今日は技術士1次試験のR元年の問題。
32問目の土留め壁の問題を解いていくことにする。
土留め壁は工事では必須の工法なのでしっかりと勉強しよう。
過去問は下記のHPから取得できる。
「公益社団法人 日本技術士会」過去問 第一次試験 令和元年度 建設部門
選択肢➀ 地中連続壁
ソイルセメント地下連続壁はどんな工法か?
SMWという工法は超有名である。
このSMWは、ソイルセメント地下連続壁の中の代表的な工法である。
そして、ソイルセメント地下連続壁は地中連続壁工法(連壁)の中の一つの工法である。
だから、カテゴリーとして一番大きいのは地中連続壁工法、その中の一つにソイルセメント地下連続壁があり、その中の一つがSMWとなる。
ただ、SMWはよく聞くと思うが、一般に連壁というとRC連続壁の方を指す。
だから、地下連続地中壁は大きくは2種類。
それは、RC連続壁とSMWと思えばよく、この2種類の違いを理解しているのかを問う問題が出る、ということ。
地中連続壁 | コンクリート | 置き換え式 | 壁式 | RC連続壁 |
ソイルセメント | 原位置混合攪拌式 | 柱列式 | SMW |
地下連続壁の中でも、SMWは柱列式とよばれるもの。
地下に円柱の柱を隙間なく埋設していくイメージ。
簡単に工法を書くと、オーガー機で原地盤を掘削していき、原位置土(Soil)とセメントスラリーを攪拌(Mixing)し、H型鋼などを挿入して、地中にソイルセメント壁体(Wall)を作る工法。
では、RC連続壁とは、どんな工法か?
こちらは壁式。
地下に掘削機で壁状に溝孔を作る。この溝孔の壁が崩れないように安定液としてベントナイト(簡単にいうと粘土)を用いる。
さらに、その壁状の溝孔に鉄筋かごなどを挿入する。
その後にコンクリートを打設する。
選択肢には大深度という言葉も出てくる。
大深度というのは、地下40mまたは支持地盤から10m下。
RC連続壁もSMWもどちらも大深度までは可能と思うが、RC連続壁はさらに地下150m程度までも可能である。
SMWは一般に45m程度といわれている。
選択肢はベントナイトやポリマー安定液を使うとあり、これはRC連続壁。
SMW(ソイルセメント地下連続壁)の場合は、原位置の土とセメントスラリーを混ぜ合わせて攪拌して掘削する。
また、鉄筋籠を入れると書いてあるが、これもRC連続壁でSMWの場合は、H型鋼になる。
さらに、コンクリートを打設とあるが、これもRC連続壁。
SMWであれば、ソイルセメントを打つ。
つまり、選択肢はすべてRC連続壁、つまりソイルセメント連続壁(SMW)ではない。
選択肢② 簡易土留め壁
イメージとしては、街中で行われる、下水管や水道管を設置する場合、簡易的に溝型に掘削するような場合を想定するとよい。
労働安全衛生法では1.5m以上の掘削には土留めが必要とされている。
バックホウなどで掘削しながら、ある程度の深さになれば、木矢板や軽量鋼矢板を設置する。
少し掘っては矢板を下げていく。
それを繰り返す訳で、当然、隣り合う矢板とは密着性はないので、遮水性はない。
ただ、人力で持ち運びができるので、扱い易い。
選択肢③ 親杭横矢板土留め壁
これは選択肢の通り。
マンション建設などの現場で良く見かけるタイプ。
木材の矢板を横にして積み重ねていくタイプなので、当然、遮水性はない。
掘削底面以下の根入れ部分の連続性が保たれないとあるが、その通り。
そもそも、根入れがほとんどない。
逆に、湧水の恐れのない地盤では優れた工法となる。
なぜなら、施工費、材料費ともにコストが安く済むから。
ただ、木矢板と背面との間に隙間ができるので、地山が変形しやすい。
選択肢④ 鋼矢板土留め壁
鋼矢板を土中に打ち込んでいく。
打ち込み方法によって施工方法は山ほどある。
バイブロハンマで打ち込んだり、振動や騒音が出せない街中では、サイレントパイラーとよばれる圧入機で圧中したり。
継手部をかみ合わせて打ち込むため、遮水性に優れている。
掘削底面以下の根入れ部の連続性も保たれる。
地中30m前後までは可能。
連壁と比べると、鋼矢板なのでたわみが出る。
また、鋼矢板の引き抜きに際して、周辺地盤に影響が想定される場合もあり、そのような場合は残置も検討する。
選択肢⑤ 鋼管矢板土留め壁
よく見るのは護岸工事。
継手が取り付けられた鋼管を継手部をかみ合わせながら、連続して地中に打ち込む。
選択肢をそのまま書いているだけのようになっているが、その通りなので仕方ない。
鋼矢板は剛性は低い。
やはりたわみが出るが、鋼管なのでたわみは少ない。
断面二次モーメントが大きい、ということ。材料コストは鋼矢板よりも多くかかるはず。
この辺りは土木施工管理技士試験の方が詳細に聞いてくる部分。
土木施工管理技士の資格者は容易に解ける問題。