今日は国の補助金を見ていこう。
前回のブログ記でも書いたけど、1軒の家庭の電力を太陽光発電で賄おうと思えば、蓄電池もセットで導入しなければならず、どうしても150万円近いお金がかかってしまう。
月々の電気代が1.5万円、1年で18万円、であれば9年で162万円分の電気代が不要となる。
確かに10年かからず元は取れそうだけど、簡単に出せるお金ではない。
だから、国の補助なども活用するのだろう。
という訳ではないが、今日は、国の補助制度を調べることにした。
といっても、家庭用太陽光発電のためのブログではないので、あくまで産業用太陽光発電など。
ちなみに、出力によって太陽光発電は、家庭用太陽光と産業用太陽光に分かれる。
太陽光発電システムの容量が10kW未満であれば家庭用で10kW以上となると産業用となる。
また、FIT制度のうち、全量買い取りが可能なのは50kWを超える産業用となっている。
それ以外は余剰買い取りといって、自宅なりオフィス等で使用して余った分だけを販売できる、という方法に変わっている。
昔は家庭用でも全量買い取りしてもらえたと思う。
ただ、現在の一般家庭の場合、電気代は28円/kWhなので、買い取ってもらうよりも自家消費した方が得である。
もう一つ、買い取り単価も家庭用と産業用では異なる。
家庭用太陽光の場合、21円/kWhだが、産業用太陽光の場合13円/kWhとなっている。
ただし、買い取り期間は家庭用が10年に対し、産業用は20年間となる。
このように、家庭用と産業用で異なる。
今回はエネルギー関係の業務のため、勉強しているので産業用太陽光発電という視点で調べることにする。
まず、一般論として、補助金を受け取るためのフローを書いておく。
補助金には、間接補助と直接補助がある。
間接補助とは環境省が補助金の支払いなどを行う団体を選び、その団体(執行団体)が申請者に補助する、というもの。
そのため、補助金の執行団体(たいがいは〇〇財団法人などが選ばれている)のWEBページで公募情報を確認する。
補助メニューによっては、1回目、2回目、3回目と時期をずらして予定されている。
公募期間もまちまち。
なので、あまり遅いと公募期間は締め切られている場合もある。
また、1回目で予算額に達すると2回目以降は行われない。
他にも、R4年度中に事業完了すること、という条件がつくことが多い。お役所的だが仕方ない。
フローを書くと。
①環境省のHPで、自分の会社で使えそうな補助金メニューを探す。
②執行団体がどこかを探し、その執行団体のWEBページで公募期間を確認して、公募要領、交付規定、実施要領を熟読して、書類を作成して応募する。
③審査に1~2か月かかる。
④採択されたら(合格したら)、交付申請を行う。
⑤交付決定されたら、事業を実施して、実績を報告しなければならない。
⑥工事完了後に作成した書類の審査が終われば、翌年3月以降に補助金が交付される。
直接補助は執行団体がいないだけなので、省略する。
それでは、環境省から見ていこう。
地域脱炭素移行・再エネ推進交付
予算 200億円(新規)
つい先日、26団体が選定されていた。
これは、地方公共団体に交付されて、そこから民間事業者に回ってくる。
交付金なので、補助金のように◯◯に使いなさい、というようなガチガチではない。この補助金は2パターンある。
1つ目が「脱炭素先行地域づくりへの支援」
これは脱炭素先行地域に認定されることが必要。これはまた別途書くことにする。
どうやら、国は再エネを地域全体で導入していくことに力点を置くことにしたようだ。
この交付金は、
・再エネ設備の導入
・再エネ利用最大化のための基盤インフラ設備(蓄電池、自営線等)
・省CO2等設備の導入
・これらと一体となってその効果を高めるために実施するソフト事業
を対象としている。
交付金なので、太陽光発電とか水素製造などのように限定せず、再エネなどとかなり対象を広げている。
2つ目が「重点対策加速化事業への支援」
これは
・屋根置きなど自家消費型の太陽光発電
・住宅の省エネ性能の向上
などの重点対策を複合実施する場合らしい
PPA活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
予算38億円
間接補助:執行団体:一般社団法人環境技術普及促進協会
公募期間:いろいろあるが、メニューよっては1回目終了。
オンサイトPPAモデル等を活用した初期費用ゼロでの自家消費型太陽光発電設備や蓄電池の導入支援等を通じて、当該設備の価格低減を促進し、ストレージパリティの達成、ひいては地域の脱炭素化と防災性の向上を目指す。
HPからコピペしてみたが、かなり説明がややこしいが、要は蓄電池もセットで太陽光設備を導入すること。
そのときは、オンサイトPPAという、他の事業者に設置してもらい、その事業者に設備使用料を毎月支払っていく、というモデルを活用すること。
ちなみにPPAモデルでは、設置費用は無料だし、電気料金も太陽光と蓄電池をセットにするなら、かなり低減もしくはゼロになるくらいではないか。
ただし、オフサイトではダメ。あくまで電力消費場所の上(オンサイト)に設置することが要件となっている。
国としては、PPAモデルを普及させたい(PPA事業者を増加させたい)、そして蓄電池を普及させたい、そうすることで当該設備の価格が下がっていくことを狙っているのだろう。
メニューは、もう1つあって「再エネ主力化に向けた需要側の運転制御設備等導入促進事業」というもの。
これは、新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業というもの。
新たな手法?
・駐車場を活用した太陽光発電(ソーラーカーポート)設備等導入の支援を行う。
・営農地・ため池・廃棄物処分場を活用した太陽光発電について、設備等導入の支援を行う。
・オフサイトに太陽光発電設備を新規導入し、自営線により電力調達を行う取組について、当該自営線等の導入を支援する。
・再エネ熱利用や自家消費又は災害時の自立機能付きの再エネ発電(太陽光除く)について、計画策定・設備等導入支援を行う。
・未利用熱利用・廃熱利用・燃料転換により熱利用の脱炭素化を図る取組について、設備等導入支援を行う。
などなど。
よくまあ、色々な手法を考えつくものだと感心する。
メニューは他にもある。
デマンド・サイド・フレキシビリティ(需要側需給調整力)の創出に向け、オフサイトから運転制御が可能であり、平時のエネマネや省CO2化を行う需要側設備等の導入支援を行う、というもの。
これまたややこしい横文字が入っているが、要は電力を消費する側(家庭でも事業所でも)で、EMSを導入して発電能力の変動を察知して、放充電設備をコントロールして、対応する。
そういったことができる設備の導入支援、オフサイトの事業者(需要家と契約?)に支援を行う、というもの。
これも、PPAモデルのように、このような設備を需要家側に設置してあげて、需要家から設備使用料金でもとるビジネスモデルの普及を狙っているだろうか。
とにかく、新しいビジネスモデルの創出を補助金を使って行おうとしているのだろう、たぶん。
それと、こういった補助の一定の共通点として、このような遠隔制御実績を報告させ、横展開を図らせようとすることである。
これは、ある意味、実験台として利用されている訳だろう。
ただ、実験台といっても、需要家側にもしっかりとメリットがある状態にはしてくれている。
脱フロン・低炭素社会の早期実現のための省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業
予算73億円
間接補助:執行団体:一般財団法人日本冷媒・環境保全機構
公募期間:すでに終了。
コールドチェーンの省エネ化及び脱フロン化を推進
簡単にいえば、業務用冷凍空調機器の脱フロン化のため、冷凍冷蔵倉庫、食品製造工場、食品小売店舗における省エネ型自然冷媒機器の導入を補助する、ということ。
背景には、冷媒には、特定フロン(HCFC)や代替フロン(HFC)が使用されているが、我が国の温室効果ガス全体が削減傾向にある中でHFCは唯一増加傾向にあること。
しかし、HCFCやHFCを代替する技術である省エネ型自然冷媒機器は高価で自発的に購入することができない状況にあること。
あとは、色々な補助に共通しているが、一定の需要を生み出すことにより自然冷媒機器の低価格化を促進する、という目的もある。
脱炭素社会構築に向けた再エネ等由来水素活用推進事業(一部経済産業省、国土交通省連携事業)
予算額65億円
やはりあった、水素活用の補助金。
間接補助:執行団体 公益財団法人北海道環境財団
公募期間:~R4.9とか11(FCバスとFCフォークリフトと水素ステーション保守点検で異なる)
1つ目は「 脱炭素な地域水素サプライチェーン構築事業」
防災価値を有する再エネ等由来水素を活用した自立・分散型エネルギーシステム構築の支援や、水素の需要拡大に繋がる設備導入支援を行います。とHPには書かれている。
要は、グリーン水素を使ったシステムや設備に補助を打つよ、というもの。
他にも、水素活用のFS調査にも補助する、というが、こちらは地方公共団体向けのような気がする。
2つ目は「水素活用による運輸部門等の脱炭素化支援事業」
水素社会実現に向け、燃料電池バス等の導入を支援します。
これは読んで字のごとく。
他にも、燃料電池車両等の活用促進に向け、再エネ由来電力による水素ステーションの保守点検や、設備の高効率化改修を支援します。
こちらもそのまま。
ただし、水素活用といってもブルー水素に限定しているところに注意。
環境配慮型先進トラック・バス導入加速事業(国土交通省・経済産業省連携事業)
予算10億円
間接補助:執行団体 公益財団法人日本自動車輸送技術協会
公募期間 まだ
この補助なんか使い勝手が良さそうだけど。
EVトラック・バスや、一定の燃費性能を満たすHVトラック・バスの購入に対して、標準的な車両との差額分を支援するとともに、セットで充電インフラ整備への補助を行う。
いずれ、トラックやバスを買い替えるなら、この機会にこの補助を使ってもよさそう。
一応、実施期間は令和5年まで、となっている。
延長されるかもしれないが。
さて、今回は環境省のHPから、一般的に使えそうな補助金を選んでメモしてみた。
今回は環境省の補助金を見たが、国交省や経産省も同様の補助金メニューがあるはず。
次回以降も少し補助金ブログのように調べてみようと思う。