「重要物流道路」や「緊急輸送道路」とは

先日のブログでは「高規格幹線道路」や「広域道路(仮称)」など、いろいろな名称の道路についてメモった。

でも実は、道路の種類はもっともっと、たくさんある。

今日のブログタイトルの「重要物流道路」という道路は、比較的新しい概念の道路。

 

 

 

2018年3月に道路法が改正されて生まれた「重要物流道路」という道路はどういう道路か?

この道路は国土交通大臣が指定することで、重要物流道路という位置づけが与えられる。

これは、物流上、需要な道路輸送網について機能強化を図るために位置づけられた道路。

 

 

まずは、供用中の道路を指定する。

その後は、計画中であったり、事業中の道路も追加で指定していくらしい。

ただ、高規格幹線道路のように、高速道路として新たに整備していく、というのではなく、既存道路や既存計画で既に作る予定になっている道路を重要物流道路として位置づけていく、というイメージ。

だから、重要物流道路をどんどん作っていく、ということではない。

 

物流上、重要な道路輸送網を重要物流道路として指定して、国としても重点支援(財政的側面)をしつつ機能を強化していく、というもの。

重点支援とは、道路整備に際しての無利子貸付制度創設すること。

機能強化とはトラックの大型化に対応すること。

 

指定される道路は、高規格幹線道路、地域高規格道路、直轄国道、空港港湾アクセス道から指定される。

実際には、ほぼすべての高速自動車国道と直轄国道で30500km

地域高規格道路や空港港湾アクセス道で4500km

合計35000Kmを指定する、とのこと。

 

 

 

ところで、重要物流道路に指定されると何が変わるのか?

物流というぐらいだから、運送のため?

答えはYESで、運送のために制度を作ったのである。

 

重要物流道路では、運送がどう変わるのか?

特車の許可がいらなくなる

特車というのは、トラッククレーンやトレーラータイプの車両をいう。

これらの車両は、道路構造にも影響を与えることから、道路を通行するためには、当該道路管理者に事前に許可を取らなければならない。

現在の道路の損傷は、ほとんどが過積載などのルール違反の車両により発生している。

 

 

重要物流道路に指定されると、その道路を通行する場合には、特車の許可はいらなくなる、というもの。

これは、許可証が発行されるまでに1~2カ月かかるなど、経済活動に支障をきたし始めていたことも制度ができた大きな理由のひとつ。

なぜなら、国際海上コンテナ車の台数がこの5年の間に1.5倍に膨れ上がっているから。

そのため、許可が遅くなっているとのこと。

また、この特車許可の不要については、令和元年7月に運用が開始されている。

もちろん、これも生産性向上施策の一つでもある。

ちなみに、これは車両制限令の改正により行う。道路法の改正ではない。

では、道路法の改正では何を行うのか?

それは、国際海上コンテナ車の通行の許可を不要とするのだから、通常よりも強固な道路構造が要求される。

国際海上コンテナとは、ISOで規格化されているコンテナ。

よく港で何段にも積まれたオレンジや青のコンテナのことである。

 

 

この重要物流道路に指定されると、新設改築に適用する構造基準が強固な道路構造に変わる。

どう変わるかというと、国際海上コンテナ車が許可なく通行できるように構造基準を引き上げる、というもの。

具体的に書く。

変更になるのは道路構造令である。

まず、設計車両が高さ3.8mから4.1mに引き上げられる

そうなると、建築限界も変えなければいけない。

これまでは、車高3.8mに余裕高0.7mを確保して高さ4.5mが建築限界だった。

これが、車高が4.1mに変更されるので、同様に0.7mを確保して、建築限界を4.8mとするものとされた。

 

ただし、重量に関しては、構造基準を引き上げることはしていない

重量は一般制限値が20tであるが、道路構造上の支障のない区間に関しては、国際海上コンテナ車の44tまでを許可不要とする。

特車の許可をとれば44tまではこれまでも通行可能であった。

構造基準を引き上げることはしない、というのは44tを引き上げることはしない、という意味。

今回、指定路線の8割は、道路構造上の支障のない区間として特車の許可が不要となる。

残りの2割はトンネルの高さの改良や橋梁での活荷重に対する補強などが必要となる区間とのこと。

 

 

後、重要物流道路関連の出来事としては、重要物流道路の脆弱区間に対する「代替路」や災害時の物流拠点への「補完路」を設定された。

 

 

現在、先の国会ですべての道路で国が災害時に災害復旧や道路啓開を代行できるように法改正が行われた。

しかし、国の代行制度のスタートは重要物流道路と代替路と補完路からだった。

これは、震災や水災害、積雪による通行止めなど、近年、多くの災害により国直轄ではない道路において、通行不能な道路が発生した。

そのさい、国とはいえ道路管理者ではない場合は、簡単には手出しができない。

平成28年に発生した熊本地震では熊本県内の緊急輸送道路が50か所以上で通行止めが発生していた。

その反省を踏まえて、重要物流道路は国が代行して道路啓開や災害復旧などができるように変えたのである。

しかし、これは令和元年5月の道路法改正により、災害時の国による代行制度は、重要物流道路制度以外にも地方道全線に拡充された。

地方道とは、国道以外の道路のこと。つまり都道府県道や市町村道などのこと。

 

 

そうなると、疑問になるのが、緊急輸送道路との違い。

少し調べてみたけど、緊急輸送道路という道路は法律的な根拠はないようだ。

そのため、名称も緊急通行確保路線と呼ばれている県もあれば、第1次、2次、3次と重要度に応じてランク付けをしているが、そのランク付けも第1次、2次までの自治体もあるらしい。

ただし、緊急輸送道路は、各自治体が作成している〇〇県地域防災計画、という災害対策基本法により定められた法定計画上に位置付けられるなど、存在感の高い道路である。

いうまでもないが、重要物流道路は、緊急輸送道路と異なり、道路法で位置付けられた道路となる。

さて、ここ最近、様々な道路の種類について調べてブログに書いてきた。

しかし、調べていると、道路行政の複雑さに、あまり深入りしても仕方ないか、とも思うようになっている。

まぁ、これで道路についてメモることは一旦、終了する。

 

 

 

 

 

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