今日は技術士の勉強。
平成30年の過去問。1次試験の建設部門。23問目の海岸工学について。
問題文は「公益社団法人 日本技術士会」のHPで閲覧ができるようです。
「公益社団法人 日本技術士会」過去問(平成30年度 第1次試験)
海岸工学について過去問を解いていく。
でも、実は、ぼくは学生時代にこの海岸工学という学科を勉強した記憶がないし、実務でも経験していない。
なので、試験の時は選択しない、という方法もある。
でも、せっかくなので学びましょう。
このまえ勉強した電力土木の問題も同じような状況だったけど、やってみると面白かったし。
選択肢➀ 浅水変形
これはH30過去問の18問目の水理学でもやったけど、波の速さは水深による。
V=√gh
水深の大きい場所で発生した波が浅いところに接近してきた場合、速さは遅くなる。
実は、前回の勉強のときも少し疑問に思っていたことが結構あった。
でも、そこに深入りすると1問解くのに何時間もかかってしまい、勉強自体が嫌になると思い、目を瞑ってきた部分。
今回はしっかり調べたい。
まず、波の運動とは、水粒子の往復運動。
往復運動なので、少し進むと戻ってくる、これを繰り返している。
だから、波の波形は進んでも、水粒子そのものは進んでいない。
進んでいるように見えるのは目の錯覚。
というか、よく波を見ると海水自体は上下に運動しているだけ、とすぐ分かる。
詳しくは、海水面付近で小さく円運動のような形をしているらしい。
だから、水平方向に少し前に進むようにも見えるし戻るようにも見える。
また、鉛直方向にも上がって下がってという波特有の形も目にみえる。
これが、海水面付近で円運動っぽい動き、という説明。
もう一つ、水深が深いところ、つまり海底付近の水は往復運動をしていない。
これも、水中眼鏡をして海の底に潜ってみるとイメージできるはず。
浅いところは、波の動きに合わせて海底の砂も水平に進み戻りを繰り返しているけど、深いところで潜ってみると、海底付近の水は波の影響を受けていない。
別の言い方をすると、深さによって、波の動きに合わせて、若干、上下に体が少し持っていかれそうになるところもあれは、海面で波があっても、砂付近の水は波の動きと関係なくゆらゆらしているだけ、というところもある。
これを、もう少し詳しく書くと、海底付近の海水が海面の波の影響をうけるかどうかは、波長と水深の関係により決まる、ということ。
水深が波長の半分より深くなると、海底付近の水は波と運動しない。
この水深が波長の半分を超える深さのところの波を深水波という。
海水浴場で、ブイがあると思うが、このブイより沖合が深水波になるところらしい。
とはいえ、波の波長によって、深水波は変わるので、通常の波ということだろう。
あくまで目安というぐらいかと思われる。
ちなみに、津波のような波長が数十kmという波の場合、深い深い水深であっても、深水波とはならない。
深い海底でも波の動きに合わせて、水粒子も動く。
波長が20kmの津波のような場合、波長の半分の10kmもあるような深い水深でも、深海波とはならないし、海底付近でも水粒子が上下運動する。
別の言い方をする。
発生原因から考えると、海底の地殻変動で海の水が海底から動かされているので、その深さ分が波長になるから、波長が数十kmということになる、といえる。
次、速さについて。
波の速さV=√ghなので、水深が浅くなれば、Vも遅くなる、と水理学で勉強したけど、これはどうも限定された場所で成り立つ式らしい。
河川のように、そんな極端に深いところがない場合は、良いのかもしれない。
ちなみに、V=√ghが成り立つのは、波長に対し、水深が十分に浅いエリアで成り立つ、ということらしい。
ただし、水深が浅くなれば、波の速度が遅くなるという関係は、水深に影響しない。
次、波高について。
波はエネルギーなので、Vが遅くなれば、その水平方向に進めないなら、上に行こうとする。
こうなると、波が高くなる。
次、波長について。
水深が浅くなると、波長は短くなる。
波長というのは、波の山が来てから次の山がまでの長さ。
波を横から断面でみると、波高が高くなる、そして波の速さが遅くなる。
これって、完全に波長が短くなってる絵。
そして、周期は変わっていない。
このように、水深が浅いところに到達した波は、速さ、波高、波長が変形することを浅水変形、という。
正確には、水深が浅くなると、速さは遅くなり、波高は高くなり、波長は短くなる。
選択肢➀の答えまで、たどり着くのが大変大変。
ちなみに、波の高さと水深が同じくらいになると、波が崩れて砕ける。
こうなると、波のエネルギーが砕けて乱れた水運動により消費されて、熱エネルギーに変換されて消え去る、ということらしい。
この、波が渦や泡のようになって、エネルギーを発散してくれるから、砂浜では波エネルギーをモロにくらうことは、あまりない、ということらしい。
よくよく考えると、波にとっては、水深が浅い、とか深い、というのは波長によって変わってくる。
人間の海水浴のときの感覚だと、問題を解き間違えそうになるので注意。
やっと設問文にいける。
浅水変形とは、設問文のとおり、浅いところに入ってきた波の波長、波高、波速が変わることをいう。
選択肢② 有義波
波高:波の峰と谷の差
波長:波の峰と次の峰の長さ
周期:峰が来てから、次の峰が来るまでの時間
波は高さも波長も周期もたくさんある。
これを計測して、波高上位、1/3の波高の平均をとったものを有義波高という。
この定義から1/3最大波と呼ばれている。
一連の波を計測したとき、1000波を観測した場合、上位333番目までの高さの波高の平均を有義波高という。
選択肢にあるとおり、不規則である波の代表波となっている。
選択肢③ 離岸流
波は基本は上下運動が伝播していく運動。
なので、水粒子はその場付近を上下運動(正確には小さく円運動)しているだけ。
水深が浅いところに来ると、波が凝縮されて高い波になる。
そのときに、水自体が少し波の方向に進んでしまう、らしい。
岸に向かって水が流れるような動きになる。
砂浜を思い出してもえば分かるけど、水自体が岸に向かって動いている。
そうなると、今度、水がどんどん岸に集まる。
でも、岸は地盤が高いので、水はそれ以上は進めない。
それでも、水はどんどん集まってくる。
そうすると、やがて、岸に集まった過剰な水を沖合に運んでいく流れが出来るようになる。
これが離岸流というもの。
海水浴場では、たまに離岸流が発生しているので、近寄らないで下さい、とかのアナウンスが流れている。
選択肢④ 正常海浜と暴風海浜
選択肢➀~③までは波について。選択肢④は砂浜について。
ここは語句の説明から。
沿岸砂州・・・海岸線と並行する形で海岸線と離れた砂や礫が堆積した地形。天橋立なんかが有名。
正常海浜・・・これは、少しづつ沖に行くにつれ、水深が深くなっていく砂浜。
別に遠浅でも良いけど、一応、沖に行けば深くなる。
波高が小さく、堆積型の前浜となる。
暴風海浜・・・正常海浜と違い、沿岸砂州などがあり、沖に行ったとき、水深が浅くなる場所があるような砂浜。
波高が大きく、浸食型となるので沿岸砂州ができる。
何で、異常海浜ではなく、暴風海浜なのかは分からない。
選択肢⑤ 許容越波量
海岸構造物・・・消波工、離岸提、突堤などがある。
目的はいろいろあるけど、消波工の場合、波のエネルギーを弱める目的で堤防の全面などに設置される。
越波・・・海岸堤防や防波堤を超えて堤内に流入する現象。
そして、越波に対する考え方として、波とは基本、不規則波なので、最高波高を予測するのは困難。
また、堤防高を高くすることは、景観上、またコスト面からも制約がある。
そのため、越波は発生するものとして設計をする。
つまり、越波を許容する、ということ。
このとき、許容する越波量をそのままだけど、許容越波量という。
また、この設計には、構造物の強度や排水施設の能力、そして背後地の状況、つまり家が密集しているかどうかなども検討する。
今日は海岸工学。
なるほどなるほど、と中々面白く勉強できた。
しかし、海岸工学は奥が深そうなので、どこまで深入りして勉強するかは迷い中。
かなり時間がかかる。