〈技術士 1次試験〉H30年度・31問目 シールド工法

今日は技術士の勉強。

平成30年の過去問。1次試験の建設部門。31問目のシールドについて。

問題文は「公益社団法人 日本技術士会」のHPで閲覧ができるようです。

「公益社団法人 日本技術士会」過去問(平成30年度 第1次試験)

 

シールドについての問題。

その前に、そもそもシールドとは?

トンネルを掘るための工法の一つ、ということは分かっていても、意外と知らない。

最初に、他のトンネル工法との違いや、簡単な仕組みを確認しておく。

基本的に技術士1次試験の問題は、土木施工管理技士の1級や2級の問題に比べて詳細なことは聞いてこない印象を持っている。

なので、土木施工管理技士を持っている人からすると、簡単に思える問題も多いと思う。

 

 

まず、トンネルを掘る工法は何種類もある。

開削工法

山岳工法

シールド工法

TBM工法

沈埋工法

などなど。

 

開削と沈埋は特色があるので分かりやすい。

分かりにくいのは、山岳工法とシールド工法とTBM(トンネルボーリングマシン)工法の違いだろう。

山岳工法は、直接地山を確認しながら岩盤を機械や人力など地山の種類に応じて様々な手法で掘っていく工法。

掘った後は地山が崩れないようにセメントを吹き付ける。

そして、ロックボルトという鉄筋を地山の中に打ち込み、山の力を利用して崩壊を防ぐ。

最後にコンクリートを打って覆工を完成させる。

 

 

シールドとTBMはほとんど同じ。

一般的には、シールドは軟弱地盤TBMは岩盤などの固い地盤に適用される。

基本原理は同じ。

まず、立坑を2か所、掘る。

発進立坑と到達立坑である。

発進立坑にマシンを設置し、先端のカッターヘッドで掘り進めていく。

セグメント1枚分を掘り進めては、セグメントを組み立てていく。

セグメントとは、鋼製またはRC製のパネル。

マシンが進むためには、重力や床の摩擦力だけでは足りず、反力が必要となる。

この反力は、組み立てたばかりのセグメントにジャッキをかけて、推し進める。

セグメントは厚みを持っているのでジャッキをかけることができる。

セグメント分の距離が進むと、ジャッキを縮めて新たなセグメントを設置する。

これを繰り返しながら十数メートル/日というスピードで進んでいく。

尺取り虫をイメージしてもらうと良い。

セグメントを設置後に、コンクリートで仕上げを行う。

 

 

最後に推進工法との違いを書いておく。

まず、どちらも先端のマシンが地山を掘削するのは同じなんだけど、反力の取り方が違う。

マシンが前に進むためには、どこかに反力を取らなければいけない。

シールドでは、設置したばかりのセグメントを反力にして進んでいくのに対し、推進工法の場合は、発進立坑の壁面を使う。

推進管(下水管)を押し進めるイメージ。

ロケット鉛筆を想像してもらうと良い。

なので、推進距離が増えるにつれて推進抵抗が増大するので、施工延長はシールドと比べて短い。

また、下水管そのものを押して、そのまま躯体になっていくので、断面もシールドと比べるとかなり小さい。

そして、推進が完了すると同時に管布設が完了していることになる。

なので、シールド工法のように、マシンが進んだ後、セグメントの設置やコンクリートによる仕上げが必要ないので経済的にはなる。

だいたい、適用断面はΦ150~3000mmと言われている。

なので、下水管などの小口径は推進工法になる。

 

 

さて、選択肢を見ていこう。

 

 

 

選択肢➀ 適用地盤

 

冒頭で書いたように、固い岩盤のような場合、山岳工法が取られる。

ただ、近年は技術の発達により固い地盤に対応できるシールドマシンも出てきた模様。

ただ、一般にシールドは軟弱または軟岩を得意とする。

 

洪積層とか沖積層とか第三期とか、ここまで覚える必要はないと思うけど、念のため。

古い順に

先カンブリア代 → 古生代 → 中生代 → 新生代

となる。

古生代にはカンブリア紀とかデボン紀などがあるし、中生代にはジュラ紀や白亜紀がある。

そして、新生代に洪積世、沖積世という言葉がある。

洪積世の方が古い地層になるけど、表面に出てきている場合は隆起した場所のため、洪積台地とよばれて、建設条件は良い地盤と言われている。

逆に新しい時代に堆積して出来た沖積層の土地は、軟弱なので建設条件としては良くない

 

 

 

選択肢② 適用場所

 

開発された街中などでは開削工法では影響が大きいので、シールド工法が使われる。

また、基本は24時間ずっと掘り続けられる。

 

 

 

選択肢③ 断面形状

 

断面は円形がもっとも多い。

それはこの記述のとおり、セグメントは6分割などされたパネルなので、どの位置でも使えるし、ローリングしても問題ない。

形状としては、円形以外では、楕円形やメガネシールドなどがある。

 

 

 

選択肢④ 坑口

 

選択肢の文中にある「坑口において異なる構造が接合する」の意味。

おそらく、発進立坑にしろ到達立坑にしろ、地山の中に鋼鉄製なりコンクリートなり、囲った空間があるようなもの。

ここに、先端マシンが到達したとき、立坑内で作業している人たちから見ると、地山がむき出しの瞬間も出てくる。

その時に、地下水が流入してくることがないように対策をとる必要がある、ということを言っていると思われる。

また、同様に耐震性も確保することとあり、それは、そうですね、という感じ。

 

 

 

選択肢⑤ 1次覆工

 

1次覆工とは、マシンが掘った直後の地山にすぐにセグメントを組み立てること。

地山がむき出しの状態では崩壊の恐れがあるので、なるべく早く覆工する必要がある。

セグメントはジャッキの反力の意味もあるけど、1次覆工の意味が大きい。

また、マシン内で組み立てるセグメントはマシンより径がいくぶん小さい。

そのため、地山とセグメントの間には隙間ができる。

この隙間を埋めるのが裏込め注入になるが、セグメントは、その裏込め注入材の荷重に耐えつつ型枠替わりにもなっている。

シールドテールとは、マシンと一体となった地山の崩壊から守る外壁みたいなもの。

なので、マシンが進み、シールドテールも一体となって進んでいくと、地山からの補強材がなくなるが、そのときはセグメントが既に組み立てられているので、このセグメントが覆工体となる、ということ。

 

 

蛇足になるけど。

今現在も、リニア工事ではシールドマシンが24時間、掘り続けている。

1日にわずか20メートルしか進まない。

品川ー名古屋間は286Km。

286000 m ÷ 20m = 14300日!

14300日  ÷ 365日 = 39年

仮に1つのマシンで掘り進めたら39年もかかってしまう。

これを何工区にも分けて、10年かからないで掘り上げてしまう。

世界発の新技術、リニアモーターカー。

いつか、このブログでもメモっていきたい。

 

 

 

 

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