経済産業省と国交省は、一般海域での洋上風力発電を実施する事業者を公募するらしい。
エリアは五島市沖。
政府は再生可能エネルギーの発電比率を2030年までに22~24%まで高める目標を掲げている。
現在は18%程度。
その中でも水力発電や太陽光発電はともに全体の中でも7%を超えているのに対し、風力発電は1%に満たない。
しかし、政府の目標をみると、2050年時点において陸上風力と洋上風力が拮抗している状況をつくることらしい。
また、陸上風力の発電割合を大幅に上げていくという計画はない。
そのため、日本全体を見たときの風力発電の電源割合が大きく変わることはない。
その程度のニュースだということを知った上で、少し勉強したい。
洋上風力発電とは何か?読んだまんま。
海の上に風力発電装置を設けるもの。
一般に陸上よりも海上のほうが安定した強い風が吹く。
そのため、ブレードも洋上の方が大きくなる。
陸上ではタワー高120m、ブレード直径80m程度も洋上ならばタワー高150m、ブレード長は130m程度とかなりの大型化ができる。
そうなると発電量が大幅にアップする。
海外では進んでいるが日本ではほとんど進んでいない。
欧州では3500基の洋上風力発電があるそうだけど、日本では6基にとどまる。
その6基もすべて国の実証事業のみで民間は現在のところ事業としては行っていない。
なぜか?
・海の上を占用する許可基準があいまい。
これは、都道府県の条例で許可自体は可能だけど、その許可期間も5年程度ととても短く、そんな期間ではイニシャルコストを回収できず、占用事業者も現れない。
・海を先行利用している漁業関係者との調整する仕組みがない
このため、事業者からみると、調整コストや調整時間がどの程度になるのか不明で、参入することができない。
そこで、国が法律を2018年12月に公布した。
それが「再エネ海域利用法」
・政府は漁業関係者との協議会を設置
・政府は促進区域を指定する
・公募指針をつくり公募を行う
・占用期間は最大30年間
つまり、洋上風力発電を行い事業者は、政府が促進区域に指定したエリアにおいて公募が始まったとき、手を上げる。
公募で選ばれると占用期間30年間の事業が実施可能となる。
エリアとしては5地域を促進区域とするらしい。
秋田県や千葉、長崎あたりが選ばれるのではないかと思う。
また、太陽光発電でよく聞く固定買取制度、いわゆるFIT制度は、これは再エネに関する法理なので、風力発電に関しても当然ある。
風力発電の方が太陽光発電よりも高額で買い取ってもらえる。
調達価格は36円/kWh。
今回の五島市沖での洋上風力発電の公募条件は
最大受電電力は21000kw。発電設備の出力は16800kw。
ここで少し解説。
電力はkwで表され、電力量はkwhで表される。
電力とは、電気エネルギーが1秒間にする仕事のこと。
P=VI
Pは電力
Vは電圧
Iは電流
Pの単位はw(ワット)
このw(ワット)はアンペア×ボルトになる。
通常の電化製品は100V。なので、電化製品のワット数が分かればアンペアが分かる。
アンペアが分かれば、どのくらい電気を使うのかが分かる。
例えば、ドライヤーのワット数は1200ワット(強風使用)。
すると、アンペアは12アンペアということが分かる。
コンセントは15アンペアなので、ドライヤーを使う場合、すでに15に近いので残りは3アンペア。
ドライヤーを使う場合は、たこ足回線は避けないとブレーカーが落ちる。
参考に、電気料金の計算をしてみる。
1200(w)×1(h)が1200(wh)
1時間で1200wh(ワットアワー)の電力量を消費することになる。
1kwhあたりの電力料金はだいたい20円前後。
だから、1200÷1000×20=24円。
ドライヤーを1時間使いっぱなしにすると24円になる。
話が逸れた。
この公募に際しては、価格競争にはならない。
なぜなら、固定買取制度により洋上風力発電は36円/kwhと固定されているから。
なので事業実現性の観点で評価されるようだ。
さて、洋上で風力発電設備を設置しようと思えば、港湾を使わなければいけない。
なので国交省は港湾法を改正している。
海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾というとても長い名前の港湾を指定している。
港湾には〇〇拠点港湾というものが何種類かある。
そのうちの一つだろう。
風力発電設備を組み立て保管が可能な耐荷重と広さを備えた港湾を指定している。
この港湾を事業者には30年間の貸付ができる制度に改正している。
この港湾に指定されるには港湾計画の改正が必要となっており、五島市沖の発電所建設に使用される福江港は、港湾計画を改正したということだろう。
なかなか、電力土木に関わったことがないので、よく分からないが、電気自動車などこれからますます電気の需要は伸びてくる。
発電の仕組みなどはある程度は把握しておいた方が良いだろうから、新聞記事などで気になるニュースがあれば拾っていきたい。