかく薄い。
だから軽い。
一方、従来型のシリコン系の太陽電池モジュールの場合、17kg/m2
結構重い。
屋根に30m2設置すると、500Kgほど。
人間が8人くらいが乗っている感じ。
発電量は30m2×1000w(太陽エネルギー)×0.15(発電効率)=4.5kW
真夏の昼間にエアコン3台、冷蔵庫、テレビ、電子レンジくらいはギリギリ収まるのではないか(素人の計算なので信用しないように)
別の計算方法だと
月々の電気料金が1.2万円ほどの4人家族
1kWhが28円とすると、1か月の電気量は430kWhとなる。
1日あたり、15kWh。
そして、ここからが難しいが、朝など太陽の角度が悪かったり、曇っていたり、パネルの温度が高すぎたりすると発電能力は下がってしまう。
1日3時間、しっかりと発電したとすると、15kWh=3h×5kW
つまり、一般家庭では、5kWの発電力(流速)がほしい。
そうすれば3時間 × 5kW =15kWhの電力量を獲得できる計算となるから。
そうなると、5kW ÷ (太陽光エネルギー1.0kw/m2×発電効率0.2)では、25m2となる。
今回の計算方法だと25m2ほどの太陽光パネル(モジュール)を設置すると良いことになる。
ちなみに、太陽光導入費用は、25万円/kWとなっている。
なので、5kWだと125万円くらい。
100万ちょっとで設置できるのかと思った甘い。
電気は瞬間に発電して瞬間に使用されないといけない。
そうなると、家庭で電気を使うのは朝と夕方、この時間帯は太陽の光も弱く発電効率が悪い。
真昼間に3時間発電しても、あまり使い道がない。
このように太陽光発電には課題が多い。
では、蓄電池をセットで導入したらどうだろうか。
真昼間の発電効率が良いときに、たっぷりと発電して、それを蓄電池に充電すれば良いのではないか。
家庭用蓄電池の値段は15万円/kWhが相場なので、5kWhだと75万円。
とにかく、蓄電池は容量の割に値段が高い、というイメージ。
だから電気自動車が高いのだが。
つまり、家庭で使う電気を太陽光発電で賄うには、屋根に33m2のパネルを設置する。
その費用は蓄電池と合わせて195万円(太陽光パネル33m2+蓄電池5kWh)くらい。
という計算結果になった。
さて、話を戻す。
メガソーラーという言葉をよく聞く。
これは太陽光発電の中でも、出力が1MW(1000kW)を超える大規模システムといわれるもの。
太陽光エネルギーは1kW/m2
発電効率が15%とすると、1m2あたり0.15kW・・・・
1000kW ÷ 0.15kW/m2 = 6666m2
太陽光モジュールの実面積は6666m2くらいは必要になる計算だが・・・
実際、メーカーのHPを見ると、1MWh=1000kWhの発電量となるメガソーラーを設置するには、1ha~1.5haの土地の面積が必要となるらしい。
10000m2~15000m2くらい。
設置単価は、メガソーラーの場合、28万円/kWと言われている。
つまり、1000kWならば、2.8億円なり。
今日のまとめ
太陽エネルギー | 1.0kW/m2 | |
太陽エネルギー(発電効率) | 0.2 | 結果、太陽光発電は、0.2kW/m2の発電力(流速) |
太陽電池モジュールの重量 | 17kg/m2 | |
電気料金単価 | 28円/kWh | |
1か月の電気量 | 430kWh | 15kWh/日 |
1kWの太陽光パネルの年間発電量 | 1000kWh | |
1kWの太陽光パネルで日発電量 | 2.7kWh | |
一般家庭で必要なパネルの電力 | 5kW | 15÷2.7=5.5 |
太陽光パネル導入費用 | 25万円/kW | |
家庭用蓄電池導入費用 | 15万円/kWh | |
さて、今回は太陽光発電について、少し勉強をしてみた。
本当は補助金などもあるので、その辺りもメモしておきたいのだが。
次回は補助金を調べてみようと思う。