太陽光発電の話題 その2
今日は少し実務的なところまで踏み込んでみよう。
PPAなどもあるが、今回は自らが資金調達をして太陽光パネルを設置して売電収益を上げるパターンを考えてみる。
ひとまず、イニシャルコストとランニングコストを書き出す。
そこから売電事業を行おうとする場合、事業採算性を検討しなければならない。
もう一つの考え方としては、企業のカーボンニュートラルの取組として実施する場合、最悪、収支がトントンなら良いのかもしれない。
売電事業として行う場合、FIT制度、FIP制度での売電収入がどれほどになるのか、パネルの調達費用は、用地の借地料は、高圧(6600V)か特別高圧(22000,33000V)か、など事業収支を検討するための組み合わせは無数にある。
少しだけFIT制度とFIP制度についてメモしておく。
2022年度のFIT単価は、50kW~1000kWでは、10円/kWh。一定価格。
FIPの場合、「買取価格」=「市場価格」+「プレミアム(補助金)」
50kW〜1,000kW(1MW)規模の発電所は、FITかFIPのどちらかにするか選択可能。
1,000kW(1MW)以上の発電所は、FIP制度が適用。
なので、10kWとかの家庭用PVであればFITのまま。
事業用であれば、ほぼFIPと考えてよい。
さて、話がずれたので元に戻す。
まずは
イニシャルコスト
・太陽光モジュール・・・これが本体となる。
・パワーコンディショナー(PCS)・・・・太陽光モジュールで発電した直流電流を交流に変換する装置
・受変電設備・・・・PVで出力される電圧は220Vや420V程度の低圧である。しかし、50kW未満の場合は低圧線への連携で良いが、50kW~2000kWまでの出力のPVは高圧線に連携しなければならない。そのため、220Vの電圧を昇圧するための変電設備を設けなければならない。ちなみに、2000kWを超えると特別高圧線(22000V、33000V)に連携しなければならない。近くに特別高圧線がない場合、送電線を引いてこなければならなくなる。
・架台・・・・貧弱な基礎なので、巻き上げる風荷重への検討は必要と思われる。
・工事費(設備設置費と電気工事費)・・・・必要
・用地取得費(借地も含む)・・・借地料にするとランニングに返ってくる
ランニングコスト
・電気主任技術者・・・・新たに雇うとなると採算が合わないだろう。すでに在職している社員を宛がうしかない。
・用地借地量・・・・土地保有者との交渉になるが、土地に直置きなのか、建築施設の屋根に置くのか。
・固定資産税・・・・設備に対する税。建設費×1.4%。法定原価償却が17年なので、そこに向かい減ってくるものの、それなりの税金がかかる。
・法人事業税・・・・電気供給事業者となる場合は収入金額の0.7%。
・オペレーション、メンテナンス・・・・操業費用、メンテナンス費用。1MWあたり年間50〜100万円
必要な手続き(1000kW以上の場合)
・電気主任技術者の選任・・・・2000kW未満の場合、外部委託が可能。電験一種とか電験三種とかいうやつ。
ちなみに、電験三種で電圧5万ボルト未満(出力5,000KW以上の発電所を除く)の電気事業用電気工作物らしい。
出力2000kW以上となれば選任が必要となる。
少し、しっかりと書くと
電気事業法により、一般用電気工作物と事業用電気工作物に分かれる。
一般用電気工作物とは、600V以下の低圧で受電する工作物、又は小出力発電設備で発電力を600V以下での低圧で受電させるもの。
なので、家庭用の分電盤などは電柱の6600Vの高圧線からトランスにより200Vや100Vに減圧されて引き込まれるので、一般電気工作物に該当する。
または、出力50kW未満の太陽光発電設備も該当する。
こちらは、600V以下で受電するというより、発電施設に該当するわけだが、低圧で受電させる設備つまり50kW未満の設備になるので、家庭用太陽光発電設備などは一般電気工作物に該当する。
次に、事業用電気工作物は、電気事業用電気工作物と自家用電気工作物に分類される。
電気事業用電気工作物とは、発電所や送電線や変電所などの大規模なもの。
自家用電気工作物とは、工場やビルなどの変電設備、分電盤、屋内外配線等をいう。
ネーミングからすると一般電気工作物と自家用電気工作物は逆のようなイメージを持つが、上記のようになるので注意。
その他、国の法律や基準に基づく手続きがある。
・工事計画の認可・届出・・・・・「電気事業法」や「電気事業法に基づく受電設備の工事計画の届け出」
・技術基準適合維持・・・・・「太陽電池発電設備を設置する場合の手続き」
・安全管理審査
・保安規定・・・・「自家用電気工作物設置者の皆様へ」
・環境影響評価・・・・出力が4万 kW 以上を第一種事業、出力が3万 kW 以上4万 kW 未満を第二種事業
その他の手続
さて、メガソーラーを設置した場合、その電力を需要家にどうやって送るのかが問題である。
売電する場合も、大手電力会社が持っている送電線に繋がなくてならない。
それを「系統連携協議」という。
基本は、発電事業者側の専門の人と一般送電線事業者の担当者が綿密な打ち合わせを行うことになる。
そして、系統アクセス申込書を提出して回答をもらう、という流れとなる。
資金調達スキーム
資金調達も必要。
コーポレートファイナンスとプロジェクトファイナンスの2種類がある。
プロジェクトファイナンスとは、銀行は法人ではなくプロジェクトに対して融資する。
コーポレートファイナンスは、一般的に銀行が法人に対して行う一般の融資形態をさしている。
法人の中でも太陽光発電事業に対してのみ融資をするようなSPCを設置する
法人としては、太陽光発電を企業から切り離して携帯で事業を実施できる。
3MWを超えるような規模の場合、イニシャルが10億円を超えてくるため、SPCを設置して事業を進めるメリットが大きい。
用地の問題
さて、確保できる用地の広さで発電規模も異なる。
当然ではあるが。
1MWの場合、1.5ヘクタール。
2MWの場合は3.0ヘクタールとなる。
ただし、2MWを超えると、特別高圧(22000V、33000V)の送電線に繋ぐ必要が出てくるため、その分だけ余計な投資が出てくる。
PVの電圧は220Vレベルなので、50kW以上の出力をもつ発電施設の場合、高圧(2200V)に昇圧しなければならないが、特別高圧だと22000Vとか33000Vとかで、さらなる昇圧が必要となり、そのための経費が増えてしまう。
そのため、3ヘクタールくらいなら、ギリギリ2000kW以下に抑えた方が事業効果は高い。
特別高圧線が近くにあったとしても、6ヘクタールとかで4MW級の太陽光パネルの設置という方法では採算性が取れるか分からないそうだ。
ただ、冒頭に書いたとおり、パネル調達費や用地取得費、借地料によって、まったく異なるので一概には言えないが。
本日は自己所有の場合を考えた。
次はPPAを調べたい。