建設経済研究所が「建設経済レポート」を発表した。
もう、1週間くらい前の新聞記事(5/21)である。
レポートの内容は、インフラ管理には選択と集中が必要で、そのための3つのポイントを示した、というもの。
HPを見ても載っていなかったので、業界新聞のリサーチによるものなのかな?
しかし、その中身については、インフラ管理に選択と集中が必要という、ひと昔前から言われていたことで、特に目新しいことはなかった。
3つのポイントを読んだけど、それもまあ、そりゃそうだ、という感じで、ぼくのような一般ピープルでも思っていることしか書いていない。
念のため、その3つのポイントを書いておく。
1点目・・・維持管理費や撤去費用を数値で提示。費用対効果の面から、今後は撤去の可能性がある施設であることを住民に事前に周知しておく。
これについては、前もって示しておくことで、覚悟を持ってもらう、ということだろう。
または、バルーンを揚げておいて、その食いつき状況を見る、という作戦。
ただ、この作戦の場合、施設を撤去してほしくない住民側に反対運動をする準備を与えてしまう、というリスクはある。
2点目・・・長期的な全体計画を提示して、インフラ撤去の判断基準を事前に示しておく、というもの。
これについても、住民に対し事前に示しておくもの。
恣意はなく、明確な数値などから撤去を判断しています、ということを示すためのもの。
3点目・・・代替施設を提供することで、住民便益の減少を最小限に抑える。
これについても、住民の理解を得るための方策。
こうしてみると、3点とも、住民懐柔策のような内容。
それもそのはず、施設管理者、つまり行政機関は、住民から反対運動を起こされた場合、撤去計画は頓挫するだろう。
そこに国会議員だの県会議員だのが入ってきたら、もう行政機関の作った撤去計画など一瞬で吹き飛ぶ。
そして、議員というものは、地元の支援を受けて声を発する。
日本全体の為だとか、県域を眺めた時、という思想はない。
特定の地域の特定の利益を代表するような代議士が生まれるような小選挙区制度である以上、この仕組みは変わらない。
結果、老朽インフラの選択と集中は計画的には進まない。
では、将来どうなるのか?
ある程度の規模の自治体では、本来やるべき施策の予算を削ってでも、ほとんど使われない施設の修繕や改築が行われていくことだろう。
小さい自治体においては、さすがにお財布が空っぽになってくるので、使用限界状態となった橋梁などは、通行止め。
撤去費用はもちろんのこと、架け変え費用もないので、通行止めがいつまでも続く。
やがて、その橋梁を渡っていたわずかな住民も、少し離れた橋梁を使うことに慣れ始める。つまり、この橋梁を使うことを諦める。
やがて、どこかで、予算がついて撤去。
という流れが容易に想像される。
建設経済研究所のレポートは、使う側の人間の心理を一部、考えて作成されているけど、甘い!という印象。
ちなみに、完成後50年以上を経過するインフラの割合は以下のようになる。
道路橋・・・・2023年で4割、2033年で6割
水門など・・・2023年で4割、2033年で6割
港湾・・・・・2023年で3割、2033年で6割
トンネル・・・2023年で3割、2033年で4割
下水道管・・・2023年で1割、2033年で2割
こうみると、下水道管は一番、老朽化の度合いは緩やかなイメージがあるけど、これは都市による。
また、完成後50年というものに意味があるのか?
コンクリートは土の中で状態が良ければ100年でも持つ。
一律にこのような数値で示されても、大変だ大変だ、とはならない。
このあたりは、国交省や土木学会が、もう少し納得できる説明が必要ではないか、と思う。
実際、道路の舗装については、アスファルト舗装などでは20年程度をライフサイクルと考えているが、大型交通量の多い道路では20年もたない。
これは過積載が原因と考えられるが、その取り締まりコストと舗装打ち換えコストの比較はどうなんだろう?
実際は警察による取り締まりがないと、過積載の撲滅には繋がらないだろうけど、警察にもそのような体制は取られていない。
この世の中は、非効率なことが多く、そんなとき、お隣の中国のような国の場合、このような非効率性というのはないのだろうな、と。
かといって実際、中国みたいになったら、大変だけど。
なんとかならないものかな。